軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

262話 ソーーーードーーーー!!

ソードが何かの手続きをするので、離れて待っていたら、

「おい、Sランクの荷物持ち」

とか、寒々しくなるような声が聞こえてきた。

なんだろう、この町に来てからおかしいな。

妙に寒気がする。

「お前だ、荷物持ち」

腕をさすっていると、いきなり男が壁ドンしてきた。

ブワッと鳥肌が立つ。

「落ち目のSランク冒険者に媚びを売る荷物持ち。落ち目の男についていて、野垂れ死ぬのも間もないぞ。かわいそうだからこの俺、シャイニングライトニングスターがお前を拾ってやろう。さぁ、ついてこい荷物持ち!」

壁ドンしてきた男に腕をつかまれる。

…………。

「……ソーーーードーーーー!!」

〈ソード〉

ものすごい叫び声が聞こえてきて、思わずペンを取り落とし、叫び声の方に向かって走る。

剣に手をかけつつ向かったら、インドラが叫んでた。

目は見開いてるし、硬直したようになっていて、顔色は真っ白だ。

顔にまで鳥肌が立っているのを見て、恐らく原因であろう近くにいる男の腕に剣をおいた。

「手を離してゆっくり離れろ。これ以上妙な真似したら、腕を切ったついでに首も切り落としてやる」

俺の脅しに男は口をパクパクとした後、ゆっくりと下がった。

俺はにらみつつ、男の動向を探る。

間合いよりも下がったので、

「……インドラ。無事か。何があった」

と、男をにらみつつ聞いたら、抱きついてきた。

……オイ。

それじゃ攻撃出来ねーだろが。

……けど、ま、気合いで剣の余波で斬ってやるか。

やれそうなくらい集中してるからよ。

「…………脳が理解を拒否してる。無理。寒い。寒くて痛々しくて鳥肌が立ってる」

……インドラが、理解不能な言葉を言ってるんだけどよ?

「おい、大丈夫かよ?」

俺が声をかけると、インドラは涙声で話し始めた。

「勇者レベルのイタイ人間に出遭ってしまった。痛々しすぎてコワイ。シャイニング……寒っ! 何ソレ? 寒すぎる名前! 絶対自分で付けちゃったんだよ? 寒すぎ! 二つ名もイキりすぎてて一周回って普通だし! とどめが壁ドン! いくら私が美少女だからって、壁ドン! もう、悪寒が走りまくるレベルで脳が拒否してる! 無理! 存在自体が無理!」

そう吐き捨てたあと、つぶやくように理由を言った。

「……自分がカッコいいとか勘違いしちゃって痛々しいを通り越して存在が寒い。狭くて汚い部屋レベルで拒否反応がすごい」

…………。

つまりは、だ。

「……痛々しい人間の言動で、調子を崩してる、って言ってんのか?」

インドラがうなずいたよ。

脱力。

何かと思えば……。

いや、コイツにとっちゃ、ドラゴン来襲よかコワイ事態なのか。

息を吐くと、剣を収めた。

そして、インドラの頭をなでた。

「心配させんなよ……」

黙って泣いてるのかもしれないので、俺はインドラの頭をなで続けた。

しがみついて離れないインドラをなぐさめるように話す。

「わかったわかった。ブルータルモーレイを討伐したらココを出ようぜ? つーか、お得意の魔術駆使して無視すりゃいいだろうが」

「…………そうか」

インドラは身体を起こしてポン、と手をたたいた。

忘れてたのかよ。

で、事態についてってない男に向かって俺は言った。

「悪いけど、インドラ……コイツに近寄らねーでくれねーか? なんか、コイツって気取った名前とか気取ったことするキザったらしいやつが大の苦手みたいでよ。俺の二つ名もボロクソ言われて、なんとかパーティ名を浸透させようと必死なくらいなんだよ。お前の名前とか、気取った仕草とか、すっげー鳥肌が立つレベルでダメらしいから、悪い、あんま視界に入らないでくれ」

ひどい言い草かもしれねーけど、ハッキリ言っときゃ近付かねーだろ。

男はポカンとした後、真っ赤になった。

そりゃ怒るだろうけどな。

「この『次代のSランク冒険者』、人呼んで【光速の……」

「だから、ソレ、コイツの前で言うのやめてくんない? ホラ、かわいそうに、鳥肌が立ってるだろ?」

インドラが耳を塞ぎ目を瞑ってプルプル震えてる。

めったにない必死さが年相応でかわいい。

「悪いな。お前に悪気がないのはわかってるんだが、駄目なものは駄目なんだよ。じゃあな、Sランクはドラゴンが来ない限り無理だろうけどよ、Aランク試験頑張れよ。Aランクともなりゃ、王都防衛に参加してたかしてないか程度の違いだ。コイツもAランクだしな。行くぜインドラ」

インドラの頭をポンとたたき、そのまま誘導した。

ソードが手続きをして、ようやく港に向かった。

ふぅ、寒かったー。

風邪をひいたかってくらい寒かった!

けど、ソードが助けてくれたので大丈夫!

「ソード、ありがとう!」

礼を言ったら、ソードがそっぽを向いた。

「なぜ!?」

「いつものふてぶてしさはどこいったんだよ? まだ本調子じゃねーんだろ」

…………。

私、ふてぶてしくないよ?

港に着いたら、まばらに人がいた。

狩ってきたモーレイを捌く人たちが待機しているのかな? と思ったので私は声をかけた。

「どのくらいの大きさか見当もつかないので、スペースを空けておいてくれ。あと、丸一日解凍出来ない。まぁ、アイスドラゴンのブレスが直撃したくらいの温度で冷凍すれば寄生虫は死ぬ……と思うので、凍らせて運ぶつもりなのだ」

どよめいた。

「さすがSランク冒険者……」と言いかけて口をつぐむ人が多数。

ふむ。

地元冒険者を応援しているのかな。

まぁ、気持ちはわかるし、好きなだけ応援すればいいよ。

私、二度とこの町には来ないから。

風邪をひくレベルの寒い人間がいるなんて、ホント無理だから。

早速向かおうとしたら、悪寒がしてきた!

「待て! その獲物、このシャイニングライトニングスターが請け負った!」

「ソーーーードーーーー!!」

同時に叫んだ。

ソードが私をヨシヨシとなでながら男をにらむ。

「お前……。嫌がらせにも程があるぜ?」

ソードの言葉に男が怯んだ。

が、立ち直った。

「何が嫌がらせだ!? 俺は、お前等の獲物を横取りしようと企んでいるわけではない! お前等の手に余る獲物を倒してやろうと言っているんだ! いわば、親切心だ!」

「何言ってんだよ? そんなことどーでもいーんだよ。インドラの目のつく所に現れるな、っつってんの!」

男がポカンとした。

私はソードの陰に隠れてプルプル震える。

ソードが私を指した。

「見ろよ、コレ。かわいそうだと思わねーのか? お前におびえてるんだよ。消えろ。別に、獲物はいくらだっているだろ。とにかく、お前が目につくところでキザったらしい発言するとインドラがおかしくなるから、お願いだから消えてくれ」

男がこちらを見たので、私はおびえて叫ぶ。

「ソーーーードーーーー!! コッチ見た! 痛々しいかっこつけた顔でこっち見た! 寒い! 寒いよーー!!」

「わかったから叫ぶなよ。強者の雄叫びにこの界隈の魔物がおびえるだろうが」

ガッと顔をつかまれた。

「ムムムムム」

「ホラ、行くぜ」

顔面つかまれたまま移動。

で、桟橋で離された。

「んじゃ、行くぜ」

「うむ!」

ボードを持って飛び降り、そのまま疾走。

リョークもお供。

リモンたちの守りは式部に任せた。

どよめきが聞こえてきた気がしたが、なるべく聞かないように努めた。