作品タイトル不明
198話 どこのスパですか
まずは、お付の方々にメイドと使用人が屋敷の説明。
生体認証登録をしてもらう。
コレをしないと、リョーク及び屋敷のセキュリティから攻撃を受ける。
「うちは、王都の騎士団がやってきても突破されないであろうセキュリティを誇っている。が、だからこそ生体認証登録がされていない者はなんであれ攻撃される。そして、セキュリティレベルがあり、ゲストは立ち入り禁止の場所もある。警告されたら速やかに立ち入り禁止区域から離れてくれ。とどまるとどうなるかわからないぞ」
「うわー。セキュリティを作ったのって、インドラ様ですか?」
「そうだ」
ちなみに、ショートガーデ公爵は、キラキラ目をますますキラキラさせながら顔をくっつけてあっちこっちを見回っている。
貴族のマナーはドコ行った。
「…………くつろいでいただけているようで、何よりだ」
「…………本当に、本当に父が、申し訳ありません!」
部屋に案内した。
「部屋に浴室は付いているが、大浴場をご希望なら、前もって時間を知らせていただきたい。大浴場は一日中自由に風呂に入れるようにしてあるので、知らせていただいた時間は貸し切りにせねばならないからな。ただし、朝食後は掃除の時間帯なので、そこは避けてくれ」
「えっ? ……大浴場?」
スカーレット嬢が食いついた。
「作りは簡素だぞ? 平民用だからな。客室の浴室は、ちゃんと 煌(きら) びやかにした」
「……でも、インドラ様が作られたんでしょう? 温泉っぽくされたの?」
「そうだな。香りの良い木を組み立てて作ったものと、石を貼り合わせて作ったものとある。掃除の時間帯で男女を入れ替える。木の浴場はサウナ、石の浴場は岩盤浴もあるな」
「どこの〝スパ〟ですか」
スカーレット嬢からのツッコミが。
「勇者の助言だ。うちにいる勇者は、社畜で何日も風呂に入らず会社に缶詰で仕事をしていたが、そのくせ〝スーパー銭湯〟はよく行ってたというわけのわからないやつでなぁ。身体を清潔に保って欲しいのと掃除の手間を省くために大浴場を作ったのだが、せっかくならとアレコレ言われて機能を足した」
岩の浴場は滝のような打たせ湯と炭酸。
木の浴場は薬湯。薬湯は、掃除当番が気分によって変えていると説明する。
「はい! 私(わたくし) 、大浴場で! 一時間時間を下さい!」
スカーレット嬢が素に戻って挙手してきた。
「面白そうなので、私も大浴場をお願い出来るか?」
と、いうことなので、夕食前に一時間時間を取って入ってもらうことにした。
それはともかく。
行方をくらましたソードに無線で連絡する。
「おい、気持ちは分かるが、夕食は逃げるな。さすがに当主が席に着いてないとまずいだろう。公爵はちょっと変だが、非常に腰の低い方だ。そのくらい目をつぶれ」
『……ちょっとじゃないだろ、アイツ、まったく変わってねーじゃねーか』
って返してきた。
ん? その言い方って?
「お前、知り合いか?」
『……学院に通ってた時期があった、っつってただろ。現王と、シャド、あとジェラルドってのは、ものすごい癖者トリオで有名だったんだよ!』
うむー。つまりはだ。
その頃からソードの追っかけをやっていた、ということか。
「大体察した。が! 来てしまったものはしかたないだろう。基本は私が応対するし、今は貴族のマナーそっちのけで屋敷に夢中だ。料理人が張り切って料理を作っていることだし、酒でも飲ませれば気をそらせるだろう」
『あー、ホントそうなってほしい。結婚して子供もデカくなってんだから、もう少し落ち着けっての』
そうだね。
ソードなんか結婚すらしてないのに、もうおっさんだもんね、プププ。
『……おい、お前。今変なこと考えてなかったか?』
出たエスパー。
「考えてない。――とにかく、夕食は同席してくれ。あと、夕食前に大浴場に向かったから、そこは避けた方がいい」
『部屋で入るよ。つーか、もう、部屋から出たくない。ずっと部屋で酒を飲んでたい』
アルコール依存症の引きこもり宣言されたし。
ちなみに、私とソードの部屋と客室は引きこもることが可能だ。
客室は、トイレとバスが一緒だが、広めにとったし何しろ水洗だ。
私とソードの部屋は、トイレとバスが別で、さらに広々としている。
掃除が大変だが、ソードはともかく私が大浴場や共用トイレを使うと使用人が嫌がるので、部屋で済ませるようにしているのだ。
この家で私に気を遣わないのはソードを除けばアマト氏くらいだもんな。
アマト氏、貴重な人材。
あとは、ベン君くらいかな。
――そういえばベン君は、まだ戻ってきてない。
海側からだと 迂回(うかい) ルートか山越えかで、シャールだと 迂回(うかい) ルートしか選べないので遠回りになってしまう、とは聞いたけど、それでもシャールでぶっ飛ばせばそんなにかからないはずなんだけどなぁ?
たまに無線で連絡を取ってるので、大丈夫だとは思うけど……。ちょっと心配。