軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6巻発売記念SSその2

「フィリア様~! 早く行きましょう~! もう準備終わりましたから~!」

リーナさんの元気な声が馬車の前から響き渡ります。

今日は彼女の誘いで歌劇を観に行く予定です。

どうやら、リーナさんが好きなお話が公演されるとのこと。

どんなお話なのかは「ネタバレ」とやらになると新鮮に楽しめないかも、と彼女が気を利かせてくれたので教えてもらえませんでした。

「そんなに焦らなくてもまだ開始まで時間がありますよ」

「そうなんですけど~! せっかくフィリア様のお休みをご一緒できると思うと居ても立ってもいられなくなっちゃいました~!」

天真爛漫な笑顔を見せながら、リーナさんは私の手を握りしめました。

こうやって、外出するだけでこんなにも楽しそうにしてくれるなんて……私も彼女に釣られて頬が緩みます。

「では行きましょうか」

リーナさんとともに馬車に乗り込み、私たちはパルナコルタ王都にある王立劇場へと向かいました。

「リーナさんはよく歌劇を観に行っていたのですか?」

「そうですね~。お父様が王都で騎士をされていたときは、よく連れて行ってくれまして~。それから好きになってたまに観に行くようになりました~」

リーナさんの家系は代々騎士や王族の護衛をされているんでしたよね。

彼女のお父様であるアウルプス男爵は確か、現在はパルナコルタ王国の東側を守る分隊の隊長をしていると聞きました。

「元々、お父様が好きだったんですね?」

「ええ~、普段は厳格な人なんですけど~。意外と涙もろいところがあって、悲劇なんて観たときは涙をボロボロ流しちゃって~」

「お優しい方なんですね」

「はい~。情に厚い人だと思います~。お友達を大事にしていて~、義理固いというか~」

楽しそうにお父様について語るリーナさん。

なかなか機会がなくて実現していませんが、いつかお会いしてみたいものです。

そんな話をしていると、あっという間に馬車は王立劇場の近くまで着きました。

「オスヴァルト様も来れればよかったのですが」

「最近、お忙しいみたいですね~。フィリア様みたいです~」

結婚してからしばらくして、オスヴァルト様は積極的に公務を増やしています。

国王陛下とライハルト殿下にそうするようにとお願いしたらしいのです。

どうしてなのか、まだ理由ははっきりと聞いていませんが、王族として責任を果たせる人間になりたいというようなことは仰っていました。

「さぁさぁ行きましょう~。良い席を予約しておいたんですよ~」

「あ、はい。ありがとうございます」

リーナさんに案内されながら私も劇場へと入ります。

どんな舞台が観られるのかとても楽しみです。

「どうでしたか~! いいお話だったでしょう~!?」

帰りの馬車でリーナさんは目を輝かせながら、感想を聞いてきます。

舞台は騎士の友情がテーマで、同じ女性を愛してしまった二人の騎士が中心に物語が展開されていました。

「そうですね……まさか二人とも悲恋というか想い人と結ばれずに終わってしまうのが意外でした」

「そこはびっくりしますよね~!」

「でも、二人とも何だかスッキリしたような感じで、前向きでしたね。悲恋のはずなのに明るいラストなのは……二人がとても親しい友人だからでしょうか?」

恋愛とは違う愛情……友愛とでも言うのでしょうか。

友人同士の関係もかなり奥深いものだと思います。

劇中で感じられた絆は、とても強固で簡単に断ち切れようなものではないように見えました。

「友情って良いですよね~! フィリア様~!」

「ええ、そうですね。人は他者との繋がりで強くなれる生き物です。私も色んな繋がりを大事にしたいと改めて感じました」

それから屋敷に帰っても……夜までリーナさんとの談義は続きました。

こうして、楽しく語り合える彼女との繋がりも大事にしたい。

私はどこまでも朗らかな彼女を見て、そう思いました。