軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第18話 これが普通だと思っていた

「今日のノルマも終わっちまった。解散!!」

『うぃーっす』

翌日、昨日よりさらに早く、お昼前には作業が終了。

時間ができたので、今日も薬草採取を行う。

「もう仕事は終わったのか?」

「うん、昨日よりも作業に慣れたからすぐ終わっちゃった」

しばらくすると、先に森に来ていたアークが私の許にやってきた。

一日観察して問題ないと判断して、一人で森に行ってたんだよね。しっかりと腹ごしらえができたのか顔がご満悦だ。

匂いで現場にいないことが分かってこっちに来たみたい。

「それじゃあ、薬屋に行こうか」

「うむ」

私たちは薬草の採取を終わらせ、宿屋に荷物を置いてから、小さな瓶一つをカバンに詰め、おっきな瓶に詰めたポーションが入ったリュックを持って薬屋に向かった。

「こんにちはー」

「嬢ちゃんか。今日はどうした?」

今日もお爺さんは眉間に皺をよせ、険しい表情をしている。

「早速薬を作ったので、買い取ってもらおうと思いまして」

「おおっ、本当か? どれ、見せてみろ」

「ちょっと待ってくださいね」

私はカバンに入れた小さな回復ポーションの瓶を取り出してカウンターに乗せる。

「なっ!?」

お爺さんが薬を見るなり目を見開いた。

「どうしました?」

「どうしましたってこりゃぁ……魔法薬化した回復ポーションじゃねぇか!?」

「魔法薬化? そうじゃない回復ポーションがあるんですか?」

魔力を流さず作るポーションなんて見た覚えがない。

「おいおい、そこからか。薬って言うのは普通の薬と、魔法薬の二種類あるんだ。そして、魔法薬は普通の薬に比べて、効果、即効性、保存期間、その全てが普通の薬とは比べ物にならないくらい高い。魔法薬を作れる薬師なんて、この街にも数えるほどしかいねぇぞ?」

「初めて知りました。てっきり魔法薬しかないと思っていたので……家でもそう教わりましたし……」

渡された本には魔法薬としての作り方しか載っていなかった。だから、それが当たり前だと思っていた。

「おいおい、どんな家だよ、そりゃあ……って突っ込み過ぎたな。てっきりお前さんが普通の薬師だと思っておったからびっくりしただけだ。その若さでこれほど澄んだ魔法薬のポーションを創り出すなんて素晴らしい技術だぞ。ワシでもこれほどの物は作れん」

「え、そうなんですか? これが普通だと思ってました」

思い出すのは、澄んだ緑色の綺麗なポーションを生み出すまで罵倒し続けられる日々。だから、これが私にとって唯一成功したと言えるポーションだった。

でも、それさえも違ったみたい。

「馬鹿言っちゃいかん。こんな技術を持つ薬師は世界でも両手の指ほどもいないぞ」

「ふふふっ、流石にそれは冗談だって分かりますよ」

「冗談ではないぞ」

「ふふふっ、ありがとうございます」

お爺さんも面白いことを言う。

魔法薬が凄いものだということは分かったけど、私が世界でもトップクラスの実力を持っているなんてとんでもない。

衝撃を受けていた私を励ましてくれたんだと思う。その気持ちが嬉しい。

「はぁ……さて、どうしたもんか……」

お爺さんは顎に手を当てて少し考え込む。

「もしかして買い取ってもらえませんか?」

「いや、できなくはないが、こんなところで買い取っていい代物ではない」

「でも私、他の店に薬草を売りにいった時、全員にぼったくられそうになったんですよね。お爺さんだけは適正な価格で買い取ってくれました。だから、買い取ってもらうならお爺さんがいいですけど……」

正直、他の店で売る気にはなれない。

「ふぅ……分かった分かった、ワシの負けだ。そんなこと言われたら、買い取らないわけにもいかんだろう。幸い高く買い取ってくれる奴に心当たりがないわけじゃない。せいぜい高く売りつけてやるさ。あるだけ出してくれ」

「ありがとうございます!!」

――ドンッ

私は作った回復ポーションが全部入った大きな瓶を一つリュックから取り出した。

沢山瓶を買うより一つの大きな瓶を買う方が安上がりだったのと、いくつもの瓶をリュックに入れると中で割れてしまうので、苦肉の策だ。

これなら激しく動いたり、ぞんざいに扱ったりしない限りは割れないはず。

「おいおい、なんだ、その量は。いったい何本分作ったんだ!?」

「大体五十本分ですね」

「五十本だとぉおおっ!? 普通そんなに作れんはずだが!?」

「そうなんですか? 一日に百本は作れると思うんですけど……」

毎日二十四時間ほぼ休まずに作れば、その倍くらいは余裕でいく。

でも、普通の人間なら睡眠や食事が必要。だから、半分くらい他の時間に充てるとしても、このくらいは作れると思う。

「そんなわけあるか!! どんなに優れた薬師でも二十本も作るので限界だ!!」

「でも、家ではこれが普通でしたよ?」

「嬢ちゃんの家はどうなっておるんじゃ!? そんなのありえんぞ!!」

「え、そうなんですか?」

休みがないのは異常だとは思っていたけど、一日でこなさなきゃいけないノルマまで異常だったとは思わなかった。

以前の私は、よくそんなノルマを処刑される直前までこなし続けてたなぁ。

「はぁ……まぁいい。ちょっと待ってろ」

お爺さんは店の奥に行こうとしてカウンターから出る。

「おい、爺さん、ちょっと来てくれ!!」

しかしその時、知らない人が切羽詰まった様子でお店に飛び込んできた。