軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

47話 血みどろ屋敷にご招待

血みどろさんたち、まずはエントランスの修理から。

「でた、謎の魔術」

詠唱をすると、みるみるうちに壊れた壁や置き物が直っていく。

「これくらい、序の口の魔術よ?」

ニヤリと血みどろさんが笑う。

「ソードも出来るのか?」

「出来るけど、やることはねーよ」

ふーん。

「コレが出来るのに、なんで腕を再生させるのが出来ないんだ?」

シーン。静まった。

後、ソード以外が笑った。

「回復魔術と復元魔術は全く違うでしょ! これだから魔術を分かってない子は困るのよ!」

って血みどろさんに言われたけど。

「何が違うんだ。同じ『壊れた物体』じゃないか。腕に魂が籠もってるわけでもない。その壊れた置き物を復元できるのなら腕だって復元できるのが筋だろう?」

意味がわからない。

ソードがため息をついた。

「お前なら、この復元魔術を習得したなら、出来るんだろうな」

「「…………え?」」

全員が笑いを止めて、ソードと私を見た。

「復元魔術がわからないから無理だな。魔素で補ってるわけではない。もっと変なことを起こしているようだ。興味はあるが、今のところ、お前が使えるのなら私は解析する必要を感じないな」

血みどろさんたち、私を凝視。

「…………もしかして、ソイツって、魔術が使えるの?」

「リョークってゴーレム作ったの、コイツだよ」

リョークが現れて挨拶した。

「初めまして! ボクは、リョーク!」

「初めまして! 僕はソードさんの専用機だよ!」

何ィ⁈

そんな言葉教えてねーぞ‼

ギラーンとリョークをにらむ。

「……なんでソードのリョークだけーっ! そんな言葉教えてないのにぃ! ずるいーーーっ‼」

私は泣いた。

「…………なんでゴーレムがしゃべってるのよーーーっ⁈」

血みどろさんは叫んだ。

「コイツを言い表すと、『イカレた天才』だ。独自の理論で常識をぶっ壊しながら超人的発明し続けてんだよ。ちなみにな、この有り様見てわかるとおり、俺に匹敵する武力の持ち主だ。剣だけじゃなく、素手でも闘えるから嫌になるんだよな。……なんで、相棒としても文句つけようがないワケ」

ソードによしよしとなでられる。

……そんなんで私のハートブレイクが癒されるわけがないでしょ⁈

「お母さん、泣かないで?」

リョークによしよしされた。

「……復活! リョークが慰めてくれたし!」

「仕込みじゃねーかよ。お前が作った仕組みで動いてんのに、それで元気出すお前ってホントバカじゃねーかと思うわ」

聞こえなーい。

「さて、じゃあ、せっかくだから料理を披露してやろう。じゃないとソードも警戒して食べないだろうからな。元々野宿するつもりだったし、用意はしてある」

ソード、あからさまにホッとしてる。

「なぁに? 小僧が料理を作る? ですって?」

すっごい疑惑の目で見られたけど。

「安心しろ、私は貴族の料理人から教えを乞われる腕前だ」

血みどろさんがドSの顔になった。

「へぇ……大きく出たわね。なら作ってみせてちょうだい。ただし、私の舌は相当肥えているわよ? もしも、私が納得出来ないような味だったならどうする気?」

「秘蔵の酒を渡す……と言ったとしても女性は喜ばないかな。

そうだな、〝洗剤〟でもプレゼントするか」

「〝洗剤〟……? いえ、酒でいいわよ?」

あ、ここにも飲んべえがいたぞー?

……と、ソードにどつかれた。

「おい! なんで酒なんだよ⁉ あの〝麦蜜〟でも渡せばいいだろう⁉」

「彼女は貴族だろう? 貴族は蜜など食べ慣れている。しかもアレは、蜜より安価で癖がある。平民ならば喜ばれるが、貴族にウケるかわからない。希少性なら〝洗剤〟の方があるぞ? 美容関係はウケが良いが、私自身〝洗剤〟しか使わないので洗剤以外今渡せるものがない」

化粧水やらパックやらはウケるかもしれないが、使わないので持ってない。

せっけんやスカルプは、ハーブを漬けたオイルで生成してるので、良い香りがするので喜ばれるかもしれない。

「その通り、私は貴族だけど、なんでわかったの?」

目を細めてにらんでくる。

ソードが答えた。

「コイツも貴族〝だった〟からさ」

「……なるほどね。道理で、平民にしては堂々とし過ぎていて、しかも卑しくないのね」

手で制した。

「いや、今は平民だ。だが、人に対して対等でありたいと思うので卑屈にならないようにしている」

「……ふぅん。だけど、平民のくせにそんなことを思うということが貴族が抜け切れていない理由の気がするのだけど?」

「私は例え王族だろうが膝をつくつもりはない。それは貴族ではない気がするぞ? むしろ、冒険者だ。冒険者は、己の生死にのみ責任を持てば、平民であろうと女であろうと対等に扱われるからな! 実に自由に生きているぞ!」

万歳したら、ソードがこめかみ辺りで手をくるくる回した。

「こんな感じの、単なる常識外れのイカレ野郎ってだけだよ」

さて、調理場。

ソードは私にビッタリくっついてます。ウザい。

「ツマミをやるから、その辺に座って飲んでろ」

追っ払おうとしたら抗議された。

「酔い潰れたら襲われるだろうがよ!」

なぜにそんなに脅えているのだ?

「そうしたらリョークのポッドにほうり込んでおくから安心しろ」

途端に元気になったよ。

「その手があったな。よし、飲むぞ」

早速飲んでるし。

「ほどほどにしておけよ」

言い捨てて調理します。

さて。たぶんあの全員分を作らねばならないだろう。

材料はたんまりあるが、その代わり時間が無いな。

煮込みでも作るか。魔術で圧力掛けたら短時間で仕上がるし。

肉は軽く焼いて余分な脂と臭みを抜き、根菜は下茹で、小麦粉を炒めてとろみ付け、これらと香草を全部合わせる。

ワインを入れたら吠えられた。

「わー! お前はなんっつーもったいないことをー!」

「……うるさい! 調理の邪魔だ! リョークのポッドにほうり込むぞ!」

使った方がうまいって言うくせに、使うと文句を言うんだから!

腕を組んで、唸った。

「圧倒的にパンが足りないな」

平素もソードが大食いだから多めに仕込んではいるのだが、三日に一度程度で焼くようにしてるので全部放出しても足りないのだ。

ここに用意されているパンを使いたいのは山々だが、私はともかくソードが食材に仕込まれてる罠にひっかかると困る。

ここは仕方がない、パスタにしよう。

麺を打ち切ってたら、ソードが食いついた。

「お、[パスタ]とか言うヤツ作るのか。それ好きなんだよな」

男は麺好きなやつ多いからね。

今度落ち着いたらラーメンを作ってやろう。

かん水の代わりに木灰で作る麺の方法も知っているのだ!

煮込みは若干汁物になるので、パスタはソースじゃなく木の実のオイルと塩漬け肉と豆腐のチーズモドキで香り高く仕上げた。

あとはサラダかな、豆乳と柑橘のソースで和えるか。

作っているのを酒を飲みながらソードが眺めてる。

「……こう、見てると、ほんっとお前って道を間違えてるって気がするわ。同時に複数魔術を無詠唱? 意味分かんねー。俺だってそこら辺の魔術師よか魔術使えるんだぜ? なのにそれの上を軽く越えてきてんだからよ」

もう酔っ払ってるのかな?

くだ巻いてるぞ。

「私は詠唱魔術が使えないんだからおあいこだろう? さっきの復元魔術も使えない。なら、お互い足りないものが補えて良かったよな」

……と、酔っ払いが抱きついてきた!

「わっ!」

「お前って、ホンット良いやつだ! 良いやつだなー! うりうり」

グリグリされて、また髪の毛を乱された!

「酔っ払い! 大人しく飲んでろ!」

「まだ酔ってねーよ」

「酔っ払いの常套句だ、ソレ。薬を飲んだ後、ワインに切り替えろ。

ワインは食事にも出す」

水と薬を突き出した。

「ハイハイ」

大人しく薬を飲んだ。