軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6 武者幽鬼③

台所で料理を温めていたら奇声が聞こえてきた。ナニゴト?

「ただいまー」と佐倉ちゃんの声が聞こえたので、3JKが来たのだと判断したけど、何が起きたんだよ。

「おにーさんおなかすいた! 今日は何?」

「はいはいお帰り佐倉ちゃん。今日は冷しゃぶだよ。ご飯はできてるから手を洗ってきな」

「やった、お肉だ! 葉子、美奈、いくよー!」

どたどたと歩く佐倉ちゃんとJKズ。

もう気分はオカンだぜ。おかしいな、俺ってまだ二十歳だぞ?

騒ぎながら洗面所で手を洗うJKらの声を聴きながら料理を運ぶ。俺たちはもう食べ終わってて、残ってるのは佐倉ちゃんら3JKだ。

手を洗った3人が席に着く。

「四街道美奈子といいます。お世話になります」

「柏葉子。ヨロシク!」

「坂場司と申します。ここで住職などやっております」

「坂場守です。ここのギルド長やらされてます」

自己紹介したら食べ始めだ。勝浦さんと小湊さんは省略する。

「話は食べながらで」

食べてもらわないと片付けられない。明日も朝は早いのだ。

「「「いただきます!」」」

「ウマ」

「美味しい!」

「タレは胡麻とポン酢な」

「お米がおいしい!」

「米は4軒先の田中さんからいただいたものだからうめーぞ」

「ウマー!」

3JKはパクパク食べていく。たーんとお食べ。

「明日は朝5時に本堂に集合。その後ダンジョンに入る。各自のスキルは、勝浦さんと小湊先生に相談しといて。俺はそーゆーの詳しくないから」

食べながら金髪と茶髪が嬉しそうに縦に揺れる。

「ダンジョンでどう動くかは明日かな。幼稚園は休みだから時間は取れるし、じっくりやろうか」

幼稚園も週休2日制なんだよ。助かるぜ。

「勝浦さんと小湊先生から何かあります?」

「ふふ、おねーさんにまっかせてー」

「は、はい!」

「露出は控えめに」

「おかのした!」

「寝るのは隣の家だからねー。お風呂もそっちー」

「時間節約でふたりずつ」

「四街道はわたしとねー」

「柏は私と」

「「ふぁぁぁぁ!!」」

ま、なんとかなるでしょ。

そんなこんなで翌朝。5時集合で遅刻なし。素晴らしい。

ジャージ姿のJKが3人。柏ちゃんがクロスボウを持ってる。武器だってのはわかるけど、四街道ちゃんは短めの金属の棒だ。なんだろうあれ。

「ネム」

「おふぁようございまーふ」

「さーて、さくさくいくよー!」

いつものローテーションの佐倉ちゃんは元気だけどふたりは眠そうだ。普段は5時起きなんてしないだろうしね。

「小湊パイセンが視界に入って寝られなかった」

「勝浦先輩の寝巻きがはだけてて鼻血が止まらなくてもう大変で」

「佐倉ちゃん、大丈夫なのこのふたり」

「推しに会った強火ファンの行動だから」

無問題らしい。ダンジョンの中でヘタレでなきゃいいけどさ。遅れて勝浦さんと小湊先生も来た。

小湊先生は動きやすそうな、速乾性が良さそうなピッチリしたジョギング的な服装。ズボンだけどスカートっぽい衣装が素敵です。朝からスレンダー美人さんごちそうさまです。

勝浦さんはミニではないけどスカートを履いてる。まぁダンジョンを知ってる勝浦さんがあの恰好なら問題はないのかな。健康的美人さんごちそうさまです。

「はいちゅーもーく! これからダンジョンに入るけど、ここは墓場ダンジョンで骨しかでないダンジョンです。でも、割と頻繁にスタンピードが起きます。今日起きててもおかしくないので、気の緩みがないように」

「「「はい!」」」

勝浦さんからの注意がはじまると、寝ぼけ眼だったふたりも覚醒した。元気よく返事をした。

「隊列は、守君を先頭に四街道と瀬奈先輩、私、柏、佐倉の順。守君よろしく」

「「「はい!」」」

「任されました」

小湊先生からは並び順。スキルの得手不得手がかるからそのあたりはお任せだ。なにか考えもあるんだろうし。

ビニールハウスの前で手をつなぎ合って円陣を組む。パーティ編成の儀式だ。

「まずは、守君と佐倉のチートぷりを見てから、四街道、柏のスキルを試す流れで」

「「「はい!」」」

「了解です」

「というわけで、ダンジョンにはいろー!」

「「「「「おー!」」」」」

ゲートにハンター証をかざし記録をつける。

「階段狭!」

「空気がぬるっとしてる」

柏ちゃんと四街道ちゃんはおっかなびっくり降りてくる。先に降りた俺は周囲の確認だ。

「マジ墓地」

「うわぁ、人魂とが出そう……」

柏ちゃんと四街道ちゃんは寄り添ってびくびくしている。

なんか、いつもより肌がピリピリする。ダンジョンの気配というか、空気が重い。油断できないな。

「ゴブリン骨はいつもどおりか」

通路に3体。ちょっと離れた墓石の影に数体いる。

「ガイコツ! でもちょいチビ?」

「あれがゴブリンスケルトン?」

「うん、このダンジョンで一番の雑魚魔物。でも、あれが地上に出ちゃったら普通の人だとびっくりしちゃってるうちにやられちゃうと思う」

「タシカニ」

「魔物を見て慣れてるわたしらでも初見はびびるもんね」

3JKは落ち着いてる。ハンター教育のたまものだろうね。小湊先生はビデオカメラをセットしている。手すきの勝浦さんに違和感の報告だ。

「勝浦さん、なんだかいつもより空気が重いです。何かあるかもしれません」

「……昨日、どこかでスタンピードが発生したって報告はなかったわねー」

やばそうだったらお願いね、とウインクされた。やる気が天元突破だぜ。

「じゃあ守くんは陣地の確保。わたしは標的を確保してくるから」

そう指示を飛ばした勝浦さんは通路脇の狭い小道に向かっていった。じゃあ俺は通路のアイツらを掃除だ。金剛杖を取りだして【師走】スキルで骨の元までひとっとび。横一線で収納。墓石に隠れて見えなかった骨を見つけてついでに追撃。すぐそばに骨は無し。

「安全地帯確保完了っと」

速足で階段まで戻ると、柏ちゃんと四街道ちゃんが俺を見て固まっていた。

「ナニアノ速度」

「ゴブリンスケルトンが消えたように見えたけど、おにーさんのスキル?」

「言ったでしょ、おにーさんのスキルはチートだって。チート野郎だよ!」

佐倉ちゃんのどや顔が納得いかない。チート野郎とは酷い。

「はーい、捕まえてきたわよー」

勝浦さんの声とともに、ゴシャっと骨が落ちてきた。

「まずは佐倉から」

「はい! 【祈り】!」

佐倉ちゃんが両手を合わせスキルを使うと、立ち上がろうとしていたゴブリン骨が柔らかな光に包まれ、消失した。魂みたいな白いゆらゆらが上がって、天井で消えた。