軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

118話 探索する

俺のダンジョンより狭い最初の部屋を通り抜け、階段を降りる。

「あー、びっくりした!」

「どこで誰が聞いているかもわかんねーんだからここでも余計なこと言うなよ」

「わかった!」

返事は毎回良いんだよな。

「このまま探索始めて良かったのか?」

「別に今の所、害がある訳じゃないからな。あそこで帰る方が変だろ。予定通り5階層まで潜って帰りに触れ合いコーナー寄って帰る」

まぁ玄関の防犯カメラに映っていたであろう俺の顔を切り取って、週刊誌かどっかに持ち込まれたら相当ヤバいが、ファンならそんなことしないと信じたい。

もし晒されても俺が町田のダンジョンマスターであるという証拠はないし、なんとかなるだろ。

「りょうかーい」

「蒼斗が良いなら良い」

と言うことで普通に探索を始めることにした。

瑛士と光介が前衛、俺と遊太が後衛だ。俺と瑛士はモンスターに攻撃してもレベルアップしないので、基本的に攻撃は光介と遊太に任せる予定である。

まぁ瑛士は戦いたがるだろうからあくまでも予定だ。

3階層までは前来た時に使ったマッピングマップがあるので、それを見て進む。東池袋ダンジョンは道が変わったという口コミがないからたぶん問題なく使えるだろう。

1階層を進んで5分経ったくらいのところでゴーレムに遭遇した。

ゴーレムの倒し方はシンプルである。身体の中心部にある色のついた石、コアを壊せばいい。

言うだけなら簡単だが、ゴーレムは他のモンスターより硬く、攻撃も重い。ステータスの育っていない初心者探索者には厳しい相手だ。

ダンジョンマスターの俺や瑛士には関係ないし、遊太は大学の仲間と、高校卒業後就職した光介は仕事仲間とちょいちょいダンジョンに潜っているようで、ゴーレムと戦えるだけのレベルはある。

まず遊太がクロスボウでゴーレムの足の関節を狙い足止め、光介が盾でゴーレムの攻撃を防ぎつつ反撃。よろめいた所を瑛士がコアを狙って追撃して撃破した。

俺が手を出すタイミング無かったな。

ていうか……

「俺らはサポートに回るって言っただろ。トドメを刺してどうするんだ」

「2人の攻撃見届けたし良いかなって!」

全然良くないな。もしやサポートの意味をわかってない?

……いや、最初からうまくできるとは思ってなかったし、1人で突っ走らなかっただけ上出来だったと思うことにしよう。

途中何体かゴーレムに遭遇しつつも、順調に進んでいった。

俺は初級の風魔法で足止めするくらいで、積極的に攻撃には参加しなかった。俺以外の3人で、なんなら遊太と光介の2人でも普通にゴーレムを倒せてたからな。

遊太の持っている貫通というスキルが強い。普通ならクロスボウの矢が当たっても傷一つつかないコアが2発で破壊できる。

デメリットはリキャストタイムが長い事だが、2発目を撃つまでは光介がゴーレムの攻撃を防いでいられるし、このダンジョンでは戦っている最中に2体目のモンスターが来るほど出現率は高くないので問題ない。

ちなみにショップで俺が貫通スキルを購入して使おうとすると20万ポイントもする。普通に高い。

道の知らない4階層まで来たら流石に進みは遅くなった。

本来なら東池袋ダンジョンは7階層までは地図が売られているからそれを買えばいいけど、瑛士が探索者らしいことをやりたいって言い出したので今回は買わなかった。

やりたいと言い出した瑛士にマッピング作業を任せている。

「ねぇ、十字路を真っ直ぐで、右に行く道を無視して真っ直ぐで、今左に来た所だよね?」

「右に行く道が1回足りなさそうだな」

道を通り過ぎた所で記入して、すぐ道が見えたからそれを書いたと勘違いしたんだろうな。

「左に直角じゃなくて片道の方向に折り返してるからそれちゃんと書いた方がいいと思うよ」

「じゃあ書き足しとく!あれ、これどれくらい進んでる?このままだと十字路にぶつかっちゃうよ」

「ぶつかってたぶん行き止まりだな。脇に道なさそう。このゴーレム倒して来た道戻ろーぜ」

「じゃあこの線バツつけとくね!あ、倒すのが先かな?」

「バツつける方が優先な」

……帰り道が若干不安だけど、別にこの浅い階層なら多少迷っても問題ないし、最悪遭遇した人に聞けばいい。

せっかく他人のダンジョンに来たんだから、やりたいことはやらせてやろう方針だ。

俺も触れ合いコーナー行きたいと意見を出してるし、残りの2人はレベル上げと5階層にランダムで置かれている宝箱目当てで今回は来ている。

やっぱり俺はフォローに徹してゴーレムにトドメを刺してもらい、来た道を戻った。

体感で1時間ほど4階層を探索して、ようやく下に続く階段を見つけた。

5階層は道の行き止まりに必ずゴーレムか宝箱のどちらか1つがある仕様だとされている。

行き止まり以外にも普通にゴーレムは歩いているから気をつけないといけない。

「宝箱あった!けど開いてるね」

「入り口に近いからな。他のパーティがもう取ったんだろう」

序盤だけかと思ったが、進んでみてもどこもこんな感じで、行き止まりなのにゴーレムが居なかったり、宝箱が開いてたりした。道中他のパーティとすれ違うことも多かった。

宝箱があるから5階層は人気なんだよな。

結局、開いてない宝箱を見つけられたのはもう諦めて帰るかってなった時で、中身も触れ合いコーナー優先券と売れるようなものではなかった。

てかこの触れ合いコーナー優先券って確実にショップにないアイテムだけど、作ったやつを自分で入れているのだろうか。それともオリジナルアイテムを作って入れられるように交渉でもしたんだろうか。後でできるのかAIに確認してみよ。

帰り道の案内は瑛士に任せた。

たぶんこっち!という元気な声に従って帰る。

「4階層の階段!あったよ!」

「無かったら困る」

「無事辿り着いてよかったな」

「マッピングちゃんとできてて安心したわ」

だいぶ不安だったが、道を間違えたのは数回程度で済んだ。まぁ、みんなでフォローして地図をたびたび修正してたからな。

この調子だと4階層の帰り道も大丈夫そうだ。

階段を登っていると、前から人が降りてくるのが見えた。

そいつは俺らの前で止まる。

「お、ようやく遭遇できたわ」

このダンジョンマスター、酒木だ。

前に来た時もわざわざ様子を見に来たから今回も来る可能性は考えていたけど、本当に来るとは。

「こんにちは!」

「動画通りの元気さだねぇ。こんにちは。俺ここのダンマスの酒木岳。よろしく」

「俺は品谷瑛士!よろしくね!」

こいつがここに来た目的なんなんだろうな。

瑛士が勝手に仲良くなる分にはいいけど……