軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第115話 迎撃

ついさっきまで何の変哲もなかった木々が、一斉に動き出して私たちに襲い掛かってきた。

これがこの森の異常の原因だと思う。

森の中が静まり返っていたのは、トレントが大量発生したことによって、他のモンスターや動物まで淘汰されてしまったんじゃないかな。

「エア!!」

「ピィッ!!」

エアが風の刃で襲いかかる鋭い木の根を切り刻んだ。

残骸がバラバラになって地面に落ちる。

「エアちゃんもお強いんですのね!!」

エリアが嬉しそうにはしゃいで手を叩いた。

「ピィッ!!」

褒められたエアがドヤ顔で胸を張る。

可愛い。

でも、また他の根が地面から飛び出してきた。エアがすぐに切り裂く。ただ、切っても切ってもキリがない。

こんな時でも全く動じてないエリアの胆力が凄い。これが商人の娘なのかな。

「いやぁあああっ!!」

「しまった!?」

離れた場所の冒険者たちが次々と宙に舞っている。

「はぁっ!!」

「やっ!!」

「ロックバレット!!」

ヒイロさんが次々根を切り飛ばし、弓使いと魔法使いが遠距離攻撃で根を貫いて、すぐに救出した。

「全員、地面からの攻撃に備えつつ、馬車の周りに集まって迎撃!!」

『了解!!』

全員を地面に下ろした後、ヒイロさんの指示で護衛の冒険者たちが商隊を囲むように展開。前衛が前に立って後衛を守る。

「くっ!?」

「きゃっ!?」

でも、地面から攻撃が不規則すぎて冒険者たちも苦戦。

どう見てもトレントの数が多すぎる。十匹や二十匹じゃすまない。百、いや、千、もしかしたらそれ以上いるかも。

おかげでこっちは防戦一方。

このままじゃジリ貧。どうにかして状況を打破しないと。

『アーク』

『ふんっ、仕方あるまい。分かってるな?』

『分かってるよ。後で料理作ってあげるから』

『分かってるならいい』

こういう時は、この中で自由に動けるアークに数を減らしてもらうのが一番。私がエアを抱えて降りると、アークは意気揚々とトレントの群れに駆け出した。

私が料理作るくらいで言うこと聞いてくれるなら安いものだよね。

「アークさんは大丈夫ですの?」

「見てれば分かるよ」

エリアがアークを心配そうに見つめる。

見た目は弱いモンスターだし、食っちゃ寝してる姿しか見てないからエリアがそう思うのは無理もないかも。

『ギィアアアアアアアアッ!?』

アークが向かった方から耳鳴りのような不快な鳴き声が次々とあがる。アークが通り抜けただけで、何十匹ものトレントたちが一瞬で細切れになった。

そのおかげで商隊への攻撃が緩む。

「まぁ!! あんなに一瞬で!!」

「信じられません。本当にブラックウルフではないのですね……」

アークの活躍を見て、エリアとカリヤさんを驚いた。

「ウォオオオオオオンッ!!」

アークが遠吠えをしながら遠くでトレントを蹴散らしていく。でも、アークが倒したトレントの穴を埋めるように次から次へと新しい個体が押し寄せる。

アークでもすぐに殲滅できないなんて、いったい何匹のトレントが集まってるのかな。考えるだけで嫌になりそう。

ただ、間違いなく地面からの不意打ちはかなり減ってきている。おかげでヒイロさんたちに余裕が出てきていた。

「ヒイロさん、商隊は私たちが守ります!! トレントを減らしてください!!」

「いけるのかい!?」

「任せてください!!」

「分かった!! 俺たち光輝の剣がトレントを撃退する。サポートしてくれ!!」

『了解!!』

状況を打破するためにはトレントを全滅させる以外にない。

でも、私の攻撃は環境への影響が大きすぎるし、万が一に備えてエリアのそばを離れるわけにはいかない。

ヒイロさんたちに頑張ってもらうのがいいと思う。

「エア、皆をお願いね」

「ピッ!!」

エアが私の胸から馬車の上に移動する。エアなら、今くらいの攻撃頻度なら冒険者を全員守るくらいできるはず。

ヒイロさんが冒険者を率いて打って出る。ヒイロさんたちを根っこの奇襲が襲うけど、馬車の上で飛び跳ねてるエアによって切り落とされる。

邪魔がなくなったヒイロさんたちがトレントを次々と切り倒していった。

「どうにかなりそうですわね……」

「そうだね」

一時はどうなることかと思ったけど、このままいけばどうにかなりそう。根っこの攻撃の回数があからさまに減り、周りに見えるトレントもどんどん減っていく。

「ディバインソード!!」

ヒイロさんの剣が光り輝き、十メートル以上の長さになって、横なぎにすることで数十匹以上のトレントが消滅した。

「おおっ、凄い」

「あれが光輝の剣というパーティ名の元になったヒイロさんの聖剣技ですわね」

魔導銃には及ばないけど、高威力の技だ。

――シュルルルルッ

冒険者たちの姿を見守っていたら、木の根がわたしの体に巻きついてきた。

「!?」

「アイリスさん!?」

エリアが心配そうに叫ぶ。

「よっ」

でも、心配は無用。

少し力を入れただけで木の根が弾け飛んだ。

「え!?」

「このくらい大丈夫だよ」

「し、心配無用でしたわね……」

エリアが笑みを引き攣らせる。

――シュシュシュッ!!

今度はまるで槍のように私に木の根が群がってきた。

「邪魔」

手を払っただけで木の根が粉々になる。

「私は夢でも見てるんですの!?」

結局、それから一時間以上戦い続けてどうにかトレントの姿が消えた。