軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第144話 分からせる

「服を着てほしいんだけど……とりあえず、私の服を貸すね」

まずは真っ裸なのをどうにかしないと。私よりも身長が高そうなので丈が合わないかもしれないけど、買うまでは我慢してもらおう。

「いいえ、マスター。ご心配には及びません」

「わぁ!!」

私の心配をよそに、人型ゴーレムの体が光に覆われ、ものの数秒で服が現れた。

メイドフェアリーというだけあってメイド服だった。よく似合っている。

「こちらでいかがでしょうか?」

「うん、大丈夫だよ、でも、いったいどこから出したの?」

気になるのはその出どころ。どこにも服を持っている様子はなかった。

「私には亜空間倉庫機能が搭載されております。そこに残っていた素材を使用し、マスターの記憶を基にメイド服を作成いたしました」

「亜空間倉庫? 作った?」

「はい。この世界とは別の広大な空間に物を仕舞っておける機能だと思っていただければ。中に入れた物は時間経過せず、入れた時の状態のまま保管しておけます。そして、道具生産機能により、ある程度の物であれば簡単に作れるようになっています。ただ、現在機能の一部が破損しているため、限定的となっております」

「破損は直るの?」

「マスターからのエネルギー供給により、自動修復プログラムが実行中です。順次機能を取り戻す予定となっております」

「それはよかった。それにしても、すっごい便利だね」

「恐れ入ります」

アイテムバッグの上位互換の機能とクラフト機能を併せ持つ、万能メイドさんだった。

「早速なんだけど、このバッグに入ってる食材や薬草を仕舞っておいてもらってもいい?」

「かしこまりました」

これで、いつでもどこでも出来立ての料理を食べられるようになるし、食材の期限も気にしなくて済む。これからの旅がさらに楽しくなりそうな予感がした。

もちろん、マリンダさんの教えは忘れてはいない。分断されても生きていけるように必要なものは自分で持つ。

そういえば、まだゴーレムさんの名前を聞いてなかった。

「名前は?」

「ありません。強いてあげれば型番になります」

「それはちょっとね」

「それでは、マスターのお好きにお呼びください」

型番で呼ぶのは可哀そう。折角美少女の姿をしているので、可愛い名前がいいよね。

「うーん、そうだなぁ……」

改めて人型ゴーレムの容姿を確認。

私ともエリアとも違う水色の艶やか髪を結い上げ、海のように深い青色の切長な瞳を持っていて、クールで凛とした雰囲気を纏っている。

「そうだ。レインっていうのはどう?」

この名前は、私が好きなアニメに出てくるヒロインの名前だ。雰囲気も似ていてイメージにぴったり合う。

「承知しました。レインとお呼びください」

「了解。それじゃあ、私の仲間を紹介するね。こっちの狼が相棒のアークで、こっちの緑色のヒヨコがエア。私が卵を孵したからいちおう親ってことになるかな」

「承知しました。アーク様、エア様よろしくお願いいたします」

レインがエリアみたいにカーテシーでお辞儀する。

「うむっ、くるしゅうない。励めよ」

「ピピッ!!」

アークは随分上から目線で応え、エアは嬉しそうに鳴いた。

「それじゃあ、そろそろ地上に戻ろうか」

部屋から出ると、警備ゴーレムたちが。

隠し部屋には入ってこなかったから、連れてきていたのをすっかり忘れていた。

『■■!! ■■!!』

すぐに警備ゴーレムたちが群がってくる。

「■■■■■■」

鬱陶しいけど、また無視していけばいいか思ったら、レインが何かを呟いた直後、彼らは何事もなかったかのように散っていった。

「何をしたの?」

「マスターを所有者登録しました。以後、警備ゴーレムが襲ってくることはないはずです」

「そうなんだ。ありがとう」

レインのおかげで帰りはゴーレムに煩わされることなく、膜の側まで戻ってこれた。

「このまま外に出られるおつもりですか?」

「うん、そうだよ」

「それは難しいのではないでしょうか」

「ここまで泳いで来たから問題ないよ」

「マスターは人間ではないのでしょうか?」

レインがとんでもないことを言い始める。

「人間だよ?」

「こやつは人間ではない。化け物だ」

否定したら、アークが口を挟んできた。

「そんなことないよ!! アークは黙ってて」

「ぐぉおおおおっ!?」

煩いのでデコピンして黙らせる。アークは鼻先を前脚で押さえて地面を転がった。

「私は人間だから。よろしくね?」

「はい、マスターは人間。承知しました」

私がとびきりの笑顔を作る。レインは壊れた人形のように首を縦に振った。

よし、これで問題なし!!

「逆に聞くけど、レインは海水とか水圧は大丈夫?」

「はい。水深一万メートルでも問題なく稼働できます」

「それなら大丈夫そうだね」

私たちは膜の外に飛び出した。レインも特に問題なさそうだ。

アークはしばらくしたら追いかけてきた。

帰りはあっさり街に到着。

でも、なんだか初めに来た時とは比べ物にならないほど賑わっていた。

何かを祝う紙吹雪のようなものが舞い、至る所で住民たちが酒を飲んでいる。

いったいどうしたんだろう?

「すみません、何かあったんですか?」

近くにいた人に話を聞いてみる。

でも、それが間違いだった。

「おぉっ、それがな、海神様がクラーケンを倒してくれた上に、大漁でよ……って海神様じゃねぇか!!」

「何、海神様だと!?」

「どこどこ、どこなの!?」

「あそこだ!!」

その人が叫ぶと、次々人が集まってきて私はすっかり取り囲まれてしまった。