作品タイトル不明
ただいま、同接が二十万を超えました
モンスターの消え去った後、王冠だけがゴロンとステージに転がってる。
「デカいなこれ。進化素材なんだっけ? 一体どうやって使うんだ」
『使用方法は後ほど説明します。まずは回収を優先します』
「サンキュー。あ、そうだ! みんなー、なんとか勝った……」
俺は画面を見て唖然とした。なんだよこの騒ぎ。
:ああああああああ!
:ソロでダイオウイカを倒した!?
:すげえええええ
:めっちゃ強いやんけ!
:ってか、間違いなくランカーの実力あるわ
:なんなのさっきの!?
:新しい火炎魔法かな
:絶対ファイアボールじゃなかったぞあれ
:あの召喚したモンスターも鬼強かったけど、その上をいく魔法だった
:さすがは葵ちゃんを救っただけあるわ
:デカすぎる王冠が似合う男
:こんなアイテム見たの初だわ
:初めてばっかだぞこのチャンネル!
:おめでとうーーーーー!
:助からないと思ってヒヤヒヤしてた
:ファンになりますた
:圧倒的すぎて草
:今度雑談でいろいろ説明お願いします!
:こりゃ切り抜き動画が溢れちゃうな
:おおおお!
:ってかダンジョンクリア!?
:ダンジョンが透けてる!
ん? ダンジョンが消える?
『モンスターを全て討伐したことにより、ダンジョンクリアとなりました。よって、もうすぐダンジョンが消滅します』
「え? ちょっと待て。こんなのんびりしてて大丈夫か!?」
『はい』
本当かよ! 俺はつい体が走って逃げたい衝動に駆られたけど、そんな暇なんて一ミリもないとばかりに、あっさりとダンジョンは消え去り、気がつけば橋の真ん中に立っていた。
「あ、あ、あれ?」
辺りは夕陽が落ちてきてる。そんなに長居したつもりはないけれど、いつの間にか数時間が経っていたらしい。
「じゃあ今日は帰るか」
『ミッションを多数達成しています』
「ああ、そういえばミッションもあったな。どんな感じ?」
例のウインドウを出現させ、達成したとか言われてるミッションを見てみる。
「え……」
俺は引いた。なんかよく知らんがドン引きした。
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特別ミッション
・初めて進化の洞窟をクリアする:clear
・モンスターを百匹討伐する:clear
・初めてダイオウイカ【エヴォリュシオン】を討伐する:clear
・初めてボスモンスターを討伐する:clear
・初めて進化の王冠をゲットする:clear
・初めて悪魔の木を討伐する:clear
・進化素材を百個集める:clear
・マジックカードを一枚、習得率100%にする:clear
・召喚カードを五回使う:clear
・魔法を二回使用する:clear
・モンスターの攻撃をジャストタイミングでかわす:clear
・モンスターにカウンターを当てる:clear
・召喚モンスターの親密度を十上げる:clear
・ダンジョン内を一万歩以上歩く:clear
・モンスターから逃げる:clear
・素材を三十個以上拾う:clear
・初めて進化の洞窟に挑戦する:clear
・初めて専用ダンジョンキーを使用する:clear
・Rレアレベル上限に到達する:clear
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うん……なんかもう、よく分からん。
っていうか全部目を通してない。情報量が多すぎて俺にはもう無理だこれ。
「とりあえず、帰ったら一括受け取りするよ」
『承知しました。それから、おめでとうございます』
「え? 何が?」
『ただいま、同接が二十万を超えました』
「同接が……は?」
え? さっきまで五万とかじゃなかった?
俺はふとゴーグルの右上をチェック。どう数えても、ある。二十万の同接……嘘だろ。さっきより急に増えすぎだって!
「あ、ああああ! どうなってんだぁあああ!」
未だかつて、こんなに多数の人達に見られたことなんてなかった俺は、とんでもないプレッシャーに悶絶した。狂っちゃうよこんなの!
『みなさん。景虎様は少々ご乱心のようですので、今回の配信はここまでとします。では、ごきげんよう』
:二十万同接おめ!
:やるぅー!
:チャンネル登録して一ヶ月とかからずに登録者数百万、同接は二十万、まさに怪物
:なんかやたら上品だなAIw
:最後AIが締めてて草
:ってかみんな流してたけど、そもそもなんだミッションって!?
:万歩計みたいなミッションで草
:カゲくんお疲れさま! そしておめでとう
:いつから探索者はソシャゲみたいにミッションこなすようになったの?
:お疲れー!
:さっきチラッと見えたけど、レベル上限に達したとか書いてなかった!?
:ごきげんよう
:もうちょっと見たいよーーー!
:ミリアちゃんもお疲れ!
:やべー次回が楽しみすぎる
:これは大型新人だわ
:なんか配信の八割以上謎だらけだったわ
:楽しかったー
:じゃあねー
嵐のように流れゆくチャットにも、もう俺は反応できそうにない。
マジでビビりまくりだったし、意外なことばっかりだ。ってかこのまま探索配信を続けたら、俺ってばどうなっちゃうんだろ。
まあとにかく今日はゆっくり休もう。そう思い帰りのバスを待っていると、ミリアが話しかけてくる。
『お疲れさまでした。この度の活躍は、三度目のダンジョン挑戦としては素晴らしいものでした』
「そうかなー。俺、わりと恥ずかしい姿見せちまったぞ」
『何も恥ずかしいことはありません。そして、今回の活躍により、また新たな機能が解放されております』
「え、まだあんの?」
これ以上なんか増えるって嘘だろ。たった三千円のサブスクの割には、サービスが破格すぎる気がするんだけど。
バスがやってきたことでミリアの声はしなくなったが、俺はこれから何が起こるのか分からず、なんだか落ち着かなくなっていた。