作品タイトル不明
ただいま同接が一千万を超えました。おめでとうございます
みんなと別れた後、俺はこれまでの遅れを取り戻すように走り出した。
でも不思議なことに、しばらくの間はモンスターが出てこなかったんだ。
「あれ? 全然モンスターいないなぁ」
『人がいた形跡があります』
開けた大部屋にたどり着いた時、焚き火の跡みたいな形跡を見つける。そういえばこの辺りまで降りると、けっこう寒くなってきてる。
『調査してみましたが、ダンジョンブレイカーズの配信が途中で切れています。チーム袋小路も同様です。配信中にジャーマに襲われたようです』
「やべえじゃん。急がないと!」
とにかく最速で進むしかない。俺はダッシュで階段を降りていったところ、今までとは異なるやけに赤いフロアに辿りついた。
『深淵層のモンスターが現れました。ドラゴンとキングトロルの群れです』
今までにないくらい広い大部屋の中に、トカゲを大きくしたようなドラゴンが十匹以上はいる。
それだけじゃなくて、空を飛んでいる青いドラゴンや、二足歩行で剣を持っている巨人みたいなドラゴンもいた。
それとよく探索配信で見かけるトロルもいたけど、なんか紫色で気味が悪くなってて、棍棒もメタルっぽくて強そう。
「これだけいると、やっぱ倒していかないとダメだな!」
『ドラゴン系には、ドラゴン系が有効です。召喚カードの利用をおすすめします』
「これか!」
俺はすぐにこれまで使ったことがなかったカード、ヤマタノオロチを利用してみた。
ってかあれって蛇じゃなかったっけ?
でもダンジョンに出現するモンスターって、普通のカテゴリじゃないものもほとんどなわけで、あんま気にしてもしょうがないか。
投げられたカードから光が生じたが、特に何も変化がない。モンスター達が雄叫び上げながら向かってきているので、ちょっと困る。
「あれ? なんか……」
でも、それは召喚されていた。なぜかゆっくりと空に浮かんでいく俺の体。どうやら地面が上がってきているのか? と思ったら、モンスターのでかい頭があった。
「お、おおー! ちょ、ちょっと待った。こんなにデカいのか!?」
『はい。サイズが通常のモンスターを遥かに超えているため、呼び出す場所を考える必要があります』
闇竜ジャーマも信じられないくらいデカいと思ってたけど、ちょっとこいつは規格外すぎる。まんま怪獣じゃん!
オロチは頭が八つあり、そのうちの一頭に俺は乗っていた。
色とりどりのブレスが部屋中に放出され、ものの数秒でモンスターが全滅してる。
:おおおおおおお!
:最短プレイすぎる
:こんなにあっさりドラゴン系をしばくなんて
:魔王の時といい、見たことないモンスターばっかり出てるんですが
:俺も長く探索してるけど、こんな化け物初めて見た
:怖すぎぃ!
:こんな高みから見れる配信って……堪らん
:すごーい
:敵として出会ったらどう戦えばいいのか
:どんなゲームしてても見ない光景だわ
:ジャーマより断然デカくね!?
:カゲっちの持ってるカードがレアすぎる件
:主もカードも化け物すぎるんだが
:ドラゴン達が黒焦げやん
:トロルもマジでタフなはずだけど、あっさり死んでるな
:火力もサイズもやばすぎ問題
:オロチパイセンのファンになりました
:高みの見物配信過ぎて草
:こいつ何十メートルあるの?
:極太ブレスがフロアに炸裂しまくってたな
:ソロだからブッパできるカードだよね
:すげー気持ちいい
:ああああああ
みんなも驚いてるみたい。そりゃそーか。
ヤマタノオロチが消えていったので、俺はそのまま飛行の魔法で奥へと進む。
着地後に降りた階段の先は、今度は狭い一本道になっていた。
『殺戮の敵機兵が五十体、こちらに向かっています』
「殺戮の敵機兵? どんな奴だろ」
『ゴーレムの強化版となります。様々な武器を用いてきますので、お気をつけください』
少し歩くて、確かにチラチラと赤く動く何かが見えた。
それは真っ赤な体をしたゴーレムで、剣や槍、ボウガンやハンマーといった武器を手にしているようだ。
ってか、真っ直ぐにこちらに走ってきてるんだけど、殺意が半端ない気がする。
「早く進まないとだから、これ使うか」
懐から出したのは、夢幻の大魔術師っていうカードだ。投げるとすぐにイケメンが現れ、杖を振りかざした。
すると、目に見えるもの全てがスローモーションに変わっていく。
ここで走るのもいいけど、多分飛行の魔法を使ったほうがいい気がする。静かにもう一度意識を集中し、低空飛行しながら前に進んでみた。
通路が狭いけどゴーレムはバカでかいので、すり抜けるのも大変だけどなんとか進む。
でもやっぱり厳しい場合もあったので、切ったりスキルの回転斬りを使いながらひたすら飛んだ。
ボウガンの矢とか、投げ槍もきたりするけど、避けながら攻撃してきたゴーレムを切る。
急いで飛行しながら、切る、切る、切る。なんか変わったアクションゲームでもやっている気分だ。
階段の前にたどり着いた時、召喚カードの効果は切れていた。
「よし! この調子で急ぐか」
『素晴らしい身のこなしです。継続していきましょう』
:速すぎんかーーー!?
:え、え! どうなってるの!?
:倍速どころじゃなくない?
:アクションゲーム味が半端ない
:気持ち良すぎます
:ワイもこんな動きしてみたい
:は、はえーーーーーーーー
:どう見てもカゲ君は人間をやめてる
:ミリアちゃんも褒めずにはいられない動き
:どんどん人外になるカゲっち
:人っていうより戦闘機みたい
:快感!
:真似したくなるけど、多分誰もできないだろうな
:そもそも飛行の魔法って、国内でできる人ほぼいないよな?
:めっちゃ硬そうなゴーレムをサクサク切り刻むの好き
:一人でここまでやっちゃうなんて、この人くらいだろ
:あのゴーレムって、一体だけでボス級だよ。チームでかかっても倒すの難しいはず
:ランカークラスでも一人で切り抜けるのは無理だわ
:え、え……ちょっとまって。もしかしてソロで深淵クリアしちゃう?
:ソロ深淵クリアになったら、多分国内初の快挙だぞ
:やべえ、興奮してきた!
:みんな助けなきゃいけない人いるの忘れてるよなw
:このショート動画出たらめっちゃバズりそう
:完全に主が人じゃなくなってきたよ
:この調子で突き進んでほしい
:おおおおおおお!?
『ただいま同接が一千万を超えました。おめでとうございます』
「へえー……え」
あれ? なんかバグってない? ちょっと待って。
「え、え! 一千万って、あり得なくね?」
『達成しております。他探索者達が配信を辞めたことで、景虎様にアクセスが集中していると思われます』
「……ええー!?」
一気にここまで上がるなんて……。
本格的にやばいなと思っていた矢先、俺はとうとう辿り着いた。
階段の先にかつてない広さの大部屋があり、不気味なオーラを纏った闇竜が待ち構えていた。