軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

97話 魔力回復薬を作ってみよう!

問題は、次の階からだ。

私とソードは毒に侵されないだろうが、リョークの外殻がどこまで保つか解らない。

普通の毒なら効かない。

だが、この世界の毒って、たぶん普通の毒じゃない。

だからこそ、『解毒薬で治る』のだ。

「……この世界の魔素は、やっかいだな。〝毒〟って言っても、いろんな毒があるのに、〝毒の沼〟と一言で済ませ、そこに入ったが最後、どんな装備をしてようが毒にする、って、意味がわからないと思わないか?」

ソードが肩をすくめた。

「ま、その意味を考えるのはお前だけだろうな。何の毒だろうが、解毒薬で治るし、お前なら毒が効かないんじゃないか?」

「リョークどうするんだよ」

ツッコんだら、呆れた顔をされた。

「お前、俺の心配もせずに、リョーク……ゴーレムの心配をするのかよ!」

「お前だって毒が効かないだろう。だけど、リョークには有効かもしれない」

「むしろリョークに効かねーだろ! 俺は、フツーの人間なの!」

何言ってるんだ、普通の人間が私よりガンシューティングのランキングが上のワケがない。

「……リョークに効かないなら、普通に行くか」

「いや、俺は効くから。普通の毒ならまだしも猛毒だと死んじゃうから」

聞こえなーい。

ってしてたら、グリグリされた。

「いたいいたいいたい。大丈夫、ソード、お前はSランク冒険者の英雄だろう? よく言うじゃないか、『英雄は死なず』」

「聞いたことねーよ!」

私をグリグリした後、ため息をついて、なんか小声で唱え出した。

「リョーク、魔素障壁を展開しろ。お前たちには効かない……らしいが、念のためだ」

「「あいさー!」」

敬礼して、展開。

私は……毒になったら考えよう。

すすき野を走り抜ける。

必殺! 忍者走りで!

そう、あの、沈む前に足を離せば水上を移動出来るのではないか? というアレだ。

まぁ、実際のところ、そんなんで水上走れるわけないんだが、重力制御と反作用を使って走ってる。

リョークは、浮力の魔術をつけた。

ソードも魔術でどうにかしてるぽい。

……と、弾丸みたいに飛んでくる! 虫が!

私は木刀で弾き飛ばし、リョークは魔素障壁で弾き、ソードは避けるか斬ってる。

――ん? ソードが何か唱えだしたぞ?

と思ったら、バリバリバリッと音がして、ソードが広域魔術使ったらしい。

ススキが焼け焦げ、虫がバサバサ死んだ。

「……うっとーしいんだよ!」

ウザかったらしい。

以降、そんな感じで駆け抜けた。

あっという間に六十階到着。

特に毒にはかからなかったな。

むしろ、強酸の沼とか、塩素の沼とか、強アルカリの沼とかがあったなら、ソッチの方が危険だった気がする。

特に何事もなかったし、ボスもこのまま突入するか。

と、思ってたら、ボス前で、ソードが手を挙げた。

「悪い、疲れた。休憩したい」

確かに顔色が悪い。

「そうか。具合が悪そうだな。今日はもうここで休もう」

うなずいたら座り込んだ。

ぐったりしてるな。

「シャールの中で寝てたらどうだ? 私が準備をしておく」

「……そうさせて」

シャールを出すと、その中にはっていった。

……状態異常を受けたのか?

……うーん、私とソードは同じようでやっぱりちょっと違うのかな? というか、私が違うのか?

なんでだろう……特に、両親やその家系に変わったものがいるとは思えないのだけど……?

まぁ、いっか。この身体の家系には興味は無い。

死なれると困るので、様子を見に行った。

「……生きてるか?」

「…………なんとか」

どうしたんだろう。

ここまで具合の悪いことは今まで無かった。

「毒の沼地があったのか? ……私にはわからなかった」

「…………や、毒、じゃ、ない。ちょっと、マナ、使いすぎ」

マナ?

「魔力回復薬、飲んだけど、そんでも、足りなかった」

魔力回復薬?

「……魔力を回復させるには、それしかないのか?」

「時間、経てば、回復」

…………どうしよう。

「マナは、魔力。で、魔力回復薬で、回復。あるいは、時間経過。…………。そうか!」

わかったぞ!

燃料か!

「ちょっと待ってろ! 作ってくる!」

「……いいから、寝かせて」

とか言われた。

けど!

作るもん!

作っちゃうもん!

作って持ってったら、寝ちゃってた。

起こすのは悪いので、毛布を掛けて、作った栄養ドリンクを、メモを添えて置いて戻った。

野営の準備をした後暇だったので、ソード専用リョークにソードを見てもらい、私はもっかい狩りへ。

弾丸虫は、ドロップが甲殻のようだ。

ふむ、固い……っぽい。

リョークとシャールの外殻の参考にさせてもらおう。

次のアップデートで、サーバーのプログラムに書き込んでおけば、次回の脱皮でより強力な殻になるだろう!

あと、蛙もいた。

蛙のドロップは、毒袋だった!

使い途がない。

蛙の肉は、食べられるらしいのにね?

でも、ダンジョン産の魔物は消えちゃうんだよなー。

でもってまた復活するらしいけど。

戻ったら、ソードが復活してた。

「おぉ! 起きたか! 大丈夫か? 栄養ドリンクは飲んだか?」

「つーか、アレ、何? 魔力回復薬よか即効性あるんだけど」

顔色が良くなってた。

「そうか。牛乳酒にリンゴ酢を加え、そこに、液状化した魔石を混ぜたものだ。フフフ、私はピンときたのだ! つまり、リョークの燃料不足と同じ状態だとな!」

「げ」

ソードが絶句したのだが?

「効いただろう? 牛乳酒も栄養価が高いし、リンゴ酢も疲れを取る! 肉体疲労にももってこいだ! まぁ、そのままリョークの燃料を飲ませても良かったのだが、味気ないだろう?」

ソード、絶句したまま私を凝視。

「……ソード? どうかしたか?」

「…………おい。飲んで、大丈夫なのかよ?」

首をかしげた。

「なんでダメなんだ? 魔石はそもそも魔物からもお前からも私からも採れる、いわば内臓だろう? 魔素と肉体を構成する何かで出来ている、はずだ。これに熱を加えると液状化するぞ。酒に漬けておけば抽出も出来るかもしれんが、やったことがない」

「今度はそっちでお願い」

えー。

液状化の方が効くのにぃ。

「嫌がるようなものじゃないぞ? 魔物の肉を食べるのと一緒だろう?」

ソードが手を打った。

「そっか、そうかもな。そう考えよ」

……よくわからないけど、嫌だったらしいが、納得したらしい。

そのまま昼食兼夕食。

本日のメニューは、弱っているソードのために、消化と栄養価の高い、柔らか煮込みになっております。

パンも、柔らかい饅頭にした。

「……魔石ってのは、基本、食うモンじゃねーから、ちょっと忌避感がな。それこそ鍛冶屋が燃料に使ったり、魔導具の素に使ったりするんだ。ま、確かに、肉食ってんだから魔石だって食おうと思えば食えるだろ、って、当たり前だよな」

「当たり前だ。さすがに毛は食べてもうまくないように作られてるから食わないが、骨だって、よく煮込めばうまいスープになったりするんだぞ? 粉にして飲めば自分の骨が丈夫になったりする。……にしても、お前、体内の魔素で魔術を繰り出してるのか。すごいな」

「マナを使わずに魔術を繰り出すお前の方がすごいんだよ! お前って……マナ切れ起こさないのは、魔術にマナ使ってねーからなのかよ……」

だって、我流の魔術だもん。

本にも『自前の魔素を使いましょう』なんて書いてなかったよ?

ソード、息を吐くと頼んできた。

「……十本くらい作っておいてくれ。持ってる魔力回復薬は、効きが悪いし、おまけにまずい」

ソレって何で出来てるんだろ?

液状化魔石、なめてみたけど、特に味はしなかったけど?

「なら、お前の大好きな蒸留酒に混ぜておいてやる。アルコールに混ぜておけば、日持ちもするからな」

「やったー!」

途端に喜んだ。

そのあとソードから説明された。回復薬や魔力回復薬は、ダンジョンの宝箱から出るそうだ。

低級回復薬は、大魔導師なら作れるが

「上級・特級は無理」

だそうだ。

「特級はともかく低級回復薬はダンジョンでちょこちょこ出るぜ。お前と最初に行ったダンジョンでも出ただろ? 上級も低確率だけどどのダンジョンでも出るぜ。魔力回復薬は一種類で、ドロップは上級回復薬と同じ程度の確率だけど、需要がさほどないのと、効き目も味もイマイチなのでハズレ扱いの安値で取引されてる」

って、解説を受けた。