軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第13話 よく、私に会おうと思いましたわね

「姫様。あれではないのですか? 火の雨が降った戦場に行かれましたよね」

ライラがずいぶん昔の話を出してきました。それは五年か六年前ぐらいのことではないのですか?

確か、火傷を負う兵士が急増して、何が原因かと前線に赴けば、炎の塊が次々と敵陣から雨のように撃たれているではありませんか。

ということで、いつもは激戦地を避ける私が、戦場に立ったのです。

それで何が起こるかといえば、私自身に施した致死の反転が発動したのです。

「その後、思いっきり敵陣側が燃えていましたよね」

そう、敵陣に火柱が上がったのです。

術を発動していた者が自爆したのだとばかりに思っていましたが、あれは兵器だったのですか。

「あったわね。そんなことが……でも兵器だとは知らなかったわよ。あと、どこから人を食ったとかいう話になったのかわからないのだけど?」

「それは姫様が戦場を歩いて、治療を行っていたからではないのですか?」

ライラは私が、戦場に出て動けなくなった兵士たちの治療を行っていたことが、原因だと言った。だけど、それのどこが変な噂になるのですか?

「そう言われると何も知らない者がみると……」

「あの光景は確かに聖女を認めたくない者からすれば、そういう思考になるのかもしれません」

クオンもリヒトもライラと同じ意見のようです。

どういうことなのですか?

「何がおかしいっていうの?」

「おかしいのではなく、姫様は動けない人に近づいて手をとられますよね?」

「そうね」

「何も知らない者からみると、死体に手を伸ばしているように見えて、その後死人が生き返り再び武器を取るのです。それはまるで悪魔的な存在の人という意味ではないのでしょうか。そのような噂を流すなど本当に愚かしい限りです」

悪魔的! え? そんな風に見えていたわけ?

確かに動けない人を治療していたけど、私は死人は生き返らすことはできないわよ。

しかし、誰もいない戦場を彷徨って、死体を生き返らせる人ならざる者。魔人。

うまいこと言うわね。

ん? そう思うと……私はちらりと視線を上げて金色の瞳を見ます。

「よく皇帝陛下自身が、私に会おうとおもいましたわね」

普通は部下を送り込んでくるものでしょう。

「人を送りましたが失敗に終わったので、私がセレスティア様に接触したのです。ですが、やはり魔人というのは人の妄想からの産物であり、聖女そのものだったとわかりましたよ」

既に人を送り込んできたあとでした。でも、私に帝国の人が近づいてきた記憶がありませんので、おそらく敵意をお持ちだったということなのでしょう。

「しかし、いつまでもここで話していても仕方がありませんので、お部屋にお連れいたしますね」

「……自分で歩きます」

「私が自らセレスティア様をお運びすることに意味があるのですよ」

私がここにいるのは、皇帝の意だと示すということですか?

それは朝の手を繋いで移動していたときで十分だったと……いいえ、皇帝の意に反した者たちが処分がくだされ、私が優遇されていると見せつける必要があると。

あの? この恥ずかしいお姫様抱っこである必要があるのでしょうか?

その後、人々の視線に耐えながら、私はあてがわれた部屋に戻っていったのでした。

「今からですか?」

翌日、契約満了の書類を作っていたところに、リヒトが私の部屋にやってきました。

「はい。テターニア王国の王族が揃い、あとはティア姫だけとなったそうです」

そうですか。確か現王から三親等が王族として認められているという法でしたね。

国王である父は亡くなりましたが、王位はまだ変わっていませんので、そのままということでしょう。

そうとなれば、私も用意しなければなりませんね。

その前に、私は書いていた書類をリヒトに差し出します。

「そうですか。その前に契約満了のサインをお願いいたします。あとクオン様もです」

二枚用意しましたので、お二人から契約満了のサインをいただきたいです。

「そうですね。後ほど、サインしたものを持ってきます」

そう言ってリヒトは私から書類を受け取ってくれました。

これで一安心です。皇帝から敬語を使われる私って、何様状態からやっと解放されるのですから。

「ティア姫。一つお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」

……皇帝からお願いされる私って何? 普通に、こうしろと言われたほうが私の心的に平穏なのですけど。

「何でしょうか?」

「テターニアの王城では、常に私と行動を共にして欲しいのです」

……意味がわからず、首を傾げてしまいます。私はテターニア王国の第六王女なので、ラスデニア帝国の皇帝と共に行動をするのはおかしなことです。

「差し出がましいのですが、ティア姫のことを調べさせていただきました」

あの戦場で一番厄介な存在は私だったと自覚しています。

なので、敵を知るために調べられることはあるだろうとは思っていました。が、こうも堂々と言われるとは思いませんでしたけどね。

「第六王女は王族にあらず」