軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

16:温泉ドッキリのはずなのに

大変なことになってしまった。我が伯爵家でのお茶会開催なんて、何年ぶりだろう。

そもそも、招待に応じる令嬢なんているのだろうか。

(不安しかない)

気分をサッパリさせるため、悩みながら温泉へ向かった。

昼間は誰も利用していないその場所は、四方を壁に囲まれており、外から見えない構造になっている。

水を引いてもらった際、外壁の工事もお願いしたのだ。

周りにもスペースを作り、体を洗う場所や脱衣用の場所も用意していた。

温泉の中で石鹸を使われたら大変なので、使用人向けに入浴方法の絵を書き、壁に貼っている。

体を洗ってから温泉に入ると、ザアザア音を立てて湯が外に溢れていった。

ブリトニーの体積は、まだ減らないようだ。

(どうしたものか……)

少し痩せたあたりから、私の体重は増えたり減ったりを繰り返している。

温泉から上がって、着替えをしていると不意に入り口が開いた。

驚いてそちらを向くと、青い目を見開いたリュゼが固まっている。私もドレスを抱えたまま固まった。

「ご、ごめん。ブリトニー。中に人がいるとは思わなかった」

彼は慌てて扉を閉めたが、私の硬直は解けない。

下穿きは履いているし、肌着も身につけている状態だったが、そんな状態の自分の体を異性に見られたくなかった。

(恥ずかしい……!)

裸に近い姿を見られたこともそうだが、この醜くたるんだ体を晒してしまったことが何よりも恥ずかしい。

なんという事故!

普通の温泉ドッキリには多少のときめきがあるだろうが、そんなものは微塵もなかった!

(……リュゼお兄様の方が被害者だ。見たくもない醜い私の体を見せられて)

ドレスを着終わって外に出ると、待っていたリュゼに再び謝られた。

「ごめん、きちんと確認すべきだったよ」

「こちらこそ、すみません。大変お見苦しいものを……」

……リュゼは、ノーコメントを貫いた。

今度からは入り口のドアに、「入浴中」の札をかけておこうと心に決める。

使用人たちは、時間帯で男女に分かれて入っているみたいだ。今のところ問題は起きていない。

「ところで、ブリトニー。君のレモンを使った『リンス』とやらは素敵だね。うちの領地にも大々的にレモンを植えてみるよ。領地の収入につながるかもしれない」

私は風呂場に石鹸や自作のレモン水を置いている。それらは、誰でも使って良いことにしていた。

リュゼも、それを使用したみたいで、なんとなく以前にも増して髪がサラサラツヤツヤになっている。

「レモンは割と強い木みたいなので、うちの領地でも問題なく育つかもしれませんね」

「隣の領地では、レモンの栽培も盛んみたいだけど、すぐに実のなりそうな木を買うと高いのかなぁ」

「……うーん、安く融通してもらえるといいのですが」

私は、隣の領地を治める伯爵子息、元婚約者のリカルドを思い浮かべた。

(彼は協力してくれるかな?)

リカルドには、「なにかあれば依頼したい」という旨の話をしていたが、前回の一件だけで片付けられてしまう可能性も高い。

駄目元で、私は彼に連絡を取ってみることにした。