軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6 武者幽鬼④

「わっ、智のスキルって、こうなるんだ!」

「スゲーキレー!」

「アンデッド専用のスキルでさー。骨相手なら無双できちゃうのさ! ピースピース!」

佐倉はダブルピースで素直に喜んでいる。ズットモに見せたかったんだろう。可愛い。

佐倉ちゃんを見てると、妹がいたらこうだったのかなと思うことがある。

叶わない夢だけどさ。

「なるー、だから船橋の魔物だと効果がなかったんだね」

「適材適所ダイジ」

「ほらー次行くわよー!」

勝浦さんの声がしたので振りむけば、ちょうど骨を蹴り上げた瞬間だった。鞭のようにしなった右足がゴブリン骨の頭蓋にクリーンヒットして、あわやスカートの中が丸見えになるところだった。

「四街道!」

「ハ、ハイッ! い、行きます!」

小湊先生の命令に、短い金属の棒を右手に持った四街道ちゃんが蹴り上げられた骨の着地点に走る。途中で短い金属の棒が伸びた。

「あれは警棒だったのか」

「四街道は【 強打(スマッシュ) 】スキル。剣は怖いから警棒だとか」

「なるほど」

まぁ、魔物を倒せれば武器は何でもよいのだ。

四街道ちゃんは着地点に入るや警棒を上段に構えた。

「【強打】!」

警棒が当たるタイミングに合わせスキルを発動。落ちてくる骨の頭蓋を砕き、勢いのまま体も粉砕した。

残心しつつ、周囲に目を配る余裕もある。おー、すごいな。

「【強打】は前衛が持っていると嬉しいスキル。武器を選ばない。一方で防御に優れた魔物相手は苦手」

小湊先生は淡々と説明する。そこに感情は挟まっていない。

「そのへんも適材適所じゃないのかなぁ。誰かとパーティ組めば欠点も補えるし」

「そう、それがハンター」

「それよりも、勝浦さんのスカートが大変なことになってましたけど」

「守くん、大丈夫よー!下にスパッツ履いてるからー!」

そう叫ぶ勝浦さんがペロッとスカートをめくりあげた。

超薄い白いスパッツ越しに青いパンツが丸見えなんですが。スパッツと呼んでいいのかそれ。

「あ、ああああ勝浦先輩のぉぉぉぉ!!」

勝浦さん限界ファンの四街道ちゃんが鼻血を出して悶えてる。

「瀬奈先輩は在学当時からアレで、男子には超モテたけど女子からは結構避けられてた」

「あー、やりすぎってやつかな」

「先輩のスキルは【百烈脚】で、どうしても足を開くことになる。でも先輩はスカートを履きたい。最大の妥協点がアレ。いつもはもっと分厚い黒いスパッツ。白くて薄すぎるのは守君へのアピール」

あれ、お淑やか系お姉さんのイメージがどっかに飛んでったぞ? 武闘派だった?

「守くん、青はイヤだったー?」

「嫌じゃないです眼福でしたありがとうございます!」

腰を90度曲げてのお辞儀だ。素直に感謝だ。ドン引きされてる気もするけど、オーライ。

「では私もスカートにすれば……?」

横で先生が思案顔だが聞かなかったことにしよう。エスカレートした挙句に全裸とかやりかねない。全裸ダメ、絶対。

俺が煩悩に負ける。

「気を取り直して次―! 柏ー!」

「ハイ、シャコラー!」

青いパンチラと同時に蹴り上げられた骨が空中を舞う。柏ちゃんが片膝立ちになりクロスボウの照準をつけた。スナイパーみたいでカッコいい。

「彼女のスキルは【 投擲(とうてき) 】。 大(・) 概(・) の(・) も(・) の(・) が投げられる」

「投擲ね。だからクロスボウなのか」

確かに矢を投擲する形ではあるけど。投擲と言っていいのか?

「ギルドの資料には魔法も投擲できた記録があった」

「スゲー」

拡大解釈で何でもありっぽいな。

クロスボウから発射された短めの矢が骨の頭蓋骨を貫通した。でもそれだけじゃ骨は倒せないようで地面に落ちて手足をジタバタさせている。

「トドメ!」

素早く装てんされた次の矢が発射され、暴れていた骨の残った頭蓋骨にあたり、骨は消滅した。

「ヤッタゼ!」

柏ちゃんがぴょこんとジャンプした。ウサギみたいで可愛い。

「矢は速度が速く当てやすい反面、威力が足りない面もある。どうしても手数が増える傾向」

「なるほど、人間なら一発で死んじゃいそうだけど魔物相手ではわからないってことか」

「他の射撃系のスキルも同じ悩みを抱えがち」

「難しいところだね」

威力が足りないか。収納しちゃう俺だとその苦しみを完全に理解することはできないかな。

「威力不足にはムリョク」

柏ちゃんも仕方ないよねって顔をしてる。超えられない壁ってやつなんだろうか。

「よーし、これで一通りスキルを使ったわけだけどー、改めて自分のスキルのいいところと改善点が見えてくるでしょー?」

勝浦さんが戻ってきた。顔を見ると青いパンツが脳裏によぎっちゃってダメだ。くそ、これが高度な情報戦か!

「この階にはもう骨がいないから2階に行ってパーティ戦をやってみましょー」

「「「ハイ!」」」

ということで、2階への階段を降りる。もち俺が先頭。

歩きなれた13段。降りてる途中で、空気がおかしいことに気がついた。身体にまとわりついてくる。

「勝浦さん、空気が絡みついてくる感じがします」

「そうねー。まとわりついて動きを阻害してきてるわねー」

「えぇ!?」

「異変ですか!?」

「マ!?」

「音が聞こえる、停止」

狼狽える3JK。小湊先生の指示で階段で止まると、かすかだけど軽い金属がこすり合うような音が聞こえてくる。この音は骨じゃないな。

「用心しておきましょう」

このまま引き返してもいいんだけど、結局は掃除しないと外に出てくるんだよ。ビニール傘を2本取り出し両手に持つ。傘を開いて階段を下りる。ビニール越しに墓場を一望すると、いつもならゴブリン骨とホブゴブ骨がいるはずだけど、今日は違った。日本の甲冑みたいな武具をつけて槍を持った集団がいた。

陣がさに胸の部分だけの胴鎧。手足を覆うものはない。装備的には足軽だろうか。

決定的に違うのは、骨じゃなく人形というかマネキンというか。形は人間だが顔がない。

そんなのが2階の墓地の奥に40体ほどひしめいていた。本能的に恐怖を覚える。

「なんだあれ……」

あの足軽たちは動いてはいるけど、見張りみたいな数体が1セットで動いてる。組織だってて、不気味だ。

「あれは、足軽亡者……」

小湊先生が声を震わせてる。ってことは、かなりやばいんだな。

「亡者ってことは、成仏できない魂か何かか?」

非常に嫌な考えが浮かぶ。スケルトンが魔物の死んだ後の姿だとしたら。あの、人間に見えなくもない足軽たちは何の 死(・) ん(・) だ(・) 後(・) の(・) 姿(・) だ?

「記録では、5年前に関ケ原ダンジョン20階で遭遇した魔物。ランクは25。どうしてこんな浅い階に……」

「ここが墓地ダンジョンだからでしょうかね。ともかく、あれを通したらゲームオーバーだ」

上に行くための階段はここしかない。つまり、この狭い階段を守りながら殲滅すれば、俺の勝ち。

でもランク25の魔物かよ!

やるしかねえ!