軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

119話 触れ合いコーナー

先頭で瑛士とここのダンジョンマスターが楽しそうに会話しながら進んでいる。

ダンジョンマスター同士が話している光景はなかなか珍しいのか、すれ違う探索者にガン見されたり二度見されたりした。

2人の会話を後ろで聴きながら着いていく。

こいつの本名は酒木岳。俺らの1個上で、ダンジョンマスターになった後に大学を中退した所までわかった。まぁ調べたら出てくる情報なんだけど。

「がっくんは何のモンスターが1番好き?俺はね、スライム!」

「えーしくんはもっと強そうなの好きそうなイメージだったわ。俺は……ダークウルフかな。黒くてかっこいいし」

「スライムはぷるぷる震えて可愛いし、触るとぷにぷにしてるからね!ダークウルフは俺見たことないや。触れ合いコーナーにいる?」

「あー、居ないわ。けど、初めまして記念に別に出してもいいよ」

「ほんと!?じゃあお願いしてもいいかな?」

「いいよいいよ。えーしくんのダンジョン大阪だからモンスターとは触れ合えないもんな」

めちゃくちゃどうでもいい会話してるな。

どうせならもっと情報引き出せよって思うが、瑛士にそれをお願いしたら逆に情報をバラしかねないからそっとしておく。

ちなみに瑛士は毎日モンスターと触れ合っている。ずっと前に出現させたスライムを今でも部屋で飼い続けているからだ。なんならあの時より増えている。まだモンスターがドロップで手元に配置出来る仕様の頃に、追加で3匹出していたそうだ。うち1匹はうっかり踏み潰して消えたらしい。

どうしようって鬼電かかってきたけど、消えたモンスターってもう2度と戻せないし、その時は配信中だったのでとりあえず雑に励まして終わらせた。

会話の流れ的に別に部屋でスライムを飼っていることを言うかなと思ったのだが、俺が前にスライムのことは広めないようにしろよって言ったことを律儀に守っているっぽい。

「ねぇねぇ、この優先券ってさ、ダンジョンの画面じゃ買えないよね?自分で入れてるの?」

「いや。AI君になんで紙に文字書くだけの簡単な事が出来ないんだよって詰めたら設置出来るようにしてくれた」

「へぇ!そんな事できるんだ。知らなかった!」

やっぱりAIに言えばオリジナルアイテム作って配置できるんだ。

AI君……男性タイプのAIを選んだんだろうか。

となるとベータかガンマタイプの2択で、このダンジョン攻めか守りかって言われたら守りタイプっぽいからガンマタイプかな。

「あれ、大阪ダンジョンもオリジナル要素なかったっけ?」

「そうなの?俺全部シロンちゃんに任せてるから知らない」

「シロンちゃん?」

「うん!シロンちゃん。ええと、シロンちゃんってフルネームなんだっけ?……あ、イプシロンね!」

「あー、えーし君が選んだサポートキャラか。ナチュナルに会話するね」

「普通じゃない?シロンちゃんとお話しするの楽しいよ」

「俺のはなんかナヨナヨしてっから。相談はするけど楽しく会話とかはねーな」

「ふぅん?」

シロンちゃんは妹みたいな感じって瑛士が言ってたし、サポートAIによって本当に性格が全然違うんだな。

その後も2人の会話はずっと続き、遊太もたまに会話に混ざりながらも歩いていれば、あっという間に1階層に戻って来れた。

触れ合いコーナーは俺のダンジョンで言う練習場がある位置、ようは最初の部屋の階段を降りてすぐのところに入り口がある。

通路沿いに10人程度並んでいた。

並んでいる人たちを無視して進む酒木岳に着いて中に入ると、そこはカウンターがある部屋だった。カウンターを挟むようにまた別の入り口が一つずつある。

カウンターには女性が1人とゴーレムが立っていた。

「のあちゃんお疲れ〜。今日はどんな感じ?

「お疲れ様です。ゴールデンウィークだからかずっと人が途絶えないですね」

「あー、だよね。優先部屋しばらく使っても大丈夫そ?」

「今日は回収されてない優先券はあと1枚なのでしばらくなら大丈夫だと思います」

「あ、俺達優先券持ってるよ!」

「酒木さんが追加で渡したわけじゃないですよね?」

「うん。宝箱で取ったんだってさ」

「では、これで最終組になるので時間を気にせず使って大丈夫です。触れ合いコーナーの利用説明は行いますか?」

「俺のお客さんだから大丈夫!会計も無くておっけー」

「わかりました」

「優先券持ってる人は左で、持ってない人は右に行くようになってるんだ。てことで俺らは左。のあちゃんは引き続きよろしく!」

「頑張ります」

引き続き酒木岳に着いて行き、左に進む。横目でチラッとカウンターの内側を見たが、そろばんとお金を管理してそうな小さな金庫が置いてあった。ここで受付と会計をやっているのだろう。ゴーレムは護衛あたりかな。

左の部屋は魔法陣が一つだけ設置されていた。

「この優先券を持ってる人が進めるように設定してあるんだ。バラバラに乗ると置いてかれちゃうから、一斉に乗ってくれ」

「はーい!」

魔法陣か……自分のダンジョンのは良いけど、人のダンジョンのはなんか警戒しちゃうな。ここまで来てこの魔法陣が罠の可能性はほとんどないってわかってるけどさ。

5人が同時に乗ると、魔法陣が徐々に光り出して、5秒くらいで視界が切り替わった。

広い部屋にラビット系のモンスターにウルフ系のモンスター、鳥系のモンスターなどなど、可愛い感じのモンスターがたくさんいた。自由に動いたり、寝てたりしている。

壁際にはくつろげるようにかソファや座椅子、クッションが置かれてあった。

なんだか雰囲気が猫カフェみたいだな。

「すごい!みんな可愛い!!」

「あ、ホーンラビット」

「見た事ないモンスターもいるな」

「ポイント貯めてコツコツ種類増やしたからな。評判はめっちゃいいよ。あ、抱っことか撫でたりは平気だけど、うっかり攻撃すると帰りの魔法陣使えるようになるまで12時間かかるから気をつけてね」

「そうなんだ。気をつけるね」

12時間も帰れなくさせれば、その分ポイントが貯まって別のモンスターを召喚できるし、悪質な感じだったらその間にここまで赴く事が出来るという訳か。

よく考えられている。

ただ、今は俺らの貸し切り状態で時間は気にせず居ていいって言われたけど、普段はそういうわけにはいかないよな?

「時間の管理は普段どうしてるんだ?」

「優先部屋は特に何もしてないな。お客さんが何人も居ても大丈夫な広さにしてるし、万が一人数が多過ぎたら入り口で待っててもらってる。でも一般の方は入り口で砂時計渡してお客さん本人に時間を管理してもらってるかな。砂時計無視して居続けたら、受付の子が声かけて追い出すんだ」

「へぇ」

まぁこの部屋広いし、3パーティ分の人数くらいなら気にならないか。今度一般と呼ばれる方の部屋も見てみたい。

「ま、今日は時間気にしなくていいんだからさ、とにかく楽しんで欲しい。とりあえずえーし君のためにダークウルフここに出すわ」

「ありがとう!」

見た感じどのモンスターも本当に攻撃してくる気配ないし、俺のダンジョンでいないタイプのモンスターもちらほらいる。

せっかくならいろんなモンスターを触ってみるか。