軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第9話 田中、炎龍をボコす

"シャチケンキター!"

"シャチケン最強! シャチケン最強!"

"勝ったな"

俺は三上を下ろし、目の前にいる巨大な龍を見る。

これが炎龍カグツチか。移動しながら少し調べたけど、炎系モンスターでは最上位に位置するモンスターらしい。

確かにラヴァドラゴンなんかとは比べ物にならないほど強そうだ。俺が倒したラヴァドラゴンはこいつの部下だったんだろうな。ボスの留守を任されていたってとこか。

「田中ちゃん! 大丈夫なの!?」

「はい、俺なら大丈夫です。それより……他の人が怪我しないよう、サポートお願いします」

剣を抜き、集中する。

相手はEXモンスター、油断せずやるとしよう。

「いくぞ」

地面を蹴り、一気に接近する。

カグツチは小さな炎の剣をいくつも生み出し、発射してくるが俺は剣を高速で振ってそれら全てを叩き落とす。

"はっっっっや"

"やっぱシャチケンは格がちげえや"

"やっちゃえシャチケン!"

"安心感がすごい"

"実家のような安心感"

『ルル……!』

炎の剣を全て斬ったからか、カグツチは緊張感を高める。

炎の衣を体の周りにまとい、周囲の気温を一段と上げる。どうやら本気を出したみたいだ。

「我流剣術、 瞬(またたき) 」

鞘に納めていた剣を抜き放ち、高速の居合を放つ。

カグツチは咄嗟に顔を動かし、喉を狙ったその一撃を角で受ける。

金属同士がぶつかるようなキィン! という音と共にぶつかる角と剣。

どうやら自慢の角みたいだが……この程度で受け切れるほど、甘くはないぞ。

「ふんっ!」

刃を角に差し込み、無理やりへし折る。

バキィッ! という音と共に砕け散る角を見て、カグツチは『ガア!?』と驚きの声をあげる。

"うおっ"

"折った!"

"わァ……ァ……"

"折れちゃった!!!"

"カグツチくん目を丸くして驚いてて草"

"まあ受け止めただけでも凄いよ"

角を折った俺はカグツチに接近すると、その顎を蹴り飛ばす。

『ウウッ!?』

蹴り飛ばされたことで上方に吹き飛ぶカグツチ。

すると俺の目の前にカグツチの尻尾がやって来たので、それを両手でガシッとつかむ。

「ふん……っ!」

尻尾をつかんだ俺は、その場で横にぐるぐると回転する。すると必然尻尾をつかまれているカグツチも一緒にぐるぐると回る。

"めちゃくちゃで草"

"被害やばすぎる"

"ジャイアントスイングやんけ!"

"龍にプロレスをかける社畜がいるらしい"

"そんなわけ……ほんまや"

「よ……っと!」

十分に速度を上げたのを確認し、手を離す。

するとカグツチは物凄い勢いで吹き飛んでいき、ダンジョンの壁に激突しダメージを受ける。ふう、こんだけ長いのを投げたのは初めてだが、意外と上手くできたもんだ。

『ルル……ッ!』

今の一撃は結構痛かったはずだが、カグツチはすぐに起き上がり再び浮遊する。

さすがEXモンスターだ。かなりタフだな。一人の時だったらもっとじっくり戦ってもよかったが、今は怪我人もいる。とっとと終わらせるとしよう。

そう思って近づこうとすると、

「待って下さい、田中さん」

「ん?」

俺を呼び止める声がして振り返ると、そこには星乃の姿があった。

まだ消耗している感じだが、動ける元気はあるみたいだ。

「あいつは……私がやります。譲って下さい」

「……理由を聞いてもいいか?」

今はそれほど余裕があるわけじゃない。

もしさっきやられたことの仕返しがしたいとかいう理由なら、譲るつもりはない。いったいどうしたんだろうか?

「今ここで田中さんに倒してもらっちゃったら、私は一生守られるままになっちゃう気がするんです。私は田中さんみたいになりたいから、それじゃ嫌なんです」

まっすぐな目で星乃は言う。

そんなことを考えていたのか。

「それに証明したいんです。田中さんじゃなくたって、EXモンスターを倒せるんだって。このままじゃEXモンスターが出た時、みんな田中さんを頼っちゃいます。他の人でも倒せるってことをここで証明したいんです!」

「星乃……分かった。そこまで言うなら譲る。ただ危なくなったら手を出すからな」

「はい! ありがとうございます!」

星乃はそう言うと、カグツチの方に歩みを進める。

するとカグツチは口内に火球を作り出し、それを星乃めがけて放つ。

「しま……っ!」

避けようとする星乃だが、足がふらつき回避が遅れる。

俺は助太刀に入ろうとするが、意外な人物が助けに来る。

「 反発(レジスト) ・ 炎(ラハト) っ!」

星乃の前に魔法の障壁が現れ、火球を受け止める。

その障壁はすぐにヒビが入り壊れてしまうが、なんとか火球の進路を逸らすことに成功し、星乃を守ってみせた。

「炎相手なら僕でも多少は戦えます……あなた一人に活躍はさせませんよ」

そう言って星乃の横に並び立ったのは、あの三上だった。

背負いながら吐きまくってたので顔色は悪いが、やる気満々って感じだ。

"三上くん!?"

"少し前はあんなにくさってたのに、どうしたんだ"

"シャチケンに闘魂注入されたからな"

"覚醒したな"

"三上くんのくせにかっこいいやんけ"

"かっこよ、コミュ入るわ"

「三上さん……」

「僕のギルドがこのようなことを起こしたことは、後で謝罪します。なので今だけは……一緒に戦わせてもらえませんか」

真剣な表情で頼み込む三上を見て、星乃は笑顔で「はい、一緒にあいつを倒しましょう!」と答える。まさか二人が共闘することになるなんてな。