軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

121話 北海道へ

仕方なく小嵜弟とも連絡先を交換して別れた。

俺と瑛士はダンジョン内で何があっても最悪自分のダンジョンに帰れるから良いとして、遊太と光介はそんなこと出来ないので、今回は留守番してもらう。休みだから着いて行くって言ってくれたんだけどな。瑛士のお守りは俺1人でいいって言って断った。

家に帰ってから、奈那さんに電話をかけた。

いつもはメッセージのやり取りだが、今回は事情を説明するのが文章だとちょっと面倒だと思って電話を選んだ。

電話は数コールで繋がった。

『こんばんは、蒼斗くん。ちょうど私も連絡しようとしていた所だった』

「こんばんは。タイミング良かったですね。俺の話はちょっと長くなりそうなので奈那さんからの要件を先どうぞ」

『では早速本題に入ろう……その前に今周囲に誰も居ない環境だろうか?』

「えぇ。自宅なので。今ならどんな内容でも大丈夫です」

『ならよかった。例のイギリスの探索者の件だが、入国の目処が出来た。来週の土曜だ』

「それはまた急に決まりましたね」

探索者ギルドは今後大きな問題が起きない限り問題なく設立されるだろう。しかしまだ対策局の解体は決まっていない。定期的に解体デモが行われているようだが、政府は無視を貫いている。

イギリスから連れて来てくれるのは全てが終わったら、みたいな話だったと思うが、もしかして世間に公表されてないだけで、対策局の解体がほぼほぼ決まったのだろうか。

まぁ連れて来てくれるならなんでもいいけど。

『ちょうどイギリスとの会合予定があり、外交官の帰国に捩じ込むとの事だ。それで日本に連れて来た後どうしたいかを聞かれてな。政府が用意した場所で合流して町田ダンジョンに行くか、政府の人間が直接町田ダンジョンに連れて行くか、どちらがいい?』

なんとなく国が用意した場所には行きたくないな。かといって連れて来られるのもなぁ……目立ちそう。

「例の探索者が1人で俺のダンジョンに来るみたいなことはできないんですか」

『出来ないことはないだろうが、政府が連れて来た人間を何も無しに解き放つとは思えない。八杉大臣が君と探索者が何を話すのか興味持ってしたし、断ってもこっそり部下を潜り込ませてくるだろうな』

そりゃそうか。例の探索者が何か事件起こしたら政府の所為になるし、何かあるってわかってるなら聞きたいよな。

でもそもそも資格が無いと奈那さんには何も話してくれなかったのに、資格無いやつが同席していて良いものなんだろうか。良いなら奈那さんも同席させておいた方が後々楽そう。奈那さんもそれを望むだろうし。

とにかくどっちにしろ俺のダンジョンに来るのなら、直接俺のダンジョンに連れて来てもらった方がまだマシか。

「わかりました。では俺のダンジョンに連れてくる形でお願いします。できれば奈那さんも一緒に」

『おや、私も一緒でいいのか?』

「もちろんです。何か知れるなら知りたいでしょう?」

『あぁ。どう話を聞き出そうか考えてたところだ。私も一緒にさせてくれるならとても嬉しい。詳しい時間が決まったらまた連絡しよう』

「お願いします」

『私からの要件は以上だ。次は蒼斗くんの方の話を聞こう』

俺は小嵜弟に頼まれて富良野ダンジョン内で小嵜麻夢を探すことになったと簡単な経緯を話した。

なんだかテンションが上がってそうな気配を感じる。

奈那さんからの誘いを断り続けてたもんなぁ……

ダンジョンの案内は快諾してくれ、ついでに飛行機とホテルの手配もしてくれるという話になったが、それに着いては断った。今回富良野ダンジョンに行くのは俺達の都合……というより小嵜弟の都合で奈那さん関係ないからな。それに広島では全額負担してくれてたし流石に今回もお願いするのはちょっと申し訳ない。

ただ、旭川空港までのお迎えはお願いした。

流石に1時間に1〜2本しかないバスは待てない。新千歳空港経由にすれば電車ルートもあるが、そっちはそっちで時間がかかるしな。

次の日の朝。始発の電車に乗って空港まで向かう。ものすごく眠い。

瑛士と一緒に居るところは見られたくないという理由で、今回も旭川空港までは別行動だ。瑛士は酒木岳と来るらしい。昨日の今日なのに機内で席が隣とか気まずくないんだろうか。いや、瑛士に気まずいという感情は無いか。

俺は1人で飛行機に搭乗して、空の旅を事前にダウンロードしていた動画を見て過ごした。

旭川空港に着いてすぐにマスクとサングラスをした。この後は瑛士と合流するからだ。一緒にいる所を見られた時、顔出ししていたくない。

ただ、集合場所は到着ロビーだ。

瑛士待つことなく先に行くと、寧音が既に待っていた。

「久しぶりね」

「久しぶり。奈那さんは一緒じゃないんだな」

「今頃朝陽と一緒に旅館でのんびりしてるんじゃない?」

「は?あいつも来てんの?」

「聞いてなかったの?朝陽の息抜きの為に連れて来てたのよ。もしかして私達が1週間前から北海道に居るって事も知らない?」

「いや、それは知ってる。一緒に来ないかって誘われてたし」

「あぁ、そうだったわね。お姉ちゃん残念がってたわよ。先に取るだけ取った部屋は朝陽が使う事になったわ」

前にもう部屋取ったから来てくれないと無駄になってしまうって言われたけどあれガチだったんだな。俺を誘い出したいがための罠かと思ってたわ。

もし俺が誘いに乗ってたら蓮見は北海道まで来てなかったんだろうか。

「蓮見もダンジョン潜ってんの?」

「函館観光して、札幌行って、小樽にも行って、旭川動物園に寄って、昨日富良野に来たところよ。それ以前の話ね」

めっちゃ観光してるな。

小嵜を早めに見つけられたら俺も観光してから帰ろうかな。せっかく北海道まで来たんだし。

「で、あの馬鹿は?」

「俺は荷物預けなかったからすぐ出て来れたけど、あいつらは預け荷物があるんじゃない?」

なお、飛行機にはマジックバッグは持ち込めない。マジックバッグはX線で見た時に中身が一切映らないので、こっそり持ち込もうとしてもバレる。そしてバレたら拘束されて事情を聞かれる。ハイジャック対策だな。

だから今回はいつも使ってたマジックバッグを家に置いて来た。武器は宿のレンタルサービスで借りる予定だ。

「そう。ならもう少し時間がかかるかもしれないわね……待って。あいつら?らってなに?」

「奈那さんから聞いてないのか?東池袋ダンジョンのマスターである酒木岳も今回は一緒だ」

「はぁ!?なにそれ!聞いてないんだけど!」

「俺はちゃんと奈那さんに伝えてたからな」

「……でしょうね。どうせ言わなくても問題ないから言うの忘れてたか、私に怒られるのが嫌であえて言わなかったのかどっちかね。そいつどんなやつ?」

「あんまり関わりたくなかったから詳しく知らない。今の所は害のない奴だと思ってる程度だな。瑛士の方が詳しいよ」

「わかった。後で聞くわ」

その後も寧音と話しながら待っていると、10分ほどで2人が来た。

寧音と酒木が自己紹介し合っている。その裏で瑛士が全然荷物が流れてこなかったーと話していた。あるあるだな。

そうこうしている間に自己紹介が終わったようで、寧音にレンタカーを止めてある駐車場案内された。軽自動車をレンタルしていたらしい。

今の人数なら全員乗れるけど、奈那さんと蓮見も含めると定員オーバーだな。宿はダンジョンの徒歩圏内にあるところに泊まっている筈だから、おそらく問題は無いだろうけど。

とりあえず荷物を車の後部座席の後ろのスペースに詰め込む。酒木の隣になりたくなかったが、気づいたら瑛士が助手席に行ってた。

なので俺と酒木が隣同士になった。普通に気まずいな。話すことなくない?

「……蒼斗くんはえーしくんといつから仲良いの?」

「高校入ってからですね」

「えー、意外。えーしくんに着いて北海道まで来るくらいだから、もっと前から仲良いのかと思ってた」

「それを言ったらあんたも昨日知り合ったばっかなのによく来ようと思いましたね」

「無職だからねー、俺。ぶっちゃけいつも暇なんだよ」

「暇つぶしで来るような所じゃないと思いますけど」

「それはそう。ひさびさに飛行機乗ったわ。蒼斗くんは飛行機乗り慣れてたりする?」

「特には」

「そっか!北海道は来たことある?」

別に俺は会話を広げるつもりは無かったのだが、酒木はずっと話しかけてくる。

やっぱり強引にでも俺が助手席に座らせて貰えば良かったな。