軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25 ダンジョンテイクアウト②

寺に戻って一休みして、さっそくダンジョンに向かう。試すならダンジョンの中のほうがいい気がしてね。邪魔しそうな骨は美奈子ちゃんが掃除してくれた。ありがとう。

付き添いは奥様ズ+美奈子ちゃんと零士くん。零士くんは俺がおかしくなった時用の最終防衛ラインだ。おかしくなるつもりはこれっぽっちもないけどね。

「ダンジョンを収納するとか、守のスキルはどうなってんだ?」

「仏様の懐は無限大なんですよ」

だって保管先は三千世界だもん。

あきれ顔の零士くんに答えとく。

「さて、所有をしてみるので、いったん離れてくださーい」

「やーよー」

「拒否」

「するわけないでしょ」

奥様ズに拒絶された。言うと思ったけど、いざ言われるとほっこりするね。でも後ろにいてね。

「じゃあ行きます」

頭の中の選択肢でYを選ぶ。一瞬だけ心臓がドクンと跳ねた。

頭の中をいろいろな情報が駆け巡る。ダンジョンの立体模型とバロメーター的ななにか。立体模型は地図アプリみたいに見る向きと角度とかを自由に変えられて、それぞれの階層の中も見ることができる。立体模型の横には【→ダンジョン顕現Y/N】とある。

バローメーターは各階にあって、0の位置と満タンの位置があって、ちょっとずつ増えてる。

現状で魔物の姿はない。バロメーターは10個中2個が満タンだ。階層でいうと10階と9階。

バロメーターの横には選択肢が出てて【→魔物と変換しますかY/N】とある。

「もしかして……」

試しに10階のバロメーターでYを選んだら、空間がゆがんで魔物が出現した。人間の倍くらいの人型の魔物だ。角が2本あるし牙もある。もしかしたらオーガなのかも。

バロメーターはちょっとだけ減ってる。バロメーターを全部使ったら大量の魔物が出てきてスタンピードになるってことか?

出てきたオーガは消せないかな……あ、できた。バロメーターも満タンに戻った。

「なるほど」

「守君、何がなるほど?」

京香さんが俺の顔を手で挟んでじっと見てくる。ちょっと涙目になってるね、ごめんなさい。

「心配かけてごめんね。所有の意味が何となくですが分かりました。俺がダンジョンを操作できるっぽいです」

「は!?」

「へ?」

「なに言ってんのよあんた」

智だけ口が悪いけど、こんな距離感が愛おしい。みんな違ってみんないいのだ。

「ちょっとダンジョンを 出(・) し(・) ま(・) す(・) 」

頭の中で俺のちょっと前の地面を指定して、ダンジョン顕現のYを選択する。音もなく床が崩れて下へ行く階段が出現した。いわきで見たあの階段にそっくりだ。

「ダ、ダンジョンの入り口!?」

「え、ちょ、まって、ダンジョンにダンジョンができちゃったのー!?」

「いやいやいやいや、守、なにしたのよ!」

慌てる奥様ズはできちゃった階段の周りに向かうけど大蛇丸を抜いた零士くんに阻まれた。ナイス零士くん。

「安全が確保できてないのに行くな。ましてふたりは妊婦だろ?」

「「「あ」」」

注意すると奥様ズは俺の背中に隠れた。零士くんはぶっきらぼうな話し方だけど心根は優しい。

「まぁ魔物は ま(・) だ(・) いないんですけど」

「いない? 守君、いないとは?」

「魔物の出現もコントロールできるっぽいです」

「は? コントロールとは?」

「そーですねぇ……」

頭の中で試したことを説明した。

各階で自由に魔物の出現と退去を操作できること及びその魔物を出現させる何かがあること。

「「「絶句……」」」

奥様ズが口を開けてフリーズした。なんだろう、一緒に生活してると似てくるのかな。

「守。そのダンジョンにボスはいるのか?」

「うーん、今のところそれを設定できそうな雰囲気はないなぁ」

零士くんに答える。魔物を弄れるだけでボスとかの項目はなさそう。

「ってことは、踏破はできないが、鍛錬にはいいかもしれねーな。魔物は何が出せる?」

「一番下が10階で、そこだとオーガだね」

「ほう。ならばダンジョンランクは1だな。ちょっと一番下を見てくる」

「師匠、わたしも行きます」

「美奈子は……まあいい、ついてこい」

「はい!!」

零士くんとニコニコ顔の美奈子ちゃんが階段を駆け下りてしまった。危ないから魔物はすべて退去させておこう。

「守くん、零士さんと美奈子が行ったけど、大丈夫なのー?」

「魔物はすべて退去させたんで、空間があるだけなはずです」

瀬奈さんに答えつつも頭の中の立体模型の中でふたりが走ってるのわかる。早いな、もう5階にいる。

「ふたりは5階を走ってて、6階につきましたね」

「そんなこともわかるの!?」

「こう、はっきりとした映像ではないんですけど、感覚でわかるっていうか。立体模型の中を点が動いてる感じで、説明しにくいです」

「そっかー」

15分くらいでふたりが戻ってきた。少し息が乱れてるくらいだ。

「確かに、ボスはいなかった」

「雑木林ダンジョンていうんですかね。船橋と違って戦闘しにくいとこですね」

「ダンジョンとしては狭いしな。ただ、鍛錬には良いだろう」

ふたりから感想を聞いてる。なんかピントがズレてませんかこの戦闘民族さん。何を調べに行ったんですかねぇ。

「守。各階の魔物の種類と数。さらに言えばスタンピードの時の数もだが、知りたい」

「それは調べないとはっきりしないけど、零士さんは何を考えてます?」

「魔物を調整可能な、スタンピードの心配がないランク1ダンジョン。ハンターのヒヨコには丁度いいと思ってな」

零士くんがニヤリとした。

「はいはい! わたしやりたい!」

「お前なら単独踏破ができそうだが?」

「お前……ふふ、お前と呼ばれました!」

「なんでそこに食いつくんだ」

零士くんか疲れた顔になった。