軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

126話 転移トラップ

蓮見が壁の向こう側を見ながら進む。もちろん闇雲に見ているわけではなく、現在公開されているマップで、向こう側に道があるとわかっている部分は見ていない。

ただ、見た場所のほとんどが暗闇。つまり向こう側の空間が無い事を示していた。今の所なんの手がかりも得られていない。

そうこうしている間に目的の転移トラップまでたどり着いた。床のある場所を踏むと発動する。飛ばされるのは1人ずつだ。

奈那さん、蓮見、俺の順番でトラップを踏んで行く。

飛んだ先の部屋には脱出用の魔法陣と宝箱があった。

「これ、開けていい?奈那はあんたが良いなら良いって」

「どーぞ」

蓮見のダンジョンはあんまり宝箱置いてないもんなぁ……珍しいのだろう。たぶん。

そして宝箱から出て来たのはスキルの書だった。富良野ダンジョンでは定番のアイテムだな。重要なのはその中身。なんのスキルが覚えられるかだけど……

「なにこれ」

「 光武(こうぶ) が覚えられるスキルの書だな」

「あー……光武か」

探索者の間では完全にネタ扱いされてるスキルである。

「かっこいい名前してるのに、反応的にはビミョーそうだな」

「光武は手に持っている武器を光らせられるスキルだ」

「……えっ、それだけ?」

「それだけだな」

「暗闇の環境変化がかかっている階層では役に立つかもな。まぁ、せっかく手に入れたんだし使っとけば?どうせ高く売れないし」

「いらねー……」

蓮見はスキルの書を空間魔法で空間に入れた。

せっかく手に入れたのに。まぁ俺もいらないけど。

さて、この部屋には小嵜は居なかったし、さっさと出るか。

「奈那さん、魔法陣の発動条件は?」

「誰か手を繋いだ状態で魔法陣の上に乗ることだ」

なるほど。それは確かに小嵜だけではどうにもならないな。1人じゃ手を繋げない。

手を繋いでいれば人数は関係ないようで、奈那さんが真ん中になって手を繋いで魔法陣の上に乗る。すると魔法陣は光りだし、俺たちは元の場所に戻った。

次に行った転移トラップは宝箱を開けたら発動するタイプだった。開けた瞬間その宝箱がある部屋に居た人が全員飛ばされる。

ここにも小嵜は居なかった。

ここの脱出条件は1人につき10gの金を捧げる事。

だいぶキツイ条件ではあるが、奈那さんが普通に持っていて、そのまま提供しようとしてた。

今の金の価格がどれほどのものかは覚えてないけど、30gって50万円を普通に超えるんじゃないのか?そういうの詳しくないからあんま分からないけどさ。

とにかく高いことには違いないんだからそれを出させるのは申し訳なさすぎる。

土魔法スキルでは、上級の一個上、超級で金……というか鉱物を生成できるスキルが使えるようになる。必要ポイントは50万だ。

めっちゃ高い金とダンジョンポイント50万だったら、まぁ後者を選んだ方が良いだろう。

ということで俺が新しく土魔法の超級スキルを取って、金を生成して脱出した。魔力は想像以上に使ったので回復薬を飲んだ。

なお、生成した金を売れば簡単に稼げるんだろうけど、そんなことし続けたらいずれ金の価格が暴落するだろうし、暴落したら貨幣価値も資産価値もなくなり、果ては金の発掘・輸出で生計を立てている人達が大変な目にあうので俺はやらない。あくまでも人類の味方を名乗っている以上はな。

酒木とか他のダンジョンマスターが魔法スキルの超級の存在に気づいて、鉱物生成をして稼ぐ分には好きにしたらいいと思う。

その次のトラップはシンプルに魔法陣に乗っただけで転移するものだった。

脱出方法もそこまで難しくなく、四隅にある松明に火をつけたら魔法陣が起動する。

奈那さんがサッと火球を撃って終わった。

小嵜は居なかった。

次に行った転移トラップは最初と同じく床のとある部分を踏むと発動するタイプだった。ただ、最初のと違って一定の範囲内にいた人物はまとめて飛ばされるようだ。

この部屋は魔法陣じゃなくて、ボタン解錠型扉、俺のダンジョンの8階層で使っているものと同じやつが使われており、解錠ボタンを押す事で扉が開いて出られるようになる。

ボタンは部屋の左右の壁に設置されていた。1人じゃ確実に押せない。長槍を持っていたらギリ届くか??

ここにも小嵜は居なかったので、俺と蓮見でボタンを押して部屋を出た。

「想像してた通りなかなか小嵜は見つからないですね」

「当たりをつけてるトラップは14階層内に後2つある。それでもダメなら次は15階層だな」

「14階層の他のトラップは見て回らないの?」

「残りは1人でも条件を達成できるものになる。出て来れない事はないだろう。後は情報がない転移トラップになるが……それに引っかかっていたとしたらだいぶ厳しくなる」

「1人で条件が達成できるやつでもさ、その条件がわからないなら出て来れないよな」

「私は真識眼で見ているが、鑑定スキルさえあれば魔法陣の条件はわかるんだ。鑑定のスキルの書はここ、富良野ダンジョンの宝箱によく入っている。だから金を出せば手に入るし、そもそも小嵜麻夢はダンジョンマスターなのだから、自分で取れるだろう?富良野ダンジョンにおいてほぼ必須とされている鑑定スキルを取らずに攻略に挑む事はないだろう」

俺もそう思うが、鑑定は5万ポイントで取れるけど、小嵜って5万もポイントが持っていたのかっていう疑問はある。

小嵜のダンジョンが世間に見つかってから研究者を名乗る人達が度々訪れているようだけど、海の中にあるという都合上、短時間しか居られない。……流石に見つかってから時間は経ってるし、溜まっているか?

5万ポイントあったとしてもそれを鑑定に使うのかっていうのがな……

よくよく考えれば小嵜は刀一本で俺のダンジョンに突撃しに来たことある。矢が飛んでくるトラップとかその他の罠も普通に突破していた。それが今回もできると思っていたとしたら?

「奈那さん。小嵜はトラップに引っかからない前提でダンジョンに挑んでる可能性があります。鑑定スキルを取ってるとは限りません」

「なるほど。となると他の転移トラップも全て見て回る必要が出てくるな」

「この階層の転移トラップって後どれくらいあります?」

「現在わかっているだけでも、他の階層に飛ぶトラップが3箇所、モンスター部屋が5ヶ所、宝箱のみの部屋が2ヶ所、1人でも条件を達成できる部屋が3ヶ所、1人では条件の達成が難しい部屋が2ヶ所。それに絶対にハマってはいけないとされているトラップが3ヶ所ある。

これは誰1人帰還者が居ないからという理由もあるが、危険察知スキルで予め入るのを辞め、そもそも誰も引っかかっていないトラップも含まれている。要は情報が一切ないトラップだ。他にも未発見の転移トラップもないとは言い切れない」

「うわ、そんなにトラップあるのかよ」

「条件が不明のところは絶対に行きたくないですね……」

「流石の私でも条件不明のリスクは背負えないな。もし行くならダンジョンをくまなく捜索して、どうしても見つからなかった場合のみにしたい」

「ですね。モンスター部屋と宝箱部屋はどんな馬鹿でも出られるでしょうから、何かしらの条件達成が必要なトラップ5ヶ所を巡りましょう。それでもダメなら、他の階層へ行くトラップに引っかかった可能性を考えるともっと探索範囲が広まるので、15階層へ行く前に一度他に方法が無いか考えたいところです」

「わかった。14階層の探索が終わったら、昼休憩も兼ねて一度戻ろう」

「はーい」

ということで、残り5ヶ所のトラップ巡る事になった。

次に行った部屋の条件は傷つけ合うこと。俺と蓮見で指先を少し切り合って出た。回復薬を使うまでも無い傷だったので絆創膏を貼っておく。

その他にも、魔法陣を影で覆う部屋、一曲歌う部屋、10分間音を立てない部屋、逆立ちする部屋の4ヶ所に行ったが、どこにも小嵜は居なかった。

これのどこかで見つかってれば楽だったんだけどなぁ……仕方がないので一旦ダンジョンから出る。お昼ご飯を食べるついでにもう少し何か方法が無いかを考えよう。