軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

278話 私の素体をどうする気?

スカーレット嬢がキランと瞳を光らせて尋ねた。

「未完成……ということは、インドラ君を成人男性にも出来るんですの?」

…………。

「あ、出来るよー。それなら俺の素体の数値も参考に出来るから、もっと楽」

私は黙ったのに、アマト氏が余計なことを言った。

スカーレット嬢、瞳をキラキラさせてアマト氏におねだりした。

「今度、ご一緒に作っていただけません?」

なぜだ! 私を男にしてどうするんだ! 嫌な予感しかしないぞ!

腐界の住人に私の男性バージョンを渡したら何をさせるかわかったもんじゃない!

「私の男性バージョンをどうする気だ?」

こわごわスカーレット嬢に尋ねると、スカーレット嬢はキョトンとして言った。

「女性の場合は、女性に案内されるよりも男性にエスコートされたいですわ」

ってことだったらしい。なるほどね。胸をなで下ろした。

ソードが情けない顔をして近寄ってきた。

「…………別にやましいこと考えてないよ?」

とか弁解しだしたんですけど。

「知っている。冗談なんだから本気にするな。アマト氏がかわいそうだったから、ちょっとからかっただけだ。周りだって本気で思ってない。……彼は純粋なるエンジニアなのだ。あぁいったものづくりのプロだ。プロを変な目で見て犯罪者扱いしたらかわいそうだろう」

「……そっか。そりゃ悪かったな」

ソードが頭をかいた。

「でも、あのゴーレム嬢はアイツの好みのタイプなんだろ?」

「たぶんな。作り手の好みは作った作品に表れる。ただ、素体が私だからどうしても私に似通ってしまうのはしかたがない。別の素体だったらその女性に似た感じになるだろう。体型は、バランスもあるだろうが、アレが好みのタイプだろうな。全体的に細めで、だがぺったんこは嫌、巨乳もダメ、尻は小尻ででも肉付きは悪くない。顔も多少いじったが、やりすぎると不気味になるからな」

サクラは、日本人好みの顔だよね。

「ふーん……」

ソードがサクラを見た。

「お前もいじりたいのか?」

ソード、そういうの好きそうだもんね。

だけどソードは首を振った。

「お前の素体をいじる趣味はねーよ。なら、俺は無から有を生み出す」

マジか。

「すさまじく大変だぞ?」

「そっか。なら、俺はその素体のままで使うよ。もしも俺にゴーレム嬢がつくなら素体のままにしてくれ」

…………。

私はぶっきらぼうに言い放った。

「お前にはつけない」

「えっ」

「ホーブに案内してもらえ!」

ソードがびっくりして私を見たが、私はソードを見ずにズカズカ先を歩きだした。

なんで私の素体のままにしてくれとか言うのだ!?

子供体型が好きなのか!?

巨乳が好きって言ったじゃないか!

サクラが扉の前に立つ。

「こちらのドアに手をお触れください」

ベン君が触ると、触れた部分が光り、ドアが開く。

「あ、ここはフツーに自動ドアなんだ」

アマト氏とスカーレット嬢は知識があるからか、驚いてくれなかった。

他の人たちは感歎してくれたけど。

「奇をてらいたかったが思いつかなかった。まぁ、自動ドアはスライド式が一番だろう」

部屋は真っ暗だが、一歩入るとフンワリと灯りがともる。壁や床は白一色で、魔素コーティングを施しつるっとした見た目にして強度も上げた。

さらに、触れている場所が光るようにした。

「うわぁ! 素敵ですわ~」

「…………これはスゲーな」

うむ。さすがのソードも感心したか。

私は腕を組み、満足してうなずく。

「なかなか難しかったぞ。つけるのはそうでもないが、歩くと消えるのが難しい」

「「「「えっ?」」」」

急にあちこちパタパタ移動する。

触れた部分だけが、光る。

「「「「マジかー!?」」」」

マジだよ。このへん、科学のほうが楽だよね。魔導具として造るとなるとけっこう大変だった。

「階段を下りてみてくれ。出来れば距離を開けて下りてくれ」

私が声をかけると、

「ご案内いたします」

とサクラが先導した。

ベン君が先頭で下りると、ポワッとミントグリーンに光る。

「マジッスか!」

その光で次のステップが見える。階段は危険なので、実際は足を伸ばすと先が光るようになってますが。

皆楽しそうに下りていく。

私は最後に手すりをつぃーと滑り下りたら、

「あっ! コイツ、楽しそうな下り方しやがって!」

ってソードに怒られた。

私はソードを無視して地下を案内する。

「ここが酒コーナーだ。安めの酒、及び見せ瓶はディスプレイがてら見えるセラーに飾っている。高いのは地下だ。セラーは酒の種類ごとに湿度と温度の管理がされている。登録されている店員もしくはホーブにしか棚は開けられないし、結構な数のホーブが警戒してるので余程のことがなければ突破出来ないだろう。〝監視カメラ〟……つまり、この部屋の動向は常に他人に見られているので、怪しげなことも出来ない。酒瓶には防犯タグがついていて、それを付けたまま持ち出そうとしたら警報が鳴りホーブやリョークに攻撃される」

ゴクリ、と全員が生唾を飲んだ。

「防犯タグの取り外しはホーブ及びリョークが出来る。売ったら取り外してくれるので特に気にしなくていい」

単に、超小粒の魔石を埋め込んでいて、売れたら『売却済』ってデータを書き込んでるだけなんだけど。

「壁面は棚だ。登録された者が触れるとゆっくりと開く」

私が壁に触れると、切り取られたように四角い枠が光り、引き出しがスライドして出てきた。

「マジかっけーッス!!」

ベン君がすっごい感動した声を上げた。

「俺も同感」

ソードも真剣な顔で深くうなずいた。うん、ソードはこういう雰囲気が好きだろうね。

アマト氏もウンウンうなずいていて、他の見学者は呆気にとられていた。

「魔術って偉大だよな」

私が言うと、

「魔術が偉大なだけでなく、インドラ様の存在自体がチートなのですわ」

真顔でスカーレット嬢が言った。

私は肩をすくめる。

「当たり前だがベン君はセキュリティランクのトップだ。申し訳ないが私とソードもトップになる。私が作った物は全て私とソードに管理者権限が与えられるものとなるからだ。あとは、従業員にどういったセキュリティランクを与えるかベン君が決めてくれ。タブレットで操作出来る」

ベン君は、軽い口調で了承した。

「おいッスー。権限は全然構わないッス。つーか、こんなスゲー建物、俺だけじゃどうにもなんねーッス!」

……確かにメンテナンスは私にしか出来ないか。