軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

90話 新機能を試す

元日。俺は実家から出る事なくのんびりと過ごした。

母からは探索者をいつまで続けるのかみたいな質問をされたが、とりあえず大学生のうちはと答えておいた。

働きながらダンジョンを運営するのか、それとも探索者をしながらにするのかはまだ決めていない。マスタールームなんてものがダンジョンにできたから、もしかしたらダンジョンで暮らすようになるかもしれない。

とにかく今の状況じゃ、将来的な事はあまり決められないから無難に返事するしかなかった。

母は俺に探索者を辞めて欲しそうな雰囲気だったが、特に直接その言葉を言うわけではなく、怪我はしないでねとだけ言って話が終わった。

世間の元日の動きはというと、一昨年はダンジョンの出現、去年はモンスターが溢れ出る事件があり、さらに最近はドラゴン騒動があったため外出控えが起こったらしい。ニュースで言っていた。

まぁ、元日には色々騒動があったのでみんなが警戒するのも無理はない。

個人的にはダンジョン側のシステムが変わったのだから人類側も何か変更があるかと思っていたが、SNSの反応をみる限り特にそういうのはなかったみたいだ。

1月3日は両親と初詣に行きつつ、普通に実家で過ごして、1月4日にはやらなきゃいけない課題があるからと理由をつけて町田の自分の家に帰る。

帰る間際に瑛士から追加で貰ったと言って、身代わりの石を渡しておいた。

今までも瑛士と言ってそれぞれ3つずつ渡していたけど、増える分には問題ないからな。ドラゴンがもう街中に出ることはないとはいえ、まだまだ何が起こるかわからないし。

ということで、数日ぶりに家に帰ってきた。これでようやく新機能をじっくりと見ることができる。

ダンジョンマスター用のスキル欄は実家にいる時に確認済みだ。内容は今までのと大して変わらなかった。

まずはポイント率の確認だな。

今までは1秒1ポイント換算だったけど……

「ポイント交付率が変更になったと言ってたけどどう変わったか詳しく教えてくれる?」

『回答。人類が侵攻した時間によって、ポイントの交付率が変更されました。具体的には1秒につき1ポイントの交付率が24時間以降は2秒に1ポイント、48時間以降は3秒に1ポイントと24時間毎に1ポイント交付されるまでの秒数が1秒伸びます』

「なるほど……」

普通の探索者は24時間もダンジョン内にいないから、大した変更じゃないと思いそうになるが、蓮見のように人類を誘拐してダンジョンに閉じ込めているところだとなかなか大きな差ではないだろうか。

1人を捕まえて閉じ込めていたら1日で86,400ポイントずつ貰えるはずが43,200、28,800、21,600とどんどん下がっていくわけだから。

要するに下方修正なので、ダンジョンマスターの誰かがこんな仕様をお願いするとは思わない。これは向こう側の都合だろうな。人類をダンジョンに留めておくのはあまり推奨していないっぽいが……これだけじゃやっぱり目的まではわからない。

まぁ今回の変更に俺のダンジョンは影響を受けないから今はさっさと次を試そう。

「マスタールームの様子を見せて」

『回答。承知しました』

視界に何も置かれていない、ただただ真っ白な部屋の様子が映った。

「これ広さ何畳くらい?」

『回答。おおよそ6畳に該当します』

俺の今の部屋と同じくらいか。

椅子マークを押して、マスタールーム用のアイテムとやらを見てみる。

机は1番低いので1000ポイント、椅子も1000ポイント。水洗トイレは1万ポイント、シャワーも1万ポイント、浴槽となると10万ポイントだった。食料とかも選べるし、高いが冷蔵庫みたいなのもある。部屋を増設するなら床面積×100ポイントで可能だった。

体感としては、ダンジョンに設置するアイテムの10倍の価格帯だろうか。あーでも、シャワーとかトイレとかはこっちの方が安いな。どういう基準でダンジョンのとは違うポイント設定になっているのだろうか。

今のうちに最低限のアイテムを置いておくか……?

いや、現場を見てからでいいや。変に家具置いて失敗したくないし。

さて。いよいよ大本命の帰還ボタンの試用だ。

今回の仕様変更では外でのスキルの制限は行われなかった。

モンスターの配置制限のやり方から察するに、ダンジョン=ダンジョンマスターという構図は崩せなかったんだと思う。

つまり今後もスキルの制限をされる可能性は低いということだ。

モンスターを外に配置できなくなったことで、今度はダンジョンマスターによるスキルを使った凶行が行われる可能性があるけど、そこらへんはもう俺にはどうにもできない。

人類が自分たちで頑張って対応してくれ。

話が逸れたけど、要するに現状スキルが使えるのだから、どんどん活用していこう。

とりあえずダンジョンのどこに現れてもいいように隠遁者スキルを使ってから、帰還ボタンを押した。

一瞬視界が白くなる。

それが収まった時には、俺はコアのある部屋に来ていた。

「帰還ボタン押した時に転送される先の位置って変えられる?」

『回答。可能です』

あぁ、できるんだ。

でも今はこのままでいいや。

それよりこれもとの場所に戻るボタン増やしてくれないかな。ここから外に出るのちょっと面倒。

前にコア近くの階層に魔法陣を放置したままだったから今回もそれで……いやその後ダンジョン階層を追加したからあの魔法陣行くのにめちゃくちゃ長い1本道を通らなきゃ行けないんだった。

あそこ通り抜けるのは流石に無理だから後で新しく魔法陣を設置しよう。

今はおそらくマスタールームに続いているであろうドアの向こうを見てみたい。

前回コア部屋になかった真っ白なドアを開けてみると、そこはやっぱり真っ白な部屋だった。

全部が白すぎて目が痛い。

家具は後で設置するとして、壁紙と床はさっさと変えたいなこれ。

「コアのある部屋の床や壁の素材は変えられる?」

『回答。不可能です』

ふと気になったことを聞いてみたが、やっぱりここは触れないらしい。

白よりは黒とかにしてみたかったけどまぁ無理なら無理でいいや。

マスタールームの方はどうしようかな。

今は壁が薄く発光して全体的に明るいけど、もしかして素材変えたら灯りも追加しなきゃいけないんだろうか。

だったら床だけ変える……とかじゃダサい気がする。今の部屋みたいに普通の壁紙と床にしたらマスタールーム感が無くなるしなぁ……

とりあえずアイテム購入画面でプレビューできるっぽいから、色々試してみるか。