軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

41.ヒヨコたちははばたく準備をする④

「…… 単(・) 純(・) な(・) 強さでいえば俺が一番だったが、1体1なら 負(・) け(・) な(・) い(・) 大剣使い。絶対に 外(・) さ(・) ね(・) え(・) 射手。魔物の動きを読み切るのが得意なナイフ使い。器用貧乏だがなんでもソツなくこなす剣士。それぞれが自分の得意を生かした役割で戦ってた。派手さはねえが負けないパーティだったぞ」

ヒヨコたちは静かに聞いてるけど、彼らの表情は奇妙になってる。そもそも零士くんがショタ形態なので「かつて組んでいたパーティ」と言われても素直には受け取れないだろう。まぁ、零士くんという存在の不自然さから納得するしかないかも。

その後はそれぞれのパーティでだれがどの魔法を覚えるか、自己のスキルによる適した役割などを話し合っていた。有益な時間だった、と思う。

そしてその夜。Aチーム、ポニーは帰ったけど智ら3人は残ってる。今日は葉子ちゃんも泊まり=葉介さんも泊まりだ。

なぜかというと、寺で配信をするからだ。

目的は、これから行くダンジョンと【祈り】スキルを持っていて興味があったら寺に来てほしいことをお知らせするため。

どこに行くかを知らせるのは行った先でトラブりそうだから向こうのギルドに知らせるためでもある。

有名になったら絡まれるのまでセットになってしまった嫌な世の中だよ、まったく。

「こんばんはー。獄楽寺の佐倉でーす」

「四街道です」

「柏ダゼ!」

ちゃぶ台につく3人。場所は母屋だ。俺はカメラの裏にいる。

「ハンターコースの3年生は、年明けの今日から卒業課題が始まりまーす」

「いろいろなダンジョンへ行きます」

「ダゼー」

智、美奈子ちゃん、葉子ちゃんの順で話すけど葉子ちゃんは合いの手しか入れてない。

「今日の学校でもその話でー」

「どこから行こうかということになりまして」

「なったゾ」

「話し合った結果、あたしたちはハンターコースがある土地のダンジョンに行くことになりましたー」

パチパチパチパチ。

――卒業課題ってなにするの?

というコメントが来てる。突然の配信でも見てる人がいるようだ。

卒業課題と言われても、俺も詳しくは知らないな。ホワイトボードに書いて3人に見せる。智が反応した。

「えーっと、配信のコメントで卒業課題ってなにするの、だって」

「具体的な指示もなくて、それも自分で考えなさいって言われたね。いろいろなハンターやギルド職員とあって話をしたりとか」

「どんな魔物が出たトカー?」

葉子ちゃんが可愛く首を傾げた。「可愛い」というコメントが流れていく。「ぺろぺろしたい」とコメントした奴はBANされた。

「出る魔物はギルドにデータがあってそこで調べられるから、実際に出くわした時の行動とかかなぁ」

「イレギュラーでスタンピードとかにあいそうね」

智、それはフラグだぞ。

どこから行くつもりなのか聞こうかな。配信関係なく計画は全部聞くつもりだけど。

ホワイトボードに書いて智に見せる。

「どこから行くのか?だって」

「ハンターコースがあるのは札幌、仙台、船橋、日比谷、大阪、福岡ね」

「さすがミナだゼ。よく知ってルー」

美奈子ちゃんは成績優秀だしね。

「船橋と日比谷は外すとしてー。ミナと葉子は希望ある?」

「札幌からにしない? あそこって確か雪原ダンジョンですごく寒いはず」

「寒いんだったら夏のほうがイージャン」

「夏の暑い時期に行くと防寒着とかをもっていかなくちゃいけなくて荷物になるし」

「あ、ソッカー」

「冬ならそのままの恰好で行けるのかー」

「ヨシ、じゃー、最初は札幌ダー!」

あっさり決まった。

――マジ札幌!?

――地元だぜ

――なま柏ちゃんが見れる!?

――仙台もぜひ!

――福岡はおいしいものが多いよ!

――大阪はたこ焼きもありまっせー!

コメントは食べ物を餌にし始めた。タブレットで配信を見せようかな。変なコメントを見せたくなかったけど、流れ的に出にくそうだし。

「福岡のおいしいものって?」

「博多ラーメン?」

「明太子ダ!」

「イチゴも有名だったはず」

「イチゴ! でも金ナイゾー」

葉子ちゃんが肩を落としちゃった。今の生活費は葉介さんの給料だけだから質素な生活をしてるみたい。

「守に聞いたけど、今まで倒した魔物の魔石の売り上げは葉子名義の口座に貯金してあるって」

「じゃあそれを旅費に充てれば、全部回れそうね」

「マジ? ヤッター!」

葉子ちゃんが立ち上がってぴょんとジャンプした。うれしい時の癖だね。

――可愛い

――これが見たかった

意外といっては失礼だけど、葉子ちゃんは人気がある。感情がストレートで分かりやすいのがあるかも。

「じゃあ札幌に決定したから、いつ行くかと宿の手配をしないと」

「やっぱり飛行機?」

美奈子ちゃんが嫌そうな顔をする。高いところ苦手だもんね。

「飛行機以外だと電車と船があるけど」

「船! 船がイイゾ!」

「大洗から苫小牧まで行って、そこから電車かバスかな?」

「船でのんびりいきましょ」

ということになった。その後もホテルをどうするかとかで盛り上がり。

「へー、ギルド上階にハンター向けの宿があるって」

「男女別なフロアになってて安心みたい」

「安いけど設備がボロイ」

配信のコメントで現地民がいろいろ教えてくれてる。

まだ高校生なのでお高い宿に泊まると批判されそうだからそこそこの宿にしたほうがよさげ。

「ところでさー、何日くらい札幌ダンジョンにいる?」

「学生で1階しか行けないし、それほど時間はかからないかも」

「観光もしたイゾ!」

どうしよっかー、と相談した結果、札幌には3泊4日となった。

「1月11日出発16日帰還でけってーい!」

出発は明後日だ。船の中で1泊するので札幌滞在は12日~15日となっている。船での1泊が無駄のように思えるけどこれもいい思い出でしょ。

「あ、これを忘れちゃいけないだ。【祈り】スキルをもつハンターの皆さん! ぜひうちに来てください!」

智がカメラにぐいっと迫る。

「【祈り】はアンデッド用のスキルだから普通の魔物には効果がないの! 墓地ダンジョンなら【祈り】スキルが有効だし、レベルも上がるよ! 使えないスキルだって落ち込んでるあなた! うちに来て自分のスキルが実はすっごく使えるんだってわかってほしい!」

【祈り】スキルは特殊すぎるからね。うちに来れば、骨相手に試せるし、レベルも上がってどのタイプの聖女なのかもはっきりする。

智や三島さんみたいに困ってるハンターがいるはずなんだ。うちが怪しいって思われるだろうけど、こうして広報しないとさ。

いずれ、聖女の集いとかできるといいね。