軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

310話 砂漠で落としたコインを拾う確率の偶然

ギルドマスターが超真剣な顔で、ここが古代遺跡の町だということを口止めしてきたので、私はうなずいた。

そもそも言いふらすほど仲良い人がいないから。

……って言ったら、かわいそうな人を見るような顔をされたぞ。

いいんだよ、仲が良いのはソードで、パートナーなんだよ!

だいいちソードの方がもっといないし!

「ありがとう! さすがは王都で英雄とたたえられるだけあるな! Sランクは伊達じゃないのがわかった!」

ってギルドマスターが褒めてくれたら、ソードが微妙な顔をしている。

「うむ? どうした?」

首をかしげてソードを見たら、

「……今回ほとんど手を出してねーのに、俺がやったみたいに言われんのが腑に落ちねーな、ってよ」

と、苦い表情で言ってきた。

私は手をひらひらさせてソードをなだめる。

「そんな細かいことは気にするな。私たちはひっくるめてオールラウンダーズだろう? 私個人ではAランクだが、パーティではSランクなのだから、『Sランク』と褒めたたえられるのは正しいのだ」

ソードが横目で私を見る。

「……お前が気にしねーならいんだけどよ」

「私の器はお前よりもとってもとっても大きいのだ!」

ふんぞり返ったら、ソードに拳固でぐりぐりされた。

理不尽だ!

「そういえば、この町は古代遺跡だらけのようだが、他になにか楽しそうな遺跡や古代魔導具はあったか?」

ソードとリョークで自撮りしながらこの辺りを巡っていたので、何か見つけているのじゃないかと思って聞いた。

ソードは首を振る。

「町にはねーな。あってももう回収済みだろ、あのギルマスがよ。分かっててここにいるんだから、確実にソレ目当てだろ」

そういえばそうか。

「じゃあ、外に探索だ! プロンクに乗ってぶっ飛ばそう! 魔王の国の近くまで行ってみよう」

「お! そうだな、行くか」

私の提案に、ソードが弾んだ声で合意した。

砂漠をプロンクで歌いながらぶっ飛ばしています。

「うみーをわたーるきいろいーすなー、それはこうさー」

風で表情を変え丘陵を変える砂漠は面白い。

ソードも上ってジャンプして下って、と楽しんでいる。リョークもね。水面を渡る際につけた浮力の魔術で滑走している。

シャールは追尾で爆走中。

爆走しているシャールは、作って良かった! って思うほど情緒がある。

「砂漠を爆走してるシャールはカッコいいなー」

って言ったら、ソードが振り向いて笑った。

「カッコいい、つーか魔物みたいだけどな。迫力があるのは確かだぜ。俺が初見で出くわしたら間違いなく攻撃するって迫力だ」

とか、ひどいこと言ってる。

「ソードさん、ひどい!」

とシャールからも抗議が上がった。ソードがビクッとしてシャールを見た。

「うわ! お前、返事が出来るのかよ!?」

「出来ますよー。ひどい!」

「ごめん、悪かった。カッコいいって俺も思ってるから。攻撃しないから」

ソードが慌てて謝りながら弁解している。

……どーでもいいけどさー。シャールにしろリョークにしろ、なんでソードの言うことに反応するんだろ?

確かにシャールはソードのために作ってあげたゴーレムだけどさぁ!

私の方がかわいがってるじゃんかよー!

ソードがバツの悪そうな顔をしてプロンクを寄せてきた。

「……シャールも会話出来るようにしたの?」

「うむ? 出来るようにした、というか、元々人工知能は付けていたのだ。自動運転や各種自動対応にはやはり学習機能と人工知能は必須だからな。他のシャールと情報共有もしている。私たちも最近よく乗っていたから、会話出来るまでの情報量と学習がたまったので会話し出したのだろう。人間の乳児が言葉を覚えてしゃべり出すようなものだ」

ソードが曖昧な表情になった。

「……ブロンコもそうなるの?」

「もちろんだ!」

キッパリ言うと、ますます曖昧な表情になった。

「だから、新しい子に目移りするのも大概にしろと言っただろうが。私が作るゴーレムには魂が宿るのだぞ? お前は私が作るゴーレムに好かれる体質なのだから、浮気もほどほどにし、昔からいる子をかわいがりじっくり育てるべきなのだ、わかったな?」

「「「そーだそーだー!」」」

「ソードさんの浮気者ー!」

「新しい子にすぐ目移りしてー!」

「僕なんか、作られてすぐに飽きられたしー!」

リョークだけでなくシャールまで同意してやいやい言ったら、ソードがコケそうになった。

「わかった、ごめん。ちゃんと全員かわいがるから。許して?」

ソードがリョークとシャールに謝り、さらに爆走していたら何かが見えた。

「……ん?」

すごいな。

砂漠で落としたコインを拾う確率の偶然が起きた。

「行き倒れの死体だ!」

人間ぽいのが倒れていた。

「あのままほっとくとアンデッドになるのか?」

ソードに尋ねた。

「さーな。死体がアンデッドになったとこ見たことねーから。とりあえず、死んでるか確認して、死んでたら持ち物確認だな。身元がわかるもんがあったら運んでやろうぜ」

むぅ。

アンデッドになるか実験したかったが、しかたがない。

死体の近くまで寄せ、プロンクを停めてそばに行く。

「ふむん?」

脈を診ると、動いている。

「残念。死んでないぞ」

「言葉の使い方がおかしい」

ソードにツッコまれつつ、しかたがないから看病することになった。