軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

123:騎乗戦闘への慣れ

『《死点撃ち》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《斬魔の剣》のスキルレベルが上昇しました』

『《テイム》のスキルレベルが上昇しました』

『【アニマルエンパシー】のテクニックを習得しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔技共演》のスキルレベルが上昇しました』

『《インファイト》のスキルレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』

悪魔共の動きを遠目に監視しながら、セイランのレベル上げを目的に戦闘を繰り返す。

どうやらあの群れを構成しているのはほぼレッサーデーモンのようであるが、そこそこに協調性のある群れであるらしい。

馬に乗っている奴と乗っていない奴で分かれているのだが、その進むスピードは統一されているのだ。

まあ、相変わらずロクに陣形も取れていないのだが、それでも騎乗と徒歩でグループに分かれながら進んでいるらしい。

連中のスピードから考えて、牧場の近くまで到達するのはこの世界における一日後か――それよりも少し早いか、と言った所か。

微妙な時間だな。牧場に帰ったらログアウトして、夜にもう一度ログインしてちょうどいいぐらいだろうか?

「っと……それより、新しいテクニックか」

「テクニック? 先生のスキルでテクニックというと……」

「まあ、《テイム》だな」

「ですよね」

俺の返答に、緋真は苦笑を零す。

スキルが《テイム》である以上、あまり戦闘に使えるものにはならないだろう、ということだろう。

俺の嗜好をよく分かっているようだ。確かに、名前からしても戦闘向けのスキルには思えなかった。

「ええと……魔物が抱いている感情が何となく分かるようになる、パッシブのテクニックだそうだ」

「ああ、テイマー的には便利なテクニックかもですね」

「こいつらは分かり易いからあまり必要は無いんだがな」

セイランを撫でているルミナの様子を眺めながら、俺は軽く肩を竦める。

ルミナはそもそも喋ることができるし、セイランについては結構直情的な性格であるため分かり易い。

正直な所、このテクニックの効果がこいつらに有効であるかどうかは微妙な所だ。

とはいえ、野生の魔物相手にも効果があるのであれば、その感情を読み取れるのはそこそこ便利かもしれないが。

「さてと、セイランのレベルもあと一つだが……」

「早かったですよね。レベル帯が上だったからでしょうけど……パワーレベリングの割にはセイランも結構戦果を挙げていましたし」

「パワー……? まあ、MPをセーブせずに戦えば現状でも十分な戦力だしな」

セイランは確かに今のレベル帯と比較すると格下の魔物であるが、風の魔法を使うことで上位の魔物に匹敵する戦力を得ている。

最初に戦闘を行った時のように、消費を気にせず全力を出せば、十分な戦闘能力を発揮できるのだ。

とはいえ、その消費も決して馬鹿にはならない。自分ではほとんど使っていなかったMPポーションを、既に何本か消費していた。

高級なポーションというだけあって、枯渇寸前になったセイランのMPを上限まで一気に回復させることが可能な品だ。

そこそこな数を仕入れていたため、まだまだ数には余裕がある。とはいえ、少し気になるから後でまた仕入れておくことにするが。

「今は急ぎだからな、回復は遠慮せずにやっておく。やり過ぎは良くないが、適度に暴れろよ、セイラン」

「クァア」

俺の言葉に、セイランは首肯を返す。

それと共に、何となくこいつが高揚しているのだということが理解できた。

どうやら、これが【アニマルエンパシー】の効果であるようだ。

正直、具体的に分かるわけでもないし、効果としてはかなり控えめだとは思う。

だが、この程度でも魔物の考えが伝わってくれば、向こうの攻めてくるタイミングも分かるかもしれない。

そう考えれば、思ったよりは有効なテクニックだと言えるだろう。

「とりあえず、そろそろ戻り始めるとするか」

「……先生のことだから、向こうに襲撃をかけるとか言うかと」

「阿呆、今無茶をする理由も無いだろうが」

まあ、相手が歩兵のみで構成されていたならば、それも決して不可能ではなかっただろうが。

だが、今の奴らは一部騎兵が含まれている。

騎兵を相手に戦うには、やはりこちらも騎乗戦で戦わなければならないが、そうなると俺の使える術理はかなり限定されることになる。

鬼哭を使えばまだ何とか、とは思うが――流石に、そこまで無茶をする理由も無い。

この位置だと、敵の増援が際限なく追加される可能性もあるからな。

「向こうの到着時間はある程度予測が立てられた。後は、戻って対策を立てればいいだけだ」

「それは良いですけど、どうやって戦うつもりなのですか、お父様?」

「ふむ、そうだな」

ルミナの質問を吟味しながら、セイランを南へと向けて進める。

さて、軍勢と戦う以上、基本的にこちらも軍勢で戦うべきだ。

問題となるのは、こちらには騎馬戦のノウハウが殆ど無いことである。

そもそも現代でそんな経験をしたことがある人間はいないだろうから、それを論ずること自体が間違いなのだが。

「この国の防衛戦力もある程度いたようであるし、馬に乗っている悪魔はこの国の連中に対処して貰えばいいだろう。歩いている連中はこちらで相手をする」

「結構騎馬の数もありますけど、大丈夫ですかね?」

「数はともかく、騎兵はこの国の主戦力だろう。実力は信用できる筈だ」

巫女の護衛をしていた騎士たちは、騎馬の扱いに関しては間違いなく俺たちより上だった。

彼らが精鋭なのかどうかは知らんが、騎乗戦での経験は間違いなく彼らの方が上だろう。

その経験の差というものは、決して馬鹿にできるものではない。

「悪魔共の様子を見た感じ、連中も騎乗に慣れている様子はない。馬の扱いに長けた彼らならば、多少の数の差程度なら物ともしないだろう」

「成程……お父様は加わらないのですか?」

「あー。騎士の数に不安はありますし、乗れる人はそっちに加わった方が良いんですかね」

「さてな、俺はそっちでも構わんが……その辺りは向こうから依頼があったら考えるさ」

確かにその不安はあるだろう。俺も、彼らに合わせる程度なら何とかなる自負はある。

依頼があれば、その戦列に加わることに否は無い。

無論、邪魔だと言われるのであればこちらは歩兵を相手にするまでだ。

「……ふむ、近づいてきているな」

「敵ですか?」

「ああ、恐らく馬だな。適当に片付けるぞ」

こちらに近づいてくる魔物の気配を感じ取り、セイランに合図を送る。

途端に湧き上がるセイランの戦闘意欲に苦笑しつつ、こちらも意識を切り替えつつ思考を続ける。

果たして、奴らが辿り着くまでにどれだけの戦力を集めることができるか。

今回はフルレイドクエストのような表示は無かったし、全員参加型の突発イベントになるのか。

或いは、これもまたグランドクエストの一環ということになるのか――何にせよ、悪魔が相手であるならば駆逐することに変わりはない。

「ケァアアッ!」

セイランが気炎を上げながら風を纏う。

見えてきたバトルホースは八頭の群れだ。既に俺のやり方にも慣れてきたのか、セイランは俺が指示を与えるまでもなく敵へと突撃していた。

俺としても方針に否は無く、その勢いに乗りながらスキルを発動させる。

「『生奪』」

バトルホース相手であれば、セイランはかなり有利な立場にある。

その能力を十全に使いこなせば、セイランだけで複数体のバトルホースを相手にすることも難しくはない。

だが、必要なのはMPの節約だ。適度に使いながらも、継続戦闘が可能なようにセーブすること。

その加減を覚えつつあるセイランは、細かく風の刃を飛ばすことでバトルホースの足を鈍らせていた。

「いい判断だ――!」

セイランは足を鈍らせたバトルホースの隙間を縫うように駆け抜ける。

それと共に、俺は右側にいる馬を斬りつけ――同時に、セイランは左側にいるバトルホースを前足の爪で引き裂いていた。

どうやら、セイランは殴る以外にも爪による攻撃を覚えたらしい。

俺が敵を斬る所を見て学んだのか、風の魔法を纏いながらの一撃はそれなりの威力がある。

また、俺が右側ばかりを攻撃しているためか、セイランは左側をカバーするように攻撃している。

実に賢く、いい判断をしてくれるものだ。

「《術理装填》……《スペルチャージ》、【フレイムランス】」

一方で、緋真は主に炎の槍を装填する戦法を取るように変わってきている。

突きを放つことで切っ先から炎の槍を発生させるため、狙いやすくリーチも確保できるのだ。

その威力はバトルホースのHPを大きく削る威力があるし、貫いた敵の動きを鈍らせる効果もあるようだ。

今も、緋真は炎の槍で貫いた相手へと接近し、刃で斬りつけるという戦法で戦ってる。

中々に安定しているようだし、いい戦法を見つけたと言えるだろう。

「槍よ……刃よッ!」

緋真の様子を見て学んだのか、ルミナも同じように槍で動きを止めて刃で斬りつけるという戦法を取っている。

尤も、こちらの場合は馬に乗っているわけではないため、もっと小回りの利く動きだ。

向かってきた馬を空中でくるりと回避し、左手で光の槍を放つ。

そして動きの鈍った馬へと追い縋り、後方から首を斬り裂いているのだ。

やはり、ルミナの《光翼》の性能は実に素晴らしい。空中であれだけ機敏に動けるのは便利だろう。

「ケェェ――――ッ!」

効率よく敵を倒してゆく味方に奮起したのか、セイランは風を纏いながらバトルホースへと突進する。

その巨体を生かした体当たりを横っ腹に受けたバトルホースは、体勢を保てず横倒しに転倒していた。

倒れた相手をその爪で容赦なく引き裂くセイランへ、横から敵が来ていることを足で合図する。

その瞬間、セイランは翼を広げてその場から跳躍していた。

例え助走が無かったとしても、空中に数秒滞空する程度であれば飛ぶことが出来る。

さらに、《空歩》というスキルの効果で、空中で足場があるかのように跳躍することも可能なのだ。

これがあれば、馬上でありながら静止状態からの回避も可能だ。

「ケェッ!」

そして、足元を通り過ぎようとしたバトルホースを押し潰すように、セイランは空中から腕を振り下ろしながら落下する。

その一撃を背の中心に受けたバトルホースは、胴から折れて沈没する船のように地へと叩き付けられていた。

一撃を放った衝撃で俺まで弾き飛ばされそうになるが、そこはセイランのリズムに合わせて重心を操作することで衝撃を最小限に留める。

こいつの動きはかなり荒っぽいが、慣れてくれば合わせることも不可能ではない。

【アニマルエンパシー】のお陰で仕掛けるタイミングも分かり易くなったし、これは思っていたよりも有用なテクニックだったのかもしれんな。

「『生奪』」

かなり頻繁に使っているのだが、相変わらず《魔技共演》はスキルレベルが上がり辛い。

まだまだ効果の上昇を実感できないレベルだが、それでも有用であることは間違いない。

馬上においても継戦能力を維持するのには、このスキルが一役買っていることは事実だろう。

着地と同時に走り出したセイランの前進を利用して、前方にいたバトルホースの胴を斬り裂く。

やはり自分で刃を振るえないと一撃で殺すには至らないが――後から続いたルミナが、その一頭にトドメを刺していた。

『《HP自動回復》のスキルレベルが上昇しました』

『《生命力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『《魔力操作》のスキルレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《セイラン》のレベルが上昇しました』

『テイムモンスター《セイラン》がレベル上限に達しました。《マイナーグリフォン》の種族進化が可能です』

全ての敵を倒し切り、耳に届いた音に目を見開く。

どうやら、思った以上に早く目的を達することができたようだ。