軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

開戦前

少し時を巻き戻す。

スネークス王国が建国された事は、商人を装うザビーンの諜報部が、メンタル王国との食糧の貿易のための商人の一団に紛れて潜入しており、そこから帝国に伝わった。

少しでも食糧を手に入れようと、ザビーン帝国は帝国なりに必死だったのだ。

「そういうわけで、メンタル王国が分裂し、メンタル王国とスネークス王国が、戦に突入する可能性もあります。メンタル王国の一部貴族達は、スネークス王国を攻めろと王に進言していると、巷で噂らしいです」

と、皇帝に報告をする部下に対して、

「ならば、メンタル王国とスネークス王国が開戦した時にあわせて攻めるか、戦が終わって疲弊してる時に攻めるかだな。不可侵条約はメンタル王国と交わしたのであって、スネークス王国とは交わしてないからいつ攻めても良い訳だし、メンタル王国が勝ったとしても、疲弊していて不可侵条約が切れるときに、国力は回復しておらんだろう! 国境近くの鉱山を取り返すチャンスだ。ああ、麦の産地だから収穫期が終わってから、麦を奪う方が良いな!」

と、皇帝が笑いながら言った。

「そうですね。食糧を奪うほうが良いでしょう。農地を避けて戦をして占領したほうが、後々の収穫も期待出来ます」

「前の失敗と同じ事をするわけにはいかんからな」

と、前回の戦の失敗を認める皇帝。

そうして、二つの国を監視するために、商人に金を握らせ情報を集めることにしたザビーン帝国。

もちろん国の諜報員も派遣する。

ただ、多数の商人から良い情報が入る事はなかった。何故なら、

「ザビーンよりスネークスになったほうが、儲かりそうだ」

「税率はスネークスのほうが断然安いぞ」

「スネークスの酒を仕入れできるチャンスかも」

ザビーンの商人達は、税率の高いザビーンを良しとしていなかった。

商人達をアテにしていた諜報員達には誤算だっただろう。だが、自分達で余り動き回らなかった諜報員にとって、それは命拾いしたのだ。何故なら、働き者の諜報員は、すでにこの世から消えているのだから。

「今日は何人だ?」

アインが部下に聞くと、

「8人です」

と、返ってくる。

「まったく、無駄な事を。我が国から情報を抜くなど無理なのにな。我らが居る限り」

と、アインが冷静な顔で言うのだった。

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「スネークスの砦に多数の大きな馬車が行き交っている?」

一部の商人からの情報を聞いたザビーン帝国軍司令部は、その報告を一応皇帝に報告した。皇帝はそれを聞き、先のように聞き返した。

「はい、毎日のように馬車が砦に入っているようです」

との部下の言葉に、

「春までの食糧だろう? もうすぐ冬だからな。収穫した麦を運び込んでいるのだろう。諜報員達からは、何も報告は無いのだろ?」

「はい、目立った報告は他に有りません」

「ならば気にする事はないだろう。馬が大量に運び入れられるようなら、攻めて来るやもしれぬがな。まあ、少しづつ兵を東側に配置しておけ。メンタルとスネークスが戦になった時に攻めるかもしれぬからな」

その言葉で、この問題が片付けられてしまった。

スネーク王国から遠く離れた城にいるザビーン皇帝は知らない。

馬車の大きさを、ちゃんと報告しなかった商人も悪いが、馬が何頭も積み込める馬車だった事を。

それと馬などなくとも、毒蛇隊が一昼夜全力で走りきれる事を。