作品タイトル不明
ここからが本番です
この体験を、どう説明したら伝わるだろう。
例えば足を滑らせて、海とか川に落ちちゃったような感じかな?
星が煌めく超謎空間に、俺は放り出されているわけで。
っていうかこれ、宇宙? 宇宙だったら空気がないから死ぬんじゃね?
「う、うおおおお!?」
やばい! 呼吸がぁ!
なんて思っていたけど、どうやら息はできるっぽい。なんか恥ずい。
すると宇宙みたいな空間の中に、一際輝く何かが現れた。まるで太陽みたいに輝くそれは、徐々に大きくなってくる。
いや、待てよ。これもしかして、大きくなってるんじゃなくて接近してるのか。
なんかの星か!? 訳も分からず近づいてくるそれを、俺は両手を出して押し留めようとしてみる。
絶対そんなこと無理に決まってるんだけど、理性とか飛んじゃくらい怖いので考えられなかった。
「あ、ああー!?」
そして俺は、太陽みたいなそれに突入していった。でも、別に体が溶かされるとか、何か苦しい事象に襲われるわけでもない。
気がつけば、まるで全身が温泉に浸っているような心地よさがある。
『あなたに力を授けましょう。受け取ってください』
ん? なんか今、声がしたような……。
徐々に眠くなってきた。俺はぼんやりとした意識の中で、自らの体が変わっていくのを感じていた。
そして何分くらい経っただろうか。気がつくと俺は、ボロマンションの天井を見つめていた。
「あ、あれ?」
起き上がってみると、特にいつもと変わらない。
『探索者レアリティの上昇に成功しました』
AIミリアの声は、なぜかいつもより優しげな感じがした。
「さっきのが、探索者レアリティの上昇ってやつか。夢かと思ったんだけど」
『ランクが上昇しています。ステータスを確認しますか?』
「ああ、みたい!」
一体どうなったのかなぁ。ってか、本当に上がってるのか今も信じられないや。
俺はとりあえずゴーグルをかけてみる。すると、画面にはステータスが表示されていた。
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名前:竜牙景虎
探索者レアリティ:SR
レベル:50
体力:667/1067
魔力:253/402
力:1226
速さ:810
頑丈さ:1185
器用さ:599
運:601
Sスキル:
未修得
スキル:
未修得
使える魔法:
ファイアボール
オルターエゴ(カード効果)
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「……あ…………あ、れ……?」
俺は画面を見て呆然としていた。
なんかおかしい。いろいろとおかしい。
「え、ちょっと待って! 俺って探索者レアリティRだったよ? Rの次ってSじゃなかったっけ?」
『はい。しかしながら、景虎様はSR素材である進化の王冠も獲得されておりましたので、この度二段階の進化を実施しました』
「に、二段階も!? しかもレベルもすげー上がってる」
『ランクRのレベルは40が上限となりますが、景虎様は前回のダンジョン探索中に到達しておりました。上限を超えた分の経験値はストックされており、ランク上昇時に加算されます』
説明を聞くにつれ、なんとか理解はできた。それにしても、なんかSRのステータス画面って新鮮というか、ほとんど見たことがなかったわ。
ってかいつの間にか、オルターなんとかっていう新しいマジックカードも装備されてる。いつ着けたっけ? まあいいか。
「すげえ。そんな仕組みだったんだ。俺ってば全然知らなかった」
『また、探索者レアリティSRよりスキル及びSスキルが解放されています。どちらも規定のレベルに到達すると修得可能です』
「スキルかぁ。なんか必殺技みたいな感じのやつとか、ステータス上げるやつとか色々あるんだよな。でも、Sスキルってなんだろ?」
『Sスキルは、スキルの上位版であり、探索者一人一人に与えられた専用スキルとなります』
「あ……そっか、理解理解」
そういえばあった。でも、Sスキルってほとんどの場合非公開というか、誰も自分のSスキルが何かっていうのは喋らないんだよな。
それと、探索者にはランカーっていう上位層がいるんだけど、あの人達はほぼ絶対にステータスを人に見せないようにしている。
事情は人により違うんだけど、例えるなら自分の全財産を、人に教えないっていうのに近い感覚かなと。
「なあミリア。俺ってばもしかして、超強くなってないか? SR探索者のステータスってほぼ見たことないんだけどさ」
『いいえ、景虎様はまだまだ修練が必要です。SR探索者の力は、本来次元が違うものです』
「そっかー。やっぱまだかぁ」
だよねー。いろんなデータを網羅してるらしいAIが言うんだから、やっぱそうだよな。
『しかし、景虎様には大きな可能性があります。私が保証しましょう』
「マジで? そんなに才能ないと思うけど」
保証してくれるのか。AIが断言するってほとんどない気がする。
『レベルアップは始まったばかりです』
「え、え? もうけっこうやってないか?」
『ここからが本番です。ログインボーナスに新たな専用ダンジョンキーが送られておりますので、可能ならすぐにでも潜りましょう』
めっちゃミリアがぐいぐい来るんだけど、本当かなぁ。ってか、ログボにもダンジョンキー送られてるのか。
「そうだな。今度雑談した後にでも潜るかー。……ん?」
おや、スマホが振動してる。電話がかかってるっぽい。
画面をみると、霧雨玲奈の文字が表示されてる。あの人をからかうことにおいては右に出る者がないギャルからの電話だと?
なんか嫌な予感がする、と思いつつ俺は電話マークをタップした。