軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第309話 おなかを壊さなくなりました

湖の主にお礼を言われた。……お礼というか、感謝の気持ちの波動を受け取ったという感じだが。

「いやいや。これは話を聞かせてくれた対価だから気にするな。では、分体のプルリンはもらっていくぞ? かわいがるからな!」

私は鷹揚に返した。

スラリンとはもう引き合わせてある。

スラリンも(会話が出来る)仲間が増えてうれしいらしく、プルリンと一緒にプルプルしていた。

「むふ~」

その光景を見て思わず鼻から吐息を吐いたら、ソードがしかめっ面で説教してきた。

「お前、その気持ち悪い声と顔やめろ。自称美少女なら、変態的表情をするなよ」

自称美少女! 自称って!

さらには変態的表情って!

……ショック。

冒険者ギルドに戻ってきたら、受付嬢がさっそくギルドマスターを呼んできてくれた。

受付嬢が来た当初よりも確実にほがらかで対応が良いのは、水を魔石と交換したせいだろう。

「もう終わったのか。どうだった?」

まったく期待していない感じのギルドマスターの声がした。けっこうな時間のかかった気がするのだけれど、早かったのかな?

「いろいろと報告があるから、別室にしてくれ」

ソードが伝えて、一緒にギルドマスターの部屋で報告した。

「水質調査は、水質には問題ないと出た。ただ、あの湖はアーティファクトで出来ている。ここに在る建物たちと一緒で、古代人が創った遺跡だ」

私の第一声にギルドマスターが固まった。

「…………どうしてそれを」

ようやく声を絞り出したギルドマスターに、ソードと私は顔を見合わせる。

「……湖には、管理者がいる。その者から話を聞いた。ちなみに、湖の水を飲んで腹を下しながら死ぬのは、湖を作り出しているアーティファクトの水位低下の警告で、『呪い』だ」

私の説明に、ソードが付け足した。

「たぶんだけど、聖魔術か解呪の薬が効くだろ。水位はもう戻ってるからもう飲んでも平気なんだろうが、確証はねーんだよな。インドラも俺もその手の呪いや毒は効かないんで、試せねーんだよ」

そういえばソードもこの世界の状態異常が効きにくい体質だったか。

私たちの調査結果を聞いたギルドマスターが考え込んだ。

「…………情報提供感謝する。その『管理者』という者はどこにいる?」

ギルドマスターに真剣に聞かれたので、私も真剣に答えた。

「湖の中だ」

ギルドマスターが口を半開きにして私をボーッと見つめる。

ソードが肩をすくめて解説した。

「つまり、魔物だよ。――コイツと俺は知性のある魔物と会話が出来るスキル持ちなんだ。『管理者』っつーか、湖の浄化をやってるだけで、湖の水位やら警告やらはアーティファクト任せだ。会って話したいようだけどよ、アンタが魔物と会話出来るスキルを持ってないと無理だぜ? 下手すると食われるぞ」

そこまで聞いたギルドマスターが、とうとうフリーズして帰ってこなくなった。

「むむ? 大丈夫か?」

私が目の前で手を振ったら、我に返ったらしい。

「…………それは、本当か?」

ってギルドマスターに尋ねられたのだけれど、どれのことだろ?

ソードと顔を見合わせた後、

「全部本当だよ」

ってソードが答えた。

「……と、いうわけでな、湖の主は倒してはならない。湖の水質が低下し飲用出来なくなる。湖の主が水を浄化してくれてるからこそ、あの水質なのだ。あと他には、湖の水位を下げすぎるとアーティファクトが湖の水に腹を下す呪いをかけるので、水を汲み取りすぎてもいけない。最後に、湖の水を飲む場合は、聖魔術を使える人間と解呪の薬を用意してから飲んでみろ。……古代人の呪いなので効くかはわからんが。という調査結果だな」

と、私はまとめた。

湖のアーティファクトを修繕したのは内緒にしておこうっと。

ソードが肩をすくめながら言う。

「ま、湖の主はそうとう強い魔物だから、俺たちくらいじゃねーと倒せねーだろうけどな。なんせ古代からずっと生き存えている魔物だ。エンシェントドラゴンにも匹敵するだろうさ」

へーほー。そうなんだ。

プルリンはすごいなぁ! さすが透明プルプル、かわいいだけではないのだ!!

調査結果を聞いたギルドマスターは、さっそく行動に移した。

この町はおあつらえ向きに、アンデッドの魔物が出るので教会に強力な聖魔術を使える神官がいて、聖水もあるらしい。水が原料なだけに、他の町よりもなかなかにお高いけれど。

おなかを壊したら聖水を飲めば助かるかもしれないのは心強い、とのことで、ギルドマスターが神官と話を付け、水を対価に聖水も用意して、自ら試すとのことだった。