軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第173話 いざ、オークションへ

オークション当日。

「それじゃあ、準備をしようか」

「着付けはお任せください」

「よろしくね」

私たちは各々ドレスアップして出かける準備をする。

まず、食事をきちんと食べる。

「この、カツ、というボア肉を揚げた物を卵でとじたカツ丼という食べ物はなかなかうまいではないか」

「ピピピピピッ!!」

「このカツDOOOOOOOOOON!!なるものは手が止まりませんね」

「これ美味しいわぁ。ハーベストで流行りそうね」

オークションでいい結果を残せるように、今日はカツ丼を作った。

やっぱり願掛けって大事だよね。それに腹が減っては戦はできぬともいう。

しっかりと食べてオークションという戦いに臨まなきゃいけない。

結果として皆から好評だった。

レインがやたらと発音のいい英語みたいな呼び方をしてるけど、気にしたら負けだと思う。

「街はごみごみしてるけど、このお風呂はやめられないよねぇ」

「くっ、我の尊厳が……」

「ピピー」

「この体も修復されているような気がします」

ご飯を食べたら、地下にある鍾乳洞温泉に浸かって気持ちを落ち着け、念入りに体を洗う。

アークは悔しげに顔を歪め、エアはのんびりと気持ちよさそうな顔で湯に浮かんでいる。

「私にお任せを」

「あぁ〜、気持ちいいね」

さらに、レインのエステによって、私は完全にピッカピカに磨き上げられた。

もちろん、アークもエアも専用のシャンプーとリンスを調合してしっかりと綺麗にした。

おかげでアークはサラサラヘアーで美しさと気品に溢れ、エアも可愛さがいつもの五割り増しになっている。

そして、最後にドレスアップ。

「マスター、終わりました」

「ありがとう」

レインが出した姿見を見ると、以前カジノでしてもらったのとはまた別の自分の姿が写っていた。

オフショルダーの白を基調としたドレス、そして、胸元を彩るネックレス。

髪を後ろで結い上げられていて、簪のような髪飾りが差し込まれていた。

計算し尽くされたコーディネートによって、神秘的な美女へと変貌を遂げている。

普段でも綺麗だとは思っていたけど、ここまで変わるものだとは思わなかった。

いつもと違いすぎて、人前に出るのが少し恥ずかしい。

最後に香水の軽く潜って完成。

レインは自分自身のドレスアップも難なくこなし、アークとエアに蝶ネクタイとちょっとしたベストのような服を着せていた。

これで準備万端。流石に参加拒否されたりしないはず……そう思いたい。

「あらっ、見違えたわね。よく似合ってるわ」

「ありがとうございます。それでは行ってきます」

「はい、いってらっしゃい」

私たちは宿を出て、レインが馬車を取りだした。

「偽装モード」

レインが一言呟くだけで、機械的だったゴーレム馬がどう見ても普通の馬にしか見えなくなった。

ただ、そこで気づく。

御者がいないということに。

街に来る時はレインが御者台に乗っていたけど、着飾った令嬢にしかみえないレインがオークション会場までの御者をするのは違和感しかない。

「あらっ、まだ出てなかったの?」

悩んでいると、宿の入口から女将さんが顔を出す。

「はい。御者がいなかったなと思いまして……」

「あぁ、そういうことね。ちょっと待っててちょうだい」

「え、あ、はい」

女将さんは有無を言わさず、宿の中に戻っていった。

「おまたせ」

「いいえ、そちらの方は?」

女将さんが戻ってくると、その背後にいかにも御者をしていそうな雰囲気の男性がついてきていた。

目深に帽子を被っていて顔が窺えない。

「魔法で造り出した人形みたいな物よ」

「これが人形なんですか!?」

見た目はどう見ても人間にしか見えない。

「えぇ、あまり複雑なことはさせられないわ。でも御者くらいならこなせるはずだから、気にせずに連れていってね」

「分かりました。ありがとうございます」

「いえいえ。オークション楽しんできてね」

「はい。目一杯楽しんできます」

女将さんとの会話を終えると、馬車に乗り込み、オークション会場を目指した。

御者人形は何も問題なく、私たちをオークション会場まで送り届けてくれた。

『おおおおおおおっ!?』

馬車を下りた途端どよめきが起こる。

何事?

周囲を見回すと視線が集まってる気がする。

もしかして原因て私たちとか?

御者ちゃんはオークション会場にいた人の指示に従って馬車を走らせていってしまった。

まぁ、女将さんが作ったんだろうし、多分、大丈夫だよね。

私たちは視線を避けるように会場の中へと向かった。

「よ、よよよよ、ようこそお越しくださいました。参加状をご提示ください」

受付の人に話しかけたら、しどろもどろに返事をした。

大丈夫かな。ちょっと不安になる。

「お願いします。もっと肩の力を抜いて接客してもらっても大丈夫ですよ」

「これは!? こ、ここここ、こちらへどうぞ!!」

緊張をほぐそうと思ったけど、以前貰った参加状を出すと、さらにガチガチな動きになってしまった。

「こ、ここここ、こちらがお客様のお席になります」

ロボットみたいな動きをする受付嬢さんの後をついていくと、奥に会場が見渡せる窓がついた個室へと案内された。

とりあえず、参加拒否されなくてよかった。