作品タイトル不明
第142話 むし
『■■!! ■■!!』
警報が鳴り響き、ゴーレムたちからも警告らしき音声が流れている。
一応万歳して無抵抗の意思表示をすると、警報と止まり、ゴーレムたちの警戒態勢が解かれた。
ふぅ、収まったみたいでよかった。
「我に敵対するとは良い度胸だな!!」
ホッとしていると、私の意図しない行動をする存在がいた。そう、アークだ。
アークが威嚇するように唸り出し、今にも襲い掛かりそうな勢いで威嚇する。
『■■!! ■■!!』
せっかく見逃してくれたのに、またゴーレムたちが騒ぎ始めた。
「ちょっとアーク!! 大人しくしててよ!!」
「ぐはぁっ!? 何をする!!」
暴挙を止めるため、頭にチョップ。
アークは痛そうに頭を押さえて抗議してくる。
「何をする、じゃないよ。彼らは多分ここを守るという命令に従っているだけなの。大人しく帰れば攻撃してこないでしょ」
「そんな風には見えんぞ?」
「え?」
アークの顎に促されて視線を戻すと、ゴーレムが私たちに重火器を向けていた。
『■■■■■■■■■!!』
けたたましい音声が流れた後、ゴーレムたちの武器の先端に熱が収束していく。そして、私たちに向けて一斉に攻撃が放たれた。
青白いビームがいくつも飛んでくる。
ヤバい!!
私は咄嗟にエアを抱きしめて蹲った。
光線は私に直撃……でも、私の体に吸収されたように消えてしまった。
「あ~、やっぱりノーダメージだったかぁ」
案の定、ゴーレムたちの攻撃では私に傷一つ付かない。
「ピピィッ」
「楽しいの? よかったね」
「ピピッ」
ビームが飛び交う中、私の腕の中で楽しそうにはしゃぐエア。
「アーク、無事?」
「このような攻撃は我には効くわけなかろう」
アークも余裕そうな顔をしている。
「良かった」
「ふんっ」
私たちにとってゴーレムは脅威にならなそうだ。それなら、わざわざゴーレムを壊す必要はないよね。勿体ないし。
「エア、あの攻撃から身を守れる?」
「ピッ!!」
敬礼するように頷くエア。うんうん、可愛い。
「それじゃあ、攻撃を逸らしてね。アークも反撃しちゃダメだよ」
「なんだと?」
「いい? 分かった?」
「う、うむ。我は寛大ゆえ、奴らの無礼も許してやろう」
手刀を振り下ろす仕草をすると、アークは大人しくなった。
エアの力によってゴーレムたちの攻撃が私たちを避けるように屈折する。
これならゴーレムたちを破壊せずに中を探索できそう。
「それじゃあ、中を見に行こうか」
攻撃を無視して建物の入口へと向かう。
ゴーレムたちが私たちを捕まえようと群がってきた。だけど、止められない。
「なんだか急にこやつらが不憫に思えてきたぞ」
「壊すのは勿体ないでしょ」
「言いたいことは分かるが……」
「いいから行くよ」
建物の入り口は自動ドアみたいな感じになっている。
『■■!! ■■!!』
前に立つと、ゴーレムが発していたような警報が鳴った。
資格がないから開かないってことなんだろうね。
仕方ないので、強引にドアを開けて中に入る。
建物に被害を出さないようにするためか、ゴーレムたちが銃火器を使うのを止め、物理的に私たちを止めようとしてくるけど、なんの意味もない。
「まさに研究所って感じだね」
「珍妙な場所だな」
屋内は最新鋭の研究施設みたいに無駄を省いた造りになっている。正面に受付らしきカウンターがあり、両側に奥への道が伸びていた。
カウンターには誰もいない。
奥に進んでいくと、いかにも研究室って感じ部屋が並んでいる。中には試験管やフラスコなどの道具や、顕微鏡っぽい魔道具などがたくさん置いてあった。
でも、やっぱりデータ化されているのか、書類の類は見当たらない。そのせいでここが行われていたのか全然分からなかった。
だけど、奥に行くにつれてこの建物の目的が分かってきた。
「これは人型のゴーレム?」
なぜなら、人間の体の部位の似た部品が見られるようになってきたから。
多分、ここは人型ゴーレムの研究・製造をしていた場所なんじゃないかな。
『■■!! ■■!!』
期待を胸に、さらに奥へと進む。
でも、一番奥には偉い人の執務室みたいな部屋があるだけだった。私がイメージしていた、人と見分けがつかない程に精巧な人型ゴーレムは見つからなかった。
「残念だなぁ」
「ピピィ」
ガックリしていたら、エアが私を呼ぶ。
「どうしたの?」
「ピピピピッ」
「空気の流れている場所があるって?」
「ピピッ」
なんと、何やら隠し部屋みたいなものを発見したらしい。
確かにうっすらと不自然なつなぎ目がある。本来はロックを解除するんだろうけど、面倒なのでエアが指し示した場所を軽く殴った。
壁が崩れ落ちる。その先には道が続いていた。
先に進むと、銀行の金庫みたいな分厚く厳重に閉ざされた扉を発見。
本来ならここも開けられないんだろうけど、今まで通り力任せに開く。
中は伽藍としていて薄暗い。そして、無駄に広い空間が広がっていた。そして、部屋の中央に横たわるカプセルが異質な存在感を放っている。
おそるおそる近づくと、透明なガラス越しに人の姿が見えた。
「もしかして、古代人……?」