軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

48話 襲われるつもりが襲う側に

「…………ねぇ、ちょっと? コレ、どうなってんの?」

お、血みどろさんがやってきた。

ワナワナ震えてます。

「コイツのすごさがわかったか」

「確かに[マンガ]……お話のようだろう? 自分でもちょっとすごいかもとは思う」

手で攪拌が、まるでブレンダー並の威力だもんね。フープロ並のみじん切りとかさー。

少年向けの料理対決マンガみたいな非現実感。

「複数魔術を並行行使⁉ 何……コレ、どうやってるのよ⁈」

ん? ソッチ?

「しかも、無詠唱だ」

「⁈」

ソードが追加した言葉に、血みどろさんが目を見開いてソードを見た。

「で? これでも俺のパートナーに相応しくないって? 俺が相応しくねーっつー苦情は受け付けておりません」

血みどろさん、また泣きそうに。

「まぁまぁ、出来上がったし、食べよう。あの喪女…いやメイドさんたちの分もある。パンはこちらの分は一切れくらいしかないので、残りは自分たちで賄ってくれ。一応、パンの代わりのがコレだ。穀物で出来ているから、腹が膨れると思う」

盛り付けて運んだ。

ベソをかいていた血みどろさん、盛り付けられた料理に機嫌が直ったらしい。

「へー! いい匂いじゃない! 確かに料理人レベルの腕はありそうね」

メイドさんたちもソワソワしてる。

「あのー、私たちの分は……」

「ちゃんと作った、つもりだ。盛り付ける量を間違えなければ足りるはず」

キャーキャー言って厨房に飛び込んでいく。

「…………? メイドさんでは、ない?」

私の知ってるメイドさんはあんな軽い感じではないし、主人を置いて厨房に飛び込んでったりもしない。

「あれらは私の弟子よ」

弟子!

「身の回りの世話をやってくれるときもあるけど、基本は魔術の訓練や古書の解析をしてるわね。食事も一緒に食べてるわ」

「そうか、盛り付けなくて悪かったな」

そう言ったら手をヒラヒラと振られた。

「いいわよ、別に。勝手に持ってきて食べるでしょ。私たちも食べましょ」

そうは言ったが、給仕がいないとは思わなかった。

……仕方ない。私がやるか。

「ドリンクがまだだろう。……仕方ないな、世話になる礼と壊した詫びとして、これを振る舞おう」

ソードが目を見開いた。

「あっ! コイツ、また酒を振る舞いやがって!」

「お前も飲むだろう?」

「いります、下さい」

即答した。

「オッサンよ、そういやお前は飲まないのか?」

ってソードに言われたが。

「幼少から飲むと、発育に支障をきたす場合がある。出来れば、お酒は二十歳になってから」

「随分先の話だな」

「多少なら構わないけどな。今回、私は途中で発酵を止めたジュースにしておく」

シュワシュワしてておいしいのだ。

「では、神の恵みに感謝していただきます」

グラスを掲げて、宣誓。

「うわ、本当に貴族なのね。しかも、上流の出じゃないの? 所作がガチよ。私みたいな末端の男爵とは違うじゃない」

って言われた。

「違うんだ、これは聞くも涙の話で、端的に言うと、母親に虐待まがいの躾をされて、五歳にして完璧に覚えさせられた」

「全然涙しないわよ」

そう言いながらワインを一口。

血みどろさん、そのまま凝固した。

ソードは早速飲み干してる。

「あんまり飲み過ぎると、襲われるぞ」

「これはそんなに強くないから大丈夫だ。おかわり下さい」

ため息をついてついでやる。

……と。

「何コレ⁉ 何よコレ⁉ 何なの、上流貴族って、こんなおいしいの飲んでるの⁉」

復活した。

「それは、私が作った酒だ」

血みどろさん、また凝固した。

「えー、お酒あるのー?」

「いいなー、いいなー」

よそって戻ってきたメイド……じゃなくお弟子さんたちがねだってきた。

「わかったわかった。コップを持って来い、ついでやるから」

「やったー!」

「わーい!」

「お前⁈」

ソードが椅子が倒れる勢いで立ち上がったけど。

「ケチケチするな。第一これは私の分だし、そもそも料理酒用だぞ? 全部開けたってまだまだいっぱいあるんだし、お前だって持ってるだろう?」

お弟子さんたちが沸いた。

「わー! ちっちゃいのにおっとこ前ー!」

うん、褒められてないね。

私、女だし。

それから宴会になった。

喪女たちはベロベロになってる。

だが、食事もおいしかったようで大絶賛してくれたし、デザートで豆乳クリームのフワフワパンケーキを出したら泣かれるレベルで感動された。

「しまったな、酔わせてしまった。これでは何か仕掛けられるかのワクワク感が半減してしまう。むしろ、酔わせて襲うのがこちらの方になってしまったか」

「何コワイ事言ってるのお前? 襲わないでね? お前が他所の娘さん方の責任取らなきゃいけないようなことになるの、嫌ですよ?」

これからベッドに入るまでがお楽しみかと思ってたのだが……。

そこら辺で眠ってる人とかいるし。

むしろ、これが罠なのか?

「やれやれ、ベッドに運ぶか」

まだ意識のある喪女に聞いて、土左衛門抱っこで数人担いでほうり込んでいく。

ソードもなんだかんだ手伝ってくれた。

「何が危険だったのかわからない」

「俺もわかんない。……ま、いっか、その話を聞かせてやるから、シャワー浴びて部屋に行こうぜ」

「そうだな」

危険は無いはずなのに、べったりとくっついてきて、シャワーも一緒に浴びさせられた。

私は女なのだが……。