軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

61.錬金で魔封じのネックレスを作ろう①

智たちが奈良から帰ってきた。全員一緒ではなく、それぞれ家へ帰るなどして寺に戻ったのは智ら3人+京子ちゃん。宝石はそれぞれの戦果なのでギルドで買い取るんだけど、それは各自が不要と判断したものだけ。

「錬金術で何ができるかを聞いてからでもいいからね」

と伝えてある。

わかっているのはペリドットが【魔封じのネックレス】の材料であることだけ。他の宝石からは違ったものが錬金できるだろうし。それを聞いてからでもいいよね。

先に4人の希望を聞くことに。

まずは智だけど、数がすさまじいので北国分さんに鑑定してもらってる。

「ダンジョン産の宝石ですうぅぅぐふふふ」ってよだれを垂らしてるけど、宝石自体に興味はないみたい。種類ごとカラットごとにビーズケースに分けてくれてる。色気もないやり方だけど数も種類も多いからしゃーない。

「あたしは別に欲しいものはないかな」

智は、俺が上げたサハギン大真珠のネックレスをいじりつつそんな可愛いことを言う。よし、愛でまくるぞ。

「アーシはね、赤いこの石は取っておくんダ!」

葉子ちゃんが赤い宝石を指で挟んで見せてくれた。

「ガーネットですね。1月の誕生石です」

「指輪にするんだゼ!」

「そうですか。よかったですね」

「イェーイ」

京香さんになでなでされて猫みたいにご満悦の葉子ちゃん。

もしそれが婚約指輪だった場合、それを贈るのは葉介さんじゃないのかな、なんて野暮は言わない。

たぶん葉子ちゃんは一人前になった証としてそれを指輪にしたいんじゃないかと予想してる。これをもって『大人になったぞ!』と葉介さんに迫るつもりではなかろうかと。

「オレはこれだぜ!」

京子ちゃんが手に取ったのはダイヤモンド。カットはされてないから煌めきはないけど中に気泡や異物はなさそうで、とてもきれいだ。

「かーちゃんにあげるんだぜ!」

「私はそんな高価なものはいらないよ」

「小さいから高くねーぜ! たぶん!」

「十分大きいよ」

京子ちゃんが持ってるのは爪の先くらいはあるので1カラット以上はありそう。さっと調べたけど、品質次第では300万円オーバーらしい。

そりゃあそこのダンジョンには女性が多いわけだ。

「わたしも特に使い道はないかな」

美奈子ちゃんはテーブルの上に宝石を広げて首をかしげてる。ざっと見た感じでも100個はある。色もいろいろ。黒い宝石もある。

「錬金で何ができるかは興味ありますけど。剣筋が良くなるとか動きが早くなるとか、あるといいですね」

「そこはあの3人に聞いてみるしかないわねー。現物がないと頭に浮かんでこないっていうしー」

あの3人とは【水平太閤】の魔法使い、もとい錬金術師たちのこと。

錬金術師は膨大なレシピを抱えてて、素材またはアイテムを見ないと頭にレシピが浮かばないんだとか。

情報がありすぎるのも考えものだね。

「これだけの宝石があれば一通りはカバーできてると思われますので、一度彼らを呼んで何ができてそのためには何が必要なのかを聞いておくのが得策かもしれません。何度も呼ぶのも失礼ですし」

京香さんが赤い宝石を手に乗せながら提案する。

「これなどはルビーですがイメージは火でしょう。ですが実際は違うかもしれません。手持ちの宝石でリストを作成して、それをみなに提示すればお互いに手間が省けるかと」

「そーねー。ギルドで買い取った宝石もわたしたちは加工できるわけだしー」

というわけで【水平太閤】に連絡を取ったらば、これからすぐに行くと返事があった。無理しないでと伝えたけど「ただで錬金できるなら行く」と言われたら断れない。

錬金のお代は払うけどね?

それから1時間ちょいしたら「ブロロロ」とマッシブな排気音が聞こえてきた。群馬から来てるはずなのに速すぎる。

「やや遅れてしまった」

「やはり覆面はぶっちぎるべきだったでござる」

「時は金なり」

北国分のお兄さんと秋山さんと矢切さんの3人はしたり顔だ。安全運転しましょうよ。

語尾が普通が北国分さんのお兄さんで、ござるが秋山さんで、なりが矢切さんだ。

相変わらず長髪でもっさりしている3人は、ちょっと臭う。まーた風呂キャンセルしてるな?

梅雨時で湿ってるから余計に臭いが目立つ。

ともかく食堂に案内する。

「んんん? なんだい、この臭いは?」

食堂に入ってすぐに涼子さんが眉をひそめた。臭いのもとはこいつらです。

「ここにはね、赤ん坊が3人もいるんだ。ばっちい大人は綺麗にしてもらわないと」

エプロン姿の涼子さんが3人の前に立ちはだかった。髪をお団子にしてるのでちょっと若く見える。千葉に来て栄養状態もよくなって、年齢よりも若く見えるようになってるんだよね。あと、乳がんは跡形もなく消えた。

「ばっちいと言われてもでござる」

「風呂には入ってるなり」

「たしか、先週か?」

そんなのギルティでござるよ。

「まずはその汚い体を清めて、鬱陶しい髪を整えてからだね!」

「な、何を!」

「ま、待ってほしいでござる!」

「我ら魔法使いは女体に耐性がないなり!」

涼子さんが腕を広げて3人を風呂場に追い詰めていく。そして新人お母さんたる瀬奈さんが参戦した。

「この梅雨時に風呂キャンセルなんて認めないわよー」

瀬奈さんも体を使って3人をぐいぐい押していく。おっぱいが当たっても気にしない。母は強しだ。

なお、京香さんは授乳中なので参戦してない。いたら言葉攻めしてたろうなぁ。

「「「おたすけぇぇぇ」」」

女体耐性がない3人は情けなく悲鳴を上げるだけだが涼子さんと瀬奈さんは容赦ない。あっさり3人を脱衣所に追い込んだ。

「こっちはちんちんなんて何本も見てきてんだ! とっとと脱ぎな!」

「脱ぐ、脱ぐでござるからそこはぁぁぁ」

「観念しなさーい」

「エ、エッチはダメなりぃぃ!」

「ほら、あんたも脱ぐ!」

「に、にぎらないでぇぇぇ!」

男の野太い断末魔が聞こえてくる。海千山千のふたりなので怖いものなしだ。

「そ、そこは自分で洗いますぅぅ!」

「あ”あ”あ”あ”」

「ふぁぁぁぁ!」

怒れる鬼子母神が暴れてらっしゃる。

合掌。

20分後。ゾンビのごとくふらついた足取りで3人が戻ってきた。浴衣を着せられてる。

つやつやだけど顔から生気が抜け落ちてら。何をされたのやら。

「服もばっちいから洗濯ねー」

風呂の方から瀬奈さんの声が聞こえた。すでに彼らのライフはゼロよ!

「今からその髪を切ってやるからね」

涼子さんが擦り切れてきたタオルをたくさん抱えてやってきた。

俺の意思とは無関係に体が動いてタンスから床屋セットを取り出して涼子さんに渡した。俺が子供のころに母さんに切ってもらってた時ので、体にまく風呂敷みたいなシートとはさみとバリカンだ。

「ありがとね」

涼子さんがにこっとした。一瞬、母さんとダブった。俺もあとで切ってもらおうかな。