軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

255話 屋台の準備をしよう 再

私はハァ、とため息をついた。

「……まぁ、いいだろう。だが、神官と孤児にはきちんとわびろ。あと、今までそうやっていばり散らした結果わりを食らった連中にもだ。誰だって、いばり散らされて嫌な目に遭うよりも優しくされた方がいいに決まってるだろうが。修行で各地を回ってるなら、いばり散らして敵を増やすより、優しくして味方を増やした方が得だと思うがな。まぁ、余計なお世話か」

だが、沁みたらしい。

二人ともうつむいて反省しているようだ。

……まぁ、反省していなくてもいい。

その方が、仕返しの仕返しが楽しめるからな!

「うわー。今のお前の顔、ここで許して仕返しを待ってまーすって顔をしてるぞ?」

ギクリ。

「そ、そんなことないぞ?」

「声が裏返ってるし」

ソードが即ツッコんだ。

私が期待の目で二人を見たら、そろって首をブルブル横に振っていた。

「仕返しなどしません!」

「心を入れ替え、弱者の救済と神への祈りと浄化を行います!」

えぇー……。

ちぇーっ。

仕返しを楽しみに待っていたかったのに、なんでだろう? 私に仕返ししてくれる人はいないかな?

「……シャドはどうしてるんだろう? 私に仕返ししようと、着々と準備を進めていてくれてるかな?」

私が期待をこめてつぶやくと、ソードが呆れたように返した。

「うん、待ち望み方がおかしいけどな! たぶん、お前の期待通りには絶対にいかないと思うぜ? シャド、あの陰険さがすっかり取れて、俺に相談するようになっちまったし。……お前の最強伝説は、とどまるところを知らないよなー」

最強伝説なんかいらない!

私は、物語のような、主人公が情けをかけたら逆手に取られて悪巧みにはめられるって展開を期待しているんだい!

「……この世界の人間は、根性無しだ! 逆恨みして仕返しする根性がない! 人を恨むパワーを持ってない! いたいいたいいたい」

ソードにグリグリされた。

「お前のいた世界の方が優しくないぞ? どんな展開を待ってんだよ!? 恨まれたいのかよ!?」

「逆恨みしてるやつを返り討ちにして、見下ろしながら高笑いしてやって悔しがらせたい」

願望を言ったらグリグリが強まった。

聖女たちを放免し、キャンピングカー作成再開。

ソードはいったんギルドに行った後、

「おおかた片づけたし、冒険者たちが戻ってきたんで例の大物以外は任せることにした」

って、また戻ってきた。

なるほど、ものづくりに口出ししたかったらしいよ?

キャンピングカーを作るのを見ながらアレコレ注文をつけ始めた。

道理でいつもより早く空き地に戻ってきたわけだ。

使うはずの【笑顔でお気楽】メンバーは、なんでもいいやーよくわかんないしーの姿勢で「お任せします」を繰り返している。

ベン君とは違うな。

意見を聞かれると困るのか?

指示を出すとハキハキこなすのだが。

自主性のない子たちだなー。

そんなんじゃ嫁さん婿さん捕まらないぞ!

……と思いつつ、【笑顔でお気楽】メンバーには料理の仕込みをやってもらい、しばらくしたら、孤児の子供たちがやってきた。

……ん?

どっかに行ったはずの聖女と高飛車男もやってきた。

「どうした?」

近寄ってきた子供たちに聞いた。

「……あのね、聖女様が、お手伝いしたいって。よくわかんないけど、『おわび』だって」

ふーん。

縮こまっている聖女と高飛車男。

二人を見たあと、私は肩をすくめた。

「まぁ、いいか。じゃあ、お前たちが教えなさい。ここではお前たちの方が一日の長がある。野菜を洗ってなさい」

「「「「「はーい!」」」」」

わらわら散っていく。

一人、少年が残り、私に尋ねる。

「また昨日の作るの?」

「いや、もっとシンプルに芋を切って油で煮たものにしようと思う。魚を仕入れているから、昨日のような味付けのものは魚にする予定だ」

フィッシュ&チップスな!

昨日は肉ばかりだったので今日は海の幸を採り入れよう。

情熱の国はドコ行ったという感じだが、いいのだ、ビアパブでは出てくるしー。

さらに揚げ豆と骨せんべい。

肉が食べたい人向けに、ミートボールは作る。

「肉が手に入ったときは、豆と混ぜるといい。こうやって細かくし、潰した豆と混ぜるとな、肉だけよりもさっぱりと、しかしおいしく栄養価も高い料理になる。野菜の端を細かく切って焼いたものも混ぜると、味も良くなるから、覚えておきなさい」

私に積極的に話し掛ける少年と、料理に興味があるらしい少女数名に教え込むことにした。

作り方を覚えてくれたら、ここで屋台をやってもうけてほしい。

「骨も、市場を回って安く譲ってくれるところを探して譲ってもらいなさい。骨は万能なのだ。この際海水でもいいから、よーく洗い、干して、よく焼くのだ。じっくりと焼くと海水の塩でそのままでもうまいだろうし、焼いた骨をスープに入れる。この場合、骨は食べられないが、その代わりスープはとてもおいしくなるぞ? ポイントは、絶対に、焼くこと! 焼かないと逆に変な臭いでおいしくなくなるからな?」

「「わかったー!」」

作らせてみた。

骨をよーく焼き、沸騰した湯にブチ込む。

出汁が出たら、こす。

再度鍋で野菜くずなどと煮込む。

「ふわぁ~いい匂い~」

子供たちがクンクン嗅いでいる。

「だろう? 一手間かけるだけで、味が変わるのだ。丁寧に洗ったり、煮る前に焼いたり、そういった手間を惜しまずに作ることが大事なのだ。腹が膨れればいいってもんじゃない。誰だって、おいしい方がいいだろう?」

一斉に深くうなずいた。

よし、ちょっとはこの世界の食の改革になっただろう。一ミリ以下の改革だけど!