軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

26 ダンジョンで鍛えよう 午前の部③

その晩。千葉の部屋にAチームの面々が集まった。みな風呂も入ってさっぱりした顔だ。

涼しくなったとはいえ若いのでまだまだ薄着で、千葉は上半身裸だ。5人の中でも千葉の筋肉の発達が目立っている。

「あれが師匠か。おっかねえな」

胡坐をかいた大型マッチョの市原が独り言のようにこぼした。先ほどの圧が堪えているのか、肌が粟立っている

「鍛錬ってのも厳しそうだな」

茶髪イケメンの一宮がぼやく。楽しそうだと思ってついてきたが、師匠を見て不安が湧き出したのだ。

「俺がやってるのは体を作るトレーニングが主だけど、今回のは魔物相手の実戦だって聞いたな」

「さっきダンジョンを持ってきたって聞いたけど、それなのか?」

細マッチョ千葉が答えると長髪ポニテの館山が続く。

「たぶんなー。四街道は入ったみたいだけど、俺はまだだな」

「四街道は、あれ、師匠べったりだな。ふだん男には塩なのにな」

千葉が四街道に触れると、金髪の野田が苦笑いをした。

「まさかショタとは」

金髪の野田の発言にほかの4人も「それな」と声をそろえた。

普段の四街道は女子には普通だが男子にはキツかった。声をかけても冷めた声で「なに?」と取り付く島もない。

可愛い&巨乳でシルク製の肌着のモデルになったことで下級生が見に来ることもあったが、同じく女子には普通だが男子には塩だった。

実際には違うのだが彼らが知る由もない。

「寺のいるときの四街道は学校とは全然違うんだよ。ま、俺には変わらず塩だけどな」

「あんだけ巨乳で彼氏無しってのは、師匠がいるからだったのか」

「勝浦先輩のファンだからじゃなかったのか?」

「レズだって噂もあったけど、ちげーな」

言いたい放題である。女子会も同じではあるが。

「明日は何をするのか俺も知らねーけど、悪いことじゃねーと思うぜ。少なくとも学校よりは実戦的だ」

千葉の発言で彼らの顔にも安堵が見えた。

誰となく「そろそろ寝るべ」と解散となった。

翌朝。息ができなくなりそうなほど青く晴れ上がった快晴。

9時に墓地ダンジョン前に集合だ。時間ぴったりに全員が集まった。瀬奈さんと京香さんがかかりっきりになるので葉介さんに休日出勤してもらってる。当然葉子ちゃんも一緒だ。

「じゃあ入るぞ」

零士くんを先頭に俺が続いてダンジョンに入る。零士くんはハンター証なしなのでピョンと跳んでゲートを突破する。

「うおお、墓地ダンジョンだ」

男子から声がする。俺は見慣れてるけど、まぁそうだよね。

「スケルトンだ!」

奥のほうにゴブリン骨が1体うろうろしてる。襲ってきたら掃除しようと思ってたら智がスキルで成仏させちゃった。

「零……師匠、どこにダンジョンの階段を作ろうか?」

危ない、零士くんと言いそうになった。いつもの癖って怖いね。

「墓地ダンジョンの階段の近くで、そうだな、この辺かな」

「了解」

階段から数メートル離れた墓石の近くを示したのでそこに【いわきダンジョン】の入り口を設置する。

石畳の通路に下へ行く階段ができた。大きさはうちと同じで狭い。

「マジで階段がでてきた……」

「いやこれ……えぇぇぇl!?」

「うわ、おにーさんって何でもありだったけど、本当になんでもありになっちゃった」

「ぽかーん」

男子も女子も「ええええ!」って顔してる。ふふふ。

「こいつがやることはあまり深く考えないほうがいい。どうせ理解できねえ」

「師匠、何気にヒドくない?」

「それより守、魔物はいるのか?」

「全部引き上げてるから大丈夫」

「よし、じゃあいくぞ」

零士くんはのっしのっしと階段を下りていく。

「え、マジで行くの?」

「大丈夫なの?」

不安そうな声が上がるからか、「ほら行くわよー」と瀬奈さんが階段を下りて行った。妊婦さんを先にいかせるわけにもいかないので急いでついていく。

「へー、いわきダンジョンってこうなのねー」

瀬奈さんが「ふーん」て感じでダンジョンを眺めてる。

いわきダンジョン1階は雑木林だ。広さは墓地ダンジョンと変わらない感じで、50メートル四方くらい。地面には下草が生えてて、細い木がぽつぽつあって、周囲はうっそうとした木々で壁のようになってる。たぶんあの先はいけないんだと思う。墓地ダンジョンの土塀に当たるだろうね。

空は見えるけど曇ってて、薄暗い。気温も地上よりも冷えてる感じ。

「うわ、全く違う」

「林ダンジョンは初めて……」

「暗くて不気味」

「寒いかも……」

ヒヨコ諸君は階段を下りたすぐの場所に固まって周囲を見てる。得体のしれない場所だし、怖いのはわかる。俺もハンターになってなきゃ不安だったろうし。

「先日、俺と美奈子で最下層の10階迄いってるから安心していいぞ。ここにはダンジョンボスはいない。しいて言えば、守がボスになるかもな」

「え……」

「は?」

「おにーさんがダンジョンボス?」

「違うから。俺は普通の人間だから!」

危ない。俺がダンジョンボスだと思われかねない。

「「「「普通?」」」」

「突っ込むとこそこ!?」

俺は普通の坊主見習いだ。そこのポニーたち、ざわつかない!

「はいはいちゅーもーく。午前中はここでそれぞれのスキルにあった武器の使い方や鍛錬のやり方を説明したあとにゴブリンと1体1で戦闘してもらうわよー。午後は複数のゴブリンとの戦闘訓練の予定よー」

瀬奈さんが声を張り上げてくれたので注目が移った。ありがとう。

「守、剣と鉄パイプを15本出してくれ」

「なまくらだけど?」

「むしろそれがいい」

とのことなのでゴトゴトと地面に転がす。鉄パイプは2メートルのやつだ。

「よし、適当に刺していくか」

と零士くんはある程度の間隔で鉄パイプを地面に刺していく。半分くらいが埋まるほどだけど、すごい力だね。

「師匠、軽々さしてるな」

「いや俺無理」

Aチーム全員が首を横に振る。俺も【袈裟】を使えばできる、かな?

「よし、じゃあまずはスキルについてだ。学校でも習ってるだろうが、復習と思ってくれ。美奈子」

「はーい」

呼ばれた美奈子ちゃんは子犬のように軽い足取りで零士くんのもとに行く。

「その剣で鉄パイプを斬ってくれ」

「え、さすがにそれは無理ですよー」

「スキルを使って折るのでもいいぞ」

「うー、それなら」

と美奈子ちゃんは剣を拾って一番近い鉄パイプの前に立った。