軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25話 上層でも無双するおっさん

オーク。上層を代表する人型の魔物だ。

2mを超える巨体に緑色の肌。豚面で下顎から牙が突き出ている。体格はやや肥満気味だが、脂肪の奥には筋肉が詰まっている。手にはその体格に合わせた様な大きな棍棒。迷宮内においては探索者を殺す事だけだが、 迷宮門崩壊(ゲートブレイク) した迷宮から出てきたオークは受肉し、男は殺して喰らい、女は犯して孕ませる。

そんなオークを自分は……

“オークは首を刎ねられた”

“瞬殺で草”

“適性SSは伊達じゃない!”

“オークってこんなに弱かったっけ?”

“それなりに強いぞ。適性DやEだとパーティ組まないとほぼ倒せないし、Cでもソロだと苦戦する。B以上はそうでもないけど”

“まあ適性SSだし”

“説得力ありすぎて草”

“スコおじ最強! スコおじ最強!”

と、コメントにもある通り瞬殺した。

倒されたオークは黒い霧となって消滅し、その場に転がる魔石と……なんだこれ? 掌サイズの丸い肉の塊?

“あ、豚鬼の睾丸だ”

“睾丸w”

“つまりオークのタマタマだwwww”

「……なんでそんなものが。というか何に使うんですかね?」

“乾燥させて粉末状にして精力剤にする”

“枯れた爺さんも勃つレベル”

“結構高く取引されるぞ”

“これ1個で5万は固い”

「なんでそんなに高いんですか!?」

“そりゃ……ねえ”

“因みに媚薬の材料でもある”

“時たまいるぞ、これを犯罪に使うヤツ”

“セクシーなビデオでも使われる時あるな”

“えー? アレ嘘じゃないん?”

“嘘もあるけどマジもんもあるらしい”

あー、性欲ってのは幾つになっても消えないもんなんだな。高値で取引されるなら回収しておこう。正直あまり触りたくないが。

今度から火バサミも用意しとくか?

***

湧いてくる魔物を倒しながら迷宮を進む。本来ならマッピングしながら進むのだが、今回は依頼を受けているので、あらかじめここのマップがスマホにインストールされている。なので迷わず進む事が出来る。

尤も、中には構造がコロコロ変わる迷宮も存在するのだが。

ここは固定化されているので、成長による変遷でも起きない限りこのマップは有効だ。因みに、迷宮の形状が変わってるかどうかも依頼のうちなのだか、ルートとか変わりはない様だ。魔物も、今の所上層の魔物しか出てこない。

視聴者にとっては些かつまらない展開かもしれないので質問に答えていく。

「一応不倫嫁と間男とは決着つきました」

“意外と早かったな”

“この手の問題は長引くからな(実体験)”

“↑ご愁傷様です”

“まあ何はともあれケリがついたのはめでたい”

“で、どーゆー形でケリつけたん?”

「その辺は無闇に明かさない様にと弁護士に言われまして……」

“それはしゃーない”

“ま、終わった事だしガンガンいこうぜ!”

“それはそうとスコおじはどうしてまたこの迷宮に潜ってるん?”

“地元民のワイ、その迷宮は適性C以下の探索者の立ち入りが禁止されてるのを知ってる”

“けどおっさん適性SSだから問題なくね?”

「あー、これ言っちゃっていいんですかね?」

協会:“問題なし”

あー、やっぱり観てたか。けど誰だろう? 普通に考えると陳さんだけど。

「OK出たので言いますね。端的にいうとここの調査の依頼を受けたんです。ほら、前回の配信で色々異変が起きたじゃないですか。協会の方から正式に依頼出まして、それを受けた形ですね」

“なるほどー”

“おっさんの実力なら依頼受けても問題ないし”

“その依頼他にも受けてる探索者いないの?”

“別段重複しても問題ないしな。受ける人数は多い方がいい。実力がないと無理だけど”

“実際に今受けてますよ。中村さん、今何階ですか?”

“おお、受けてる人が配信見てるのか! けどそんな余裕あるのか?”

“ 休憩場所(セーフポイント) で休憩中だから問題ないです”

「同じ依頼受けた方がいるんですね」

そりゃそうか。そもそも最初の配信で異変を伝えたのは自分だ。しかも応援の呼びかけも自分だ。自分以外に依頼を受けた探索者がいてもおかしくない。

「今自分がいるのは地下7階ですね」

“お、1つ上の階ですね。案外途中で合流するかもしれませんね”

「そうですね。けど仮に合流したとして、顔出しとかは大丈夫なんですか?」

“配信はしてませんがこちらもドローンを借りてリアルで協会に状況を送ってますからね。それに配信昔してましたから問題ないですよ。チームTMNで配信してました”

“あ、それ俺見てた”

“何でTMNなのか聞いたら返答がまさかのまさかで草生えたの覚えてる”

“チームTMN。リーダーは浅木さんで全員が適性Bの探索者。しかもうち1人が魔物探知というレアスキル持ち”

“そのスキル持ちがいると魔物の不意打ちをかなり防げるんだよな。あと適性Bなら普通に強いチームだ”

“こりゃ合流したほうが良さそうかも”

「そうですね。地図もらって直進してますので暫くしたら合流出来るとおもいます。お互い力を合わせて頑張りましょう」

“はい、こちらこそ”

文面から礼儀正しい人だと解る。今まであった探索者があんなのだったからなあ。

“言っとくけど、あんなのはかなり稀だからな。チームTMNは普通に面倒見のいい探索者のチームだぞ”

心読むなし。

***

一応モンスターハウスにも立ち寄ってみる。

出てきた魔物は以前遭遇したレッドキャップ。

入った瞬間に扉が閉まって10体程一斉に湧いて出てきた。すぐさま扉から近い所の四隅の角の1つに向かい、角に背を向け、そこで迎え討つ。普通なら危険なポイントなんだけど、背後や横からの攻撃が来ないから前面に集中出来る。結果、50体程倒したところで湧かなくなった。

これ、人によっては稼ぎ場なんじゃないだろうか。

“普通モンスターハウスを稼ぎ場にする奴はいない”

“そんなんおっさん始め高い適性じゃないと無理だから”

“以前同じ事考えてた適性Cの探索者がオークに袋叩きにあってお亡くなりになるという事もあったしな”

普通はコメントの通りらしい。確かにレッドキャップでも危険なのにオークの大群とか色々とやばい。

因みに迷宮から出たオークは群れる。

と、そんな事はさておき。地下8階に降りて暫く。

協会:“緊急。チームTMNの面々に非常事態発生。すぐに救援に向かうべし”

“は?”

“え?”

“何があったん?”

いきなり協会からのコメント。そして。

“中村さん、緊急事態だ! セーフポイントにモンスターが出現。湧いた魔物はオーガ、それも複数! 至急応援を頼む”

“はあ!?”

“何じゃそりゃ!”

“てか上層にオーガ!? 中層の魔物だぞ!?”

…………は?

いや呆けてる場合じゃない。地図で休憩場所を確かめ、駆ける。

間に合ってくれよ……!