軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3.勝浦と小湊、強襲③

「……なるほど。そのスキルで魔物を収納したと。収納した魔物はどうなるの?」

「収納した魔物の名前と数がわかって、経験値と魔石にすることができます。収納した魔物を出したことはないので出せるかは不明です」

「骨じゃない魔物を収納したことは?」

「このダンジョンでは骨しか出てきてないので、なんともです」

「今までにどれくらいの魔物を収納したかわかるー?」

「あーっと、千をこえたくらいですかね」

収納してある魔石を数えたらそのくらいあった。結構多いよね。普通を知らないから判断に困るけど、数としてみたら多いはず。たぶん!

「千!? あり得ない!」

「9日間でー!?」

あ、やっぱり多いんだ。

「スタンピードが2回もありましたし」

「だ、だからレベル9……普通ならどう頑張っても半年以上かかるはず」

「うわーびっくりー」

「あ、骨もゴブリン、ホブゴブリン、マッドベア、ダイアウルフと4種類の合計ですよ。地下3階までは行ってます。地下も全部墓地でした」

「マッドベア……」

「地下3階……」

ふたりは驚いたり眉間に皺を寄せたりと百面相をしている。美人さんの百面相は見ていて飽きない。お金取れるねこれ。切り抜きで動画投稿したら儲けられそう。

「守君。マッドベアとダイアウルフの数は分かる?」

百面相から復帰したのは小湊先生が先だった。

「えっと、スタンピードな時のですかね。ならわかりますけど」

「後ででいいから教えて」

「わかりました。勝浦さんは何かありますか?」

「えーと、その、無限収納って、大きさの制限とかあるのかなーって」

「大きさはー、試してないのでなんともです」

「そっかー」

買い物の時とか便利だけど人前では使えないしね。なんとなく制限はない気はする。収納先が三千世界だもの。

でもハンターだったら自分のスキルの内容は知っとくべきだね。今度試してみよう。

「ダンジョンについては俺もよくわかってないので問われてもわからないです」

「墓地ダンジョンは世界にはあるけど日本には な(・) か(・) っ(・) た(・) はず」

「小湊先生、墓地のダンジョンって日本にはないんですか?」

「寺社のダンジョンはあるけど墓地だけはない」

「まだ3階までしか行けてないですけど、確かに墓地ですね」

そういえば4階への階段を見つけてないな。3階しかないダンジョンなら助かるけど。

「ダンジョンは1階の様相で種類が決まる。寺ダンジョンには墓地フロアもあるけどそれは寺に関連するから。最初から墓地のダンジョンはない」

「うわっ、初めてとか運が悪い。もしかするとどこまで先があるとかどんな魔物が出るとかの資料なんかはない、とか?」

「さっきのゴブリンスケルトンという魔物は、日本では記録はない。海外のダンジョンには記録があるけどギルドは他国に情報を出さない傾向が強いから日本のギルドはデータを持っていないと思う」

おおっと、うちのダンジョンの参考はないと。もしかしなくても手探りですかそうですか。

そうすると。

「あの、うちのダンジョンはどうすべきですかね。個人的になんですけど、魔石を売れれば売りたいんですよ。その、昨今の寺の経営ってなかなか厳しいんで」

ちょっと情に訴える。同情するなら金をくれ、なのだ。売れないと魔石が溜まる一方という事情もあるし。

「守くんのスキルがあれば、お坊さんでなくても稼げると思うわよー? 例えばー、ギルドでダンジョンを消滅させるときに同行してくれれば、大量の物資を運ばなくても済みそうだし、大きいものを運べるなら頑丈な休憩施設をダンジョンに持ち込めるしー」

「この寺って、この辺りだと古くてですね、地域の知恵袋的に思われたりとか、幼稚園で子供を預かったりとか、ないと困ったりする人がいるんですよ」

「あーお寺さんて、そうよねー」

「あと、ダンジョンから魔物が溢れると近所に大迷惑なんで」

「うーん、そーよねー」

勝浦さんは俺に何をさせようとするつもりなんだか。俺は坊さんになるんだよ。

「ダンジョンがある以上、管理は必須」

「そーよねー。万が一スタンピードが起きたらって考えると、ギルドを設置しないとー」

ふたり揃って俺を見てくる。でも、ダンジョンの階段がある場所は狭くて何かを建てるスペースはない。むしろ、そんな場所に階段がって思うくらいだよ。

「ギルド設置といわれても、墓地の移動はできません。永代使用料を頂いているのでお墓を勝手に動かすことはできないんです」

「「永代使用料?」」

ふたり揃って首を傾げる。可愛いが過ぎるぞ。

「お墓の土地使用料ですね。お墓を建てるときに土地の売買はできませんが、永きに渡ってお墓を置いて良いですよーってお金です」

「守君質問」

「はい小湊先生どうぞ」

「お墓を移動して欲しいときは、その使用者に交渉すれば可能?」

「基本的には可能ですが、頂いた永代使用料は返還しないので、移設先での契約、移設費用で揉めますね。それがお墓ごとです」

「うん、無理」

「俺もやめた方が良いと思います」

聞いた話だと、道路建設もこれで頓挫しているところもあるとか。つーか、道路計画の時に寺は避けろよ。神社は割と引っ越ししてるけど墓地付きの寺は簡単じゃねーんさ。

「瀬奈先輩、ギルドの建物は離れた場所にするにしてもゲートの設置は必須」

「ゲートは屋内設置が原則の機械だから、雨風は防げないとー」

「防水加工は不可?」

「仕組みは駅の自動改札と一緒だから、わかるでしょー?」

ふたりが言い合っている。俺たちの意見はスルーだな。まぁ強制なんだろうね。

ギルド云々は脇においても、あの階段は隠したい。バレるとかではなく、あふれた場合に好き勝手に広がらないようにしたい。あのゲートの設置もあるけども。

「雨除けであれば、家庭菜園用のビニールハウスとかもあります。確か一坪からあったはずなんで。階段とゲートを覆うくらいはできると思います」

「ビニールはちょっと」

「強度的に心配ねー」

ご不満らしい。俺的には十分ありなんだけど。そもそもダンジョン管理はうちになるんだから、うちがオッケーなら問題ないじゃん。

「ビニールハウスなら費用もお安く済みます。うちはお金に余裕がないんで」

どやーと札を切る。ない袖は振れないのです。

「お金がないって言っても、ゲートだけでも500万円はする。設置工事とか電気工事を合わせれば800万円くらいはかかる」

「……そんなお金はないです」

小湊先生が事務的に言い切る。寺の会計は父さんの範疇だからよくは知らないけど、貯金はほとんどなかったはず。俺の学費もあったしね。

「ギルドで融資はしてるよー?」

「でも(利率が)お高いんでしょう?」

「大丈夫、灰色だけどリーガルだよー!」

「ちっとも安心できないお言葉ありがとうございます」

勝浦さんが追撃してくるけど、不安な情報しかない。自分で灰色って言っちゃダメでしょ。

「お金に関しては父さんと話をしてください」

俺に決定権はないんだ。

結局、一度話を持ち帰ることになった。うちだってダンジョンの管理の必要性はわかってるけど現実として金がない。ギルドとしても船橋ギルド内で話をする必要がある。

俺にできることをしよう。あ、小湊先生が俺のレベルを知ってる謎を聞き忘れた。