軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

18話

これまで私自身の口から、この能力について誰か人に話したことはない。

ずっと秘密にしてきた。

だけれども、夢の中でお母様に背中を押されたような気がした。きっとこのタイミングで思い出したのもそういうことなのかもしれない。

私は大きく深呼吸をすると、自分がつけている香水の香りが鼻をかすめていく。

大丈夫。勇気を出そう。

「私には、秘密があります。この能力については、私の両親以外は知りません。ただ、能力があるかもしれないとリベラの国王陛下にだけは勘繰られてはおりました」

「秘密?」

「見ていてください」

私は青い空を見上げて手を伸ばし、祈りを捧げる。心の中で雨を願う。

私の心は天に届く。感情に反映して天気は変わり、そして私の願いに天は応えてくれる。

「雨よ。心地の良い雨よ、どうか降ってくださいませ」

「シャルロッテ嬢……何を……なっ」

次の瞬間、ポタリ、ポタリと雨が降り始める。

青天の中の、突然の優しい雨。

「私が泣けば天からは雨が降り、私が笑えば天は晴れ渡ります。そして、私が願えば天は応えてくれるのです」

アズール様は目を丸くしていくと、次の瞬間周囲を見回し、そして私を抱き上げると庭から私達の私室へと向かって廊下をずんずんと歩いていく。

「アズール様?」

私が驚いていると、廊下をすれ違った騎士達が驚いた顔をしている。

「少し待ってくれ。部屋に着いてから話をしよう」

「は、はい」

私達の共同私室に着くと、アズール様は私を膝の上に乗せたまま頭を抱える。

「少し待ってくれ。いくつか質問に答えてもらえるだろうか」

「はい」

何を質問されるのであろうか。やはり私は不気味がられたり嫌がられたりするのだろうか。

私が不安に言葉を待っていると、聞かれたのは以外な言葉であった。

「この能力があるから、天に連れ去られるとか、命が削られていくとか、そういう代償のようなものはないのだよな?」

その言葉に、私はどういう意味だろうかと思いながらも答えた。

「えっと、そのような話は聞いていません。お母様は病気で亡くなってしまいましたが、曾祖母は長寿だったのだと聞いています」

これで答えになっているだろうかと思うと、アズール様は心配そうに言った。

「では、この能力を知っているのは? リベラ王国国王が勘繰っているというのは?」

「私の能力をちゃんと把握しているのは父だけです。ただ、願えば天が応えてくれるというのに気付いたのはここにきてからですから、それについては父も知りません。あと私の母の能力はあくまでも小さなもので、リベラ国王はそれについて把握していたというだけです。私にも能力があるかもしれないとは思っていたようで、だからこそ、王子の婚約者にしていたのです」

「つまり、君に能力があるかもしれないと思って王子の婚約者にしていたが、婚約解消となり、君を仕方がなく手放したということか」

「えっと、そう、です」

アズール様はうなずくと、私の手をぎゅっと握りながら、言った。

「このことについては、絶対に俺以外には他言してはいけない。君の能力は、他国が喉から手が出るほど欲しいものだ」

「……はい。亡き母から、私を愛し、信じられる相手には正直に伝え共に困難を乗り越えていきなさいと言われたのです」

その言葉にアズール様が驚いたように私の手を握る手に力を入れたのが分かった。

私は心臓がドキドキとしながらも、やはり言わなければいけないだろうと、自分の中に芽生え始めた気持ちを告げた。

「あ、あの……私、今まで、人をこんなに信じられるなんて、安堵できる人がいるなんて思ったことがなくて……その……たぶん、まだ、曖昧ではあるのですが……アズール様に、惹かれてきています。すみません。私この前までセオドア様の婚約者だったのに、でも、そんなに私は軽い女では」

自分の気持ちに戸惑い、これでは私は軽い女性のように思われてしまうのではないかと混乱して、どんどんと言い訳のようになってしまう。

けれど自分の中に芽生え始めた気持ちは本当で、だからそれを伝えたくて必死に言葉にする。

私はおずおずとアズール様を見上げると、アズール様は顔を真っ赤に染め上げていた。

「あ、アズール……様?」

「いや、その、嬉しい」

「……あの、本当にその、私」

アズール様は微笑いを浮かべると私のことを優しく抱きしめて背中をとんとんとする。

「君が軽い女性だなんて思っていないし、俺のことを信じてくれて安堵してくれているということが嬉しいんだ」

「……はい」

抱きしめられて心臓が煩くなるし、温かで大きなアズール様に抱きしめられていると本当に幸せな気持ちになる。

不思議な感覚だなと思っていると、アズール様がおずおずとした様子で言った。

「だが、その、セオドア殿には話さなかったのか?」

私自身も何故だろうかと思うけれど、セオドア様には話そうとすら思わなかったのだ。

「はい。何故か……その考えには至らなかったのです。それに、そもそもセオドア様は私のことを愛してなどいませんでしたし……」

「君のように可愛らしい女性を愛さないとは不思議なことだ。だがそのおかげで君は私の腕の中にいる。ふふ。ありがたい限りだ。あ、すまない……君に不躾だったな」

「あ、いえ……私も今はここに来られて良かったと……本当に、そう、思えます」

ぎこちなくなってしまったけれどそう告げると、アズール様はまた嬉しそうに声をもらした。

「ふふ。ありがとう。よし……では少し話を戻そう」

「あ、はい」

アズール様が離れてしまい、少し寂しくて名残惜しく思っていると、アズール様が私を見て眉を寄せた。

「その顔は……可愛いすぎるだろう。っく……俺の理性がもたないやもしれん」

「え?」

「可愛らしい婚約者殿。無防備なのは俺の前だけにしていてくれ」

アズール様はどうしてこうも簡単にドキドキするようなことを口にするのだろうか。

私は少しだけ、アズール様のこれまでの恋愛経験が気になり始めてしまう。

けれど今はそれを着にしている時ではない。気

アズール様はその後、コホンと咳払いをしたのちに私に能力について話し始め、今後どうしていくかを話して決めていったのであった。