軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

4.ギルド開設①

「というわけで来ましたホームセンター」

小型ビニールハウスを買いに来た。園芸コーナーに行けば数種類が売ってる。一坪用、二坪用。

田舎では必須の免許証は当然持ってるし。車は寺の軽トラだ。

軽トラは便利すぎて、一家に一台常備すべきものだ。

「墓地の空きスペース的には一坪用だけどゲートを考えたら二坪用になるなぁ。改造してどうにかしよう」

都心のような何でもあるところなら器用な業者もいるんだろうけど田舎じゃ自分でやるだよ。工具は大体そろってるし、足りなかったら檀家の大工さんに借りに行こう。

ビニールハウスを購入。ついでに目隠し代わりに鉢植えを置くつもりなので棚も買った。よし、帰宅だ。

墓地のダンジョン入り口に向かう。ビニールハウスと棚はスキルで収納済み。やばいほど便利。ちょっと悪戯心で軽トラを収納したらできちゃった。寺の本堂も収納できる確信がある。やばい。本当にやばいスキルだ。

「天気が崩れそうだし、さっさとやっちゃおう」

ぱぱっと組み立てる。レベルが上がって筋力も上がってるから組み立てはサクサク進む。組みあがったビニールハウスを 持(・) ち(・) 上(・) げ(・) て(・) 階段を囲うように置く。レベルアップ万歳。そしてぎりぎり収まった。こっちも万歳!

階段の両脇に木の棚を組み上げて、寺にある鉢植えなんかを置けばちょうどいい目隠しになる。ビニールハウスの入り口に簾でも掛けておけば風情も出て、大変よろしい。墓地だけども。

「おっと雨だ。ギリギリ間に合った」

組みあがってしげしげと眺めていたらぽつりと雨粒が顔に当たった。収納の中に入れておいたビニール傘を取り出す。

ビニールハウスに当たる雨音がぽつぽつだったが、次第にボボボボボと連続した音に変わっていく。

「意外に降りが激しいな」

傘を差しても外を歩くのが阻られるレベルで降ってる。風が弱いからまだいいけど、強かったら嵐か台風だ。スマホで天気を調べると、局地的な雨らしい。

「ダンジョンを掃除してればやむかも」

なんて思って階段を下りた。

1階2階と骨を傘で突いて収納しつつ下る。朝掃除したのにもういるよ。

3階の墓地に下りれば、熊骨が狼骨に襲われていた。

「仲間割れするんかい。ってか、仲間ではないのか?」

ゴブリン骨とホブゴブ骨は共闘してたけど、こいつらは違うのかもしれない。元々が動物だもんな。

争って俺に気が付いてないので、隙をついて全部収納してやった。漁夫の利ってやつだ。

「うん、傘はいい。広げて突撃すれば当たるものみーんな収納できる。範囲攻撃って感じだ」

漁業用の投げ網とか使えば効率的に骨掃除ができるかも。通販で売ってないかな。

なんて考えてたら下への階段を見つけた。残念、下があったか。

階段はやっぱりひとりが通れるくらいで、湿った生温かい風が吹きあがってくる。非常に不快だ。

「時間もあるし、ちょっと掃除に行くかな」

傘という新兵器で気が緩んでいるかもしれない。でも、ちょっとレベルアップが楽しいと思えてきちゃってた。不謹慎だなとは思うけど。

「慎重に行くべし」

傘を広げたまま階段下に向け、一段一段踏みしめて降りる。階段は石だけどじゃりっとした感触がない。掃除されている印象だ。

「誰かが掃除をしてる? でもダンジョンには基本的には魔物しかいない。ってことはいたとしても魔物か」

警告アラームが鳴っている気がするけど、気にもなる。結局はこのダンジョンをどうにかしないといけないなら今も後も同じこと。

「鉄は熱いうちに打てというし」

巧遅は拙速に如かずとも言うしね!

拙速に過ぎる、なんて言葉は無視するのだ。

「なんか雰囲気が変わった」

4階に下りたらば墓石はなく、その代わりにストーンサークルめいた石が乱立していた。石の高さは俺より高いくらい。たぶん2メートル。円形に広がっていて、輪が三重になってる。

「で、その中心に、あからさまに怪しい骸骨がいるじゃん」

布切れをまとった骸骨が立ってる。頭蓋骨の形は現代人と同じに見える。頭に角はない。

紫の袈裟を身に着けてるから仏教系なのか。それとも袈裟に見えるだけで全くの別物なのか。禍々しい気配がプンプンする。

手には短い杖を握っていた。明らかに別格な骨だ。

「もしかしてダンジョンボスってやつ?」

これで終われるならそれでいい。ビニール傘を広げて様子を見る。骸骨はこっちに顔を向けてるけど動かない。眼孔は真っ暗でどこを見てるかわからないけど。

「このままだとあっちも動かないっぽいな」

ゲームのボスとかと一緒で間合いに入らないと動かないのかもしれない。レベルとか、ゲームを踏襲してる感じだし。

広げた傘を骸骨に向けながらゆっくり近づく。もちろん収納と念じっぱなしで。

骸骨まであと20メートルくらいのところで奴が動いた。杖をこっちに向けた。

「なんか嫌な気配が飛んでくる」

体を縮こませて傘に体を隠す。瞬間。頭に【収納:魔法カース×1】と流れた。

「おいおい魔法を撃ってきたぞあいつ! しかもカースって呪いだべ? 初見でそれはねーよ!」

俺じゃなかったらそのまま呪われてたね。怖すぎるぞ!

「でも、魔法すら収納できるってわかったのはでかい!」

さすがは仏様の懐だ。深すぎて底が知れない。どこぞの一神教の神とは違うのだよ。

放った魔法が無効化されたのが気に入らないのか、骸骨が「ギェェェ!」と叫んだ。

「いけると分かれば攻めるのみ。成仏せいやぁぁ!」

広げた傘を盾にしてにじり寄る。透明なビニール傘ってコーユー時に便利よね。普通はこう使わないけど。

近づいていくと、頭に【収納:魔法カース×1】がたくさん流れていく。どんだけ魔法を撃てるんだよ。

あと数歩で触れるというところで骸骨の頭上にバスケットボールくらいの火の玉が現れた。

知ってる、あれって炎系の魔法だよね。骸骨が杖を振るうとその火の玉が迫ってきた。

「信じてる、仏様を信じてるからスキルで何とかしてぇぇ!!」

ビニールだから燃えそうな予感がしてるんだよぉぉ!

傘に当たった瞬間、火の玉がしゅっと消え俺の頭に【収納:魔法ファイヤーボール×1】と流れた。

「よっしゃぁぁぁぁ!」

いける、いけるぜ!

骸骨はまた「ギィヤァァァ!」と叫んだ。また頭上に火の玉が浮かぶ。そして俺に向かって飛んできた。その火の玉は傘にあたって収納される。【収納:魔法ファイヤーボール×1】

毎度あり!

骸骨は狂ったように火の玉を俺にぶつけてくるけど、そのたびに俺は収納し続ける。無限回収マシーンだぜ。

くやしいのぅくやしいのぅ。

火の玉の収納が10を超えたのでそろそろケリをつけよう。

【師走】スキルを使って一歩で間合いを詰める。目の前には布にくるまれた骸骨。俺よりも背が高く、3メートルはありそうだ。空虚な眼孔が俺を見てる。

「往生しなっせ!」

骸骨に傘を押し当てて収納する。【収納:ワイト×1】と出た。

「ワイト?」

聞いたことがあるようなないような。間違いないのは、こいつが骨だってこと。だって骨だもん。

「さっさと経験値にしてしまおう」

『レベルが上がりました』

お、レベルが上がった。強い魔物なのかな。

【ワイトの魔石×1】【カースの魔法書×1】【ファイヤーボールの魔法書×1】

「魔法書!? 魔石の他に魔法書!?」

お口あんぐりだ。

「こ、これがドロップ品ってやつ?」

確か、小湊先生は初級のファイヤーの魔法書で50万円って言ってた。ファイヤーボールがどうなのかは知らないけど、仮に同じ金額として50万円だ。カースの魔法書もあるから。

「100万円!!!」

うぉぉぉ、ダンジョン万歳!

「まぁ、これを売るためには越えなければいけないハードルが多いんだよなぁ」

ため息が出ちゃうよ。