軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6話 適性検査

翌日、探索者協会に赴く。探索者になる為の講習を受ける為だ。因みに、講習は毎日午前と午後の2回行われる。

協会の中は銀行や郵便局の様に受付があるだけで、他は待ち合いのソファくらいしかない。

人でごった返してる、という訳もなく、人数もまばらだ。そもそも素材や魔石の買取りはここで行われる訳じゃない。別の場所だ。しかもいるのは皆若い男女……大学生くらいの子達で、自分の様なおじさんは誰もいない。なんなら受付の人達(何故か美男美女)の方が年下だ。

「ようおっさん。アンタも探索者になりに来たのか?」

若い男の人が声をかけてくる。大学生だろうか。まあ18歳は超えてるだろう。ただ見た目は、髪を金髪に染めて、服もだらしなく着込んでいる。あまり好きになれそうにない格好だが、だからといって悪い人間と決めつけるのはよくない。案外いい人なのかもしれないし。

後ろに彼と同年代の女の子2人を連れてるのはさておいて。

「ええまあ。ちょっと色々ありまして。折角ですし探索者をやってみようかと。興味もありましたし」

「マジかよウケる」

何が受けるのかよく解らない。あと2人の女の子もニヤニヤ笑ってるし。

感じ悪いな。少なくともいい人ではないな。悪人でもないだろうが。単に自分を見下しているのだろう。

「適性検査を行いますので、探索者登録される方はこちらの方に来てください」

おっと、呼ばれたか。

「一緒に行こうぜ、おっさん」

「そうですね」

まあ自己紹介もしてないし、実際にいい歳したおっさんだから、おっさん呼ばわりされるのは構わないけど、なんか侮蔑的なニュアンスが混じってるんだよなぁ。

いやどうせこうやってまともに顔を合わせるのは今日だけだからいちいち目くじら立てる気は無いけど。

***

実のところ探索者には一部例外を除いて誰でもなれる。これといった試験も無いが、代わりに適性検査と講習がある。適性検査では何を見るかというと、迷宮適性とスキル。

迷宮適性はどのくらいの深度まで迷宮に潜れるか、そしてどれくらい迷宮内で強くなれるかの目安だ。一番上はSSS、そこから順にSS→S→A→B→C→D→E→Fとなる。大半がDまたはEで、Fだと適性無しだ。

スキルに関しては元から持っていたものではなく、授かるもの、らしい。これに関してはネットでも詳しく書かれていなかった。ただ、ある程度の傾向はあり、例えば学生時代に剣道をしていた人は両手剣か刀のスキルを得る事が多いらしい。尚、スキルは武器系のスキルと魔法系のスキル、そしてそれ以外と区別されている。それ以外というのは、鍛冶とか調合とかそういう生産系や跳躍とか鷹の目といった身体系のスキルだ。

「中村さん、こちらの装置の前に立って下さい」

迷宮適性を計る装置だ。なんか定期検診の時のレントゲンみたいだな。まあ写真を撮るのではないのだが。

機械の前に立つと、スキャナーか何かだろうか、棒状のものが頭から爪先へと淡い光を放ちながら降りていく。

スキャンが終わったのか、自分の横にある機械からレシートの様なものが出てくる。それを取って見てみる。

「適性Eか……」

「ぷぷっ、おっさんEかよ。俺はDだぜ」

「そうなのですか」

いちいち絡まないと気がすまないのかな、この若者は?

レシートを職員に渡す。

「!? ……はい、よろしいですよ。では次はあちらの装置に触れて下さい」

ん? なんか一瞬驚いた顔したけどなんだろうか。なんかおかしかったか?

それはさておき次はスキルだ。水晶球みたいなもの、というか水晶球そのものが機械に取り付けられている。

正直迷宮適性よりもこっちの方がワクワクするな。

「おっさんはどんなスキルが欲しいんだ?」

「そうですね……『収納』とか欲しいですね」

収納のスキルは所謂アイテムボックスとかインベントリとか、そんなスキルだ。異空間にアイテムを収納するスキルで、珍しくはあるが、だいたい100人に1人の割合で出るので、可能性が無い訳ではない。

「『収納』かー。もしおっさんが『収納』スキルを得たら俺達のパーティに入れてやるよ」

「はは、その時はお願いします」

水晶球に触れると何か身体から溢れ出る様な、そんな感触がする。そして先程と同じ様に、装置からレシートの様なものが出てくる。

「ふーん、どれどれ……『円匙』? えん……さじ? なんて読むんだこれ」

後ろから件の若者が覗き込む。

「えんぴ、またはえんびですね。まあ俗に言うスコップです」

「スコップ? ぷっ、ぷぷっ……ぶはははははははははっ! スコップ! スコップだってよ! ぎゃははははは!」

うわ、腹を抱えて大爆笑してる。当然馬鹿にした笑いだな。そして連れの2人の女の子達もくすくすと笑っている。

「ちょ、笑っちゃだめよ……」

「解ってるけど、けど、スコップって……ププっ」

そりゃ自分に与えられたスキルが『 円匙(スコップ) 』とは思ってもみなかったけど、切る突く叩くと武器としては頗る優秀な万能武器なんだがなあ。しかも防御面も優れている。決して悪いスキルではないんだが……

やっぱり穴掘りの道具としか思えない物がスキルだからなんだろうな。笑われても仕方ないか。

「……はい。では講習室の方へ移動して下さい」

何処となく呆れた感じの職員が講習室へと促す。ただ呆れているのは自分に対してではなく、さっきから腹を抱えて笑っている若者達に対しての様だ。

気にしても仕方ないので、促されるまま自分達は講習室に足を運んだ。

***

「……初めてみました」

「スキルがですか?」

「や、それもですけど、迷宮適性Exって……確か全世界でも6人しかいないんですよね?」

「そう。うち1人は日本人ね。だから彼で全世界で7人目、日本で2人目の Ex(測定不能) ってことになるわね」

「ほえー……これ、支部長に知らせた方がいいですよね」

「そうね」