軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

146話 出会う

昨日の配信後、やっぱりSNSは荒れたが、それ以上に俺の顔が掲示板で晒されたことが話題になっていた。

もちろんあれは変化スキル使った顔である。

寧音に撮ってもらった。

後で自分で晒そうと思っていたが、第三者がやった方が怪しまれないだろうと思い、電話した時に奈那さんに頼んだ。

いい感じのタイミングでいい感じの火力で晒してくれたようだ。

早速特定の動きがあるようだが、当然身元はバレていない。AIで生成した架空の顔だしな。もしそっくりさんが居たら迷惑をかけるかもしれないが……たぶん大丈夫だろう。

それよりも、今日は例の探索者が俺のダンジョンに来る日である。いったいどんな話が聞けるのか。

13時半に連れてくるとのことだったが、俺はかなり早い12時にはダンジョンを訪れた。今回は俺がダンジョンマスターだと知っている人しか来ない予定なので、変化スキルは使わないし特に顔も隠さない。

ただ他の探索者に見られると困るから、合流する時は雑面を被る予定である。

また、今回は2階の隠し部屋ではなく3階に新しく隠し部屋を作って、そこまで来てもらうことにした。どうせ政府の奴らがゾロゾロ来るんだ。2階の隠し部屋は隠し通したいので、3階にバレて良い部屋を作った。なので隠し扉の作りも1番安くて見破られやすいものになっている。

まぁ、まだ決定ボタン押してないから、ダンジョンには存在していないんだけど。約束の時間が近づいたら作る予定である。

時間までは2階層の方の隠し部屋でダンジョン内にいる探索者の様子を見て時間を潰す。

増設された部屋タイプの練習場もうまく使ってくれているようだ。何回か配信をしていても特に文句は言われなかったので、モンスター部屋のリポップ間隔も30分のままで良さそう。

むしろ1時間より短くていいんですかってコメントされてたな。

攻略と関係ないところだし別にいいよ。

予約表はやっぱり誰かが勝手に持ち込んでいたけど、これも特にトラブルが起こってないので放置だ。引き続き問題を起こさず練習場を使って欲しい。

攻略はというと……1番最深部まで行っているパーティはいくつかあって、どれも25階層で止まっている。一番最初に来たパーティはたぶんもう3週間くらいはここで引っかかってるんじゃないかな。

【闇に潜むモンスターから逃げましょう】という看板のヒントはあるものの、この階層ではモンスターを攻撃してはいけないことにまだ気づいていない。

あ、また倒しちゃってる。

先に行く魔法陣の場所自体はもう見つけられてて、スタートからそこまで一気に駆け抜けるという行動もしていたが、それだとこの階層のモンスターである影アゲハに見つかり、群がられる。

群がられた時に攻撃をしなくても、魔法陣の設定的に影アゲハを手で払った程度でも攻撃した認定になる。なので、この階層はどちらかというと影アゲハに見つからないように隠密行動をしなくてはいけない。

この様子じゃ攻略までまだ時間がかかりそうだな。

早く30階層の宿泊施設使ってみて欲しいんだけど、まだ無理そうだ。

他に目ぼしいパーティあるかな。

あ、18階層で知ってる人いた。ライセンスの講習会で一緒だった元サラリーマンの潮見さんだ。確か鎌倉にダンジョンが出来てからはそっちに行っていた筈だけど、気分転換か何かでこっちに来たんだろうか。いやでも気分転換で18階層まで降りてこないか。チュートリアルクリア目的かな。最近そういう人達増えてきたし。

その後もいろんな探索者の様子を見て時間を見ていたら、あっという間に13時25分になった。

2階層、3階層に人が居ないのを確認してから、まず3階層で途中まで作ってた隠し部屋を最後まで作り、雑面を被って部屋を出る。

そのまま地上に出た。

車で来ると言っていたから、多少時間は前後するだろうけど、いつ来るかな。

スマホを見ると、奈那さんからあと5分ほどで着くと連絡が入っていた。

5分くらいならこのまま待っているか。

待っている間、一組の探索者グループがダンジョンに入っていった。

最初の部屋に立ち止まって“あれ町田のダンマスかな”“コスプレだろ”みたいな会話をしていたのが聞こえてきた。

堂々としてると逆に疑われないんだな。

そのあとすぐ、奈那さん達が来た。

高級そうな黒い車が3台ダンジョンの前に止まる。

どう見ても目立っている。こうなるとわかっていたので、俺も隠れる意味ないと思って隠遁者スキルは使わなかった。

本当は深夜とかに来て欲しかった。ゴネれば時間調整できたのかな。

3台のうち、真ん中の車のドアが開き、奈那さんと青髪の人物、そしてどこかで見たことのある男性が降りてきた。その後に続いて、前後の車からもゾロゾロとサングラスをかけた人達が降りてきた。

「2分遅れたな。すまない」

「いえ、別に大丈夫です」

「初めまして。僕は 八杉和彦(やすぎかずひこ) 。今日はよろしく頼む」

なんか……前に記者会見で政府のやらかしを全部認めてた人だよな?今の防衛省の大臣。

「町田と呼んでください。ではさっそく中に入りましょうか。このままだと目立つので」

護衛の人達は……全部で8人か。最低限の人数でお願いしますって伝えていたつもりなんだけどな。まぁポイントになるしいいか。

ついてくるだろうと思い、先頭でダンジョンの中に入る。

練習場の入り口からこちらを見てくる探索者達がいるのに気づいた。

向こうからすると町田のダンマスらしき人が政府の人間をダンジョンに連れてきているように見えるだろう。明らかに異様な光景だという自覚はある。

これだけ目撃者がいるなら、顔を晒したこととか、晒された俺の顔の話題は一瞬で過ぎ去りそうだな。

視線を無視して3階層の隠し部屋に案内した。

どうせいっぱい人が来るだろうと思って、机と椅子を多めに置いたのだが、護衛の人達は座らなかった。考えてみれば護衛なのだから当然である。もしもの時のためにすぐ動けるように立っているに決まっている。

「では、さっそく始めようか。構わないかな?シーニィさん」

シーニィ……流れからしてこの青髪の人物の名前か。

「構いません。しかし話すには権限を解放する必要があります」

動画では英語だったけど、日本語も話せるんだな。

やはりものすごく聞き慣れた声だ。

「権限?」

「はい。それはここでは解放できないものです。町田様、手を」

どこでどうやって解放するんだろうか。

手を差し出されたので、とりあえずその上に自分の手を乗せる。

これで良いのか?

「では飛びます」

その言葉に疑問を持つ暇もなく、視界が切り替わった。

目の前に1mほどの紅色の石がある。

慌ててあたりを見渡した。

ここは、俺のダンジョンの最下層。ダンジョンのコアがある部屋だ。