軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

07.鑑定士、動体視力を強化する

単眼悪魔(グレムリン) 相手に、回避訓練をすること、1週間ほど。

世界樹の外の、通路にて。

俺は単眼悪魔と相対していた。

「ギシシッ!」

『→2秒後に右目を狙った鎌攻撃』

スカッ。

「ギシィッ!!!」

『→3秒後に右足を狙った鎌攻撃』

スカッ。

「ギッシャアアアアア!!」

『→フェイント織り交ぜ、5秒後に本命の、左目を狙った鎌攻撃』

スカスカッ。

俺は単眼悪魔の攻撃を、息をするかのように、完璧に避けきれるようになっていた。

前はいちいち鑑定と口に発しないとできなかったが、慣れてくれば相手が動く瞬間に、反射で鑑定できるようになっていた。

その結果、俺は神回避能力を手に入れたわけだ。

「どうだウルスラ! これなら文句あるまい!」

ザシュッ!

「いってぇえええええええええええ!」

意識をウルスラに向けた瞬間、俺は単眼悪魔からの攻撃を受けた。

右耳が取れるのも、もう何度目か。

ウルスラはため息をつきながらも、右耳を戻してくれた。

「やはり痛みがあると覚えが早いのう。犬の訓練と一緒で」

「犬と一緒にするな。それよりどうだよ回避は」

「まぁ、及第点だな。次の修行に移ろう。次は単眼悪魔を撃破してみせよ」

ウルスラが天井にぶらさがる単眼悪魔を指さす。

「撃破って……俺は戦闘系の 職業(ジョブ) じゃないぞ」

「あほか。そんなものわかっている。 技能(スキル) に頼らず、その目を頼ってどうにかせいという修行じゃ」

「目を頼るって言ってもなぁ……。武器もないんじゃどうしようもないよ」

と、そのときだった。

「あ、あの……。あ、アイン……さん」

ひょっこり、とウルスラの背後から、金髪の美少女ユーリが顔を出す。

見た目は人間でも、その実、世界樹の精霊だったりする。

「ユーリ。どうした?」

「あの……ええっと……こ、れを……使って、ください!」

ユーリは俺の前に、1振りの木刀を差し出してきた。

「ユーリ! それはおぬしの枝……それも、特に上等な枝ではないか!?」

枝に上等も何もあるのだろうか?

それにしても……世界樹の枝で作った木刀か。

「ありがとう、ありがたく使わせてもらうよ」

「あう……あうあう……」

かあ……っとユーリが顔を真っ赤にして、ウルスラの背後に隠れる。

「貴様……ユーリがいたいのを我慢して折ってくれた木刀だ。折ったら貴様の体をへし折るからな」

怖え……。

「わかってるよ。大切に使う」

とにかく、俺は武器を手に入れた。

あとはこれで単眼悪魔をぶったたくだけだ。

「ギシシッ!!!」

『→3秒後に右足を狙った鎌攻撃』

自動で、動きとタイミングを鑑定する。

そう、敵が来る場所がわかっているのだ。

そこめがけて、あとはこっちが攻撃を食らわせれば良い!

なんだ簡単!

「そりゃ!」

ひゅんっ!

スカッ……!

……俺の攻撃が、空を切った。

「あれ……? なんで……?」

「いくら敵の来るタイミングがわかっても、おぬしの剣速がへぼいから当たらなかっただけじゃ」

そ、そうか……。

「どうやったら当たるんだ?」

「自分の頭で考えろ」

どうにもこの賢者、俺とユーリが話すと機嫌を損ねるんだよなぁ……。

「しかし……どうすっか」

攻撃のタイミングはわかる。

どこを狙ってくるかもわかる。

ならカウンターは入るんじゃないか?

やってくる場所にただ木刀を置いておけば攻撃喰らうんじゃ……?

「ギシッ……!」

『→2秒後に右目を狙った鎌攻撃』

1……2……!

俺は木刀を右目があった場所に置いておく。

スカッ……!

「クソ……ただ回避しただけになっちまった」

当然ながら向こうも考える頭がある。

目の前に障害物があったら、それを避けるだろう。

「もっと相手の動きを完璧に読み切って、ギリギリで避けないと……」

結局のところ、俺は相手の攻撃の当たる場所とタイミングだけがわかっているだけに過ぎない。

相手の動きが目で追えてない。

当たる場所以外の場所に、攻撃が当たる前に大きく避けてるだけだ。

「……いや、まてよ。俺の目は精霊の目だっていってた。ウルスラが、人間と精霊では見えてる物が違うっていってたな……」

なら、動きじゃなくて、動きの完璧な軌道とかも、鑑定できるんじゃないか?

「よしこい!」

「ギシシッ!」

……俺は単眼悪魔めがけて、言う。

「鑑定……いや、【超鑑定】!」

『単眼悪魔の完璧な攻撃の軌道(S+)』

『→左足を狙った鎌攻撃の軌道』

すると……。

単眼悪魔が、すごくゆっくりと、動いていた。

……成功したようだ。

そうだ。俺の目は人間の目じゃない。

となると、動体視力も人間じゃないものになっているはず。

鑑定スキルと、精霊の目。

その二つが合わさることで、こんなこともできるのか。

単眼悪魔が、あくびが出るくらいゆっくりと、俺の左足をめがけて、特攻してくる。

これだけゆっくりなら……! 当たる!

俺は、攻撃が当たるギリギリを狙って、悪魔の頭めがけて、木刀を振るった。

バシッ……!

手に衝撃を感じた。

その瞬間、世界がまた元の時間の流れに戻った。

「ぎししぃ……」

単眼悪魔が、俺の前で倒れていた。

やがて……絶命する。

「はは……やった……」

あの速さで、カウンターの一撃を食らったんだ。やられて当然だ。

「Sランクモンスター……倒しちゃったよ……」

俺はその場にへたり込む。

「どうだ、ウルスラ!」

「ふん。まあまあだ。しかし一度成功したくらいでなんだ。アレを見よ」

ウルスラが天井を指さす。

奥には、まだ数え切れないほどの単眼悪魔たちがいた。

「とりあえずこの辺一帯にいる単眼悪魔すべて倒せ。それから次の修行じゃ」

「おうよ! やってやらぁ!」