軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第38話 犯人はお前だ!!

「よっとっ」

――ズドンッ!!

私は巨大な木の杭を地面に突き刺した。

「ふぅ、これで完成ですね」

何日か掛けて、畑も含めて、村全体を囲う巨大な木の壁が完成。

アークと私の超健康チートのおかげで、思ったよりも早くできあがった。

『うぉおおおおっ!!』

村人たちが、道具を放り上げて完成を祝う。

これで、モンスターもなかなか入ってこれないはず。ひとまず、村の内部でモンスターに襲われる心配は少なくなった。

村人たちはしっかり休むことができるし、畑仕事にも集中できるはず。

それに、アークが食事がてらに巡回していたので、しばらくの間、モンスターは村までやってこないと思う。

でも、モンスターが襲ってくるようになった原因はちゃんと特定したい。そうしないと、またモンスターがやってくるかもしれない。

ファングボアが襲ったという畑を実際に見てみよう。何かわかるかもしれない。

「すみません、畑を見せてもらってもいいですか?」

「分かりました」

私たちは村長に連れられて、ファングボアが食い散らかしたという畑に向かった。

「これは……ひどいですね」

「悲惨だな」

案内された畑は見るも無残な有様だった。

ただでさえ、ちゃんと実っている作物が少ないのに、その作物のほとんどが食い荒らされてほとんど残っていない。

村人が痩せこけるのも当然だと思う。

今は皆、私たちが森の中で採ってきた果物や木の実、それとモンスターの肉のお陰で、最初よりは断然顔色が良くなってるけどね。

私はしゃがんで土を触ってみる。

これは……独特の手触りと、かすかな刺激臭。調合小屋でも嗅いだことがある。

そこで、ファングボアが襲ってきた時、マリンダさんが不思議そうな顔をしていたのを思い出した。

「マリンダさん、ファングボアの様子がおかしかったんですよね?」

「あぁ。あいつらはあまり群れる性質じゃないはずなのに群れて襲ってきやがった。それに、やたらと興奮していたね」

「なるほど、そういうことですか」

それを聞いて確信した。

「何が分かったんだい?」

「その前に、この土って堆肥を混ぜてますよね?」

マリンダさんには答えず、村長さんに尋ねた。

「えぇ、はい」

「その堆肥を見せてもらえますか?」

そこに答えがあるはず。

「あ、いや、堆肥を作っていた場所はめちゃくちゃに壊されてまして……」

「やっぱり………一応見せてもらえますか?」

「分かりました」

村長さんは思った通りの反応をする。私たちは畑から堆肥を作っていた場所に移動した。

「これは……」

「畑よりめちゃくちゃじゃないか!!」

堆肥の置き場所は、もはや原型が残らないくらい、めちゃくちゃに破壊されていた。

ここにファングボアに群がっていた証拠だ。

「もう、いい加減教えてくれてもいいだろ?」

痺れを切らしたマリンダさん。

こめかみをピクピクさせている。これ以上引っ張ったら怒りそう。

すぐに説明しよう。

「はい、今年、ファングボアがこの村を襲ったのは……おそらく、この堆肥が原因です」

「なんですって!?」

思ってもいなかったのか、村長さんが目を大きく見開いた。

「堆肥の作り方は決まっていますよね?」

「そうですね、ある程度は」

「でも、今年はいつもとは違うことをしたんじゃないでしょうか?」

堆肥の作り方は村ごとにある程度決まってることが多いと、農薬系の本で読んだことがある。

どこから材料を取ってくるかも指定されている場合もしばしば。

「いや、そんなはずは……あっ!!」

村長さんが眉を寄せ、考え込むような仕草をした後、ハッとした表情になった。

「何か思い当たることがあるみたいですね?」

「はい……」

村長さんはバツが悪そうな顔になった。

「何をしたんですか?」

「いつもとは違う山から落ち葉や草を集めてきました……」

「そうです。実はその山には、ファングボアの雄が好む、トリューフ草が生息していて、たくさんの枯れ草が混ざっていたんです」

「そういうことか……あいつら群れてたわけじゃないんだな? ただ同じ場所を目指してただけで」

「そういうことです」

マリンダさんは納得顔で頷く。

トリューフ草は、メスのフェロモンのような刺激臭を出し、何かに混ぜると特有の粘り気を生む。

その匂いはファングボアの雄を興奮させる作用がある。

ファングボアは、トリューフ草がたくさん混ざった肥料の匂いに釣られてこの畑にやったきたってわけ。群れて見えたのは雄がこぞってここを目指してたやってきただけ。

それが今年、村にファングボアが襲ってきた顛末だ。

そして、このトリューフ草は堆肥には向かない。それどころか、作物の生育を阻害する効果まである。

「まさか、堆肥が逆に実りを悪くしてたなんて……」

「そこまで伝わってなかったなら仕方ないかと」

説明すると、村長さんは愕然とした。

口伝だけだと、肝心な部分が欠落しちゃうこともある。歯抜けの薬学書で薬を作らされた時は辛かった。

「でも、それじゃあ、今から作物をどうにかするなんて土台無理な話じゃ……」

村長さんは絶望的な表情で呟く。

なんでそんなに暗い顔してるんだろ?

「そのくらい簡単に浄化できますよ?」

『は?』