軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13話 ※アズール視点

リベラ王国からの縁談話が最初に出た時には、何かがあったのだろうなと予想が出来た。

何故ならば自分の婚約者にと名前が挙がったのが、リベラ王国の美姫と謳われる公爵令嬢シャルロッテ・マロー嬢だったからだ。

第一王子セオドア殿との婚約していることは有名であり、国交の際に数度ではあるが姿を見たこともあった。

基本的にシュルトンから離れるのは心配な為、国交の場として舞踏会に参加をしても一時間ほどで国に帰る形にしていた。

そんな短い間であっても、シャルロッテ嬢が目に入らないことはなかった。

向こうからしてみれば、王国とは言っても不毛の大地の国である自分など、認識はしていなかっただろう。

国交の場で見かけたのは二回。そのどちらも、シャルロッテ嬢が入場してすぐに帰国した為、挨拶すらしていない。

そうだったと言うのに、彼女が記憶から消えることはなかった。

そんな彼女が自分の婚約者にと名前が挙がったことに対して、早急に調べた。そして婚約解消があったのだということや第一王子のセオドア殿が市民の女性に腑抜けたことなどが理由だと分かった。

なんとバカな王子なのだろうかと思った。

シャルロッテ嬢は優秀で、貴族社会にも精通しており、第一王子の婚約者として社交界でも一目置かれる存在だったことは調べてすぐに分かった。

隠密部隊からはシャルロッテ嬢がどのように婚約破棄されたのかの情報も入っていた。

それを聞いた瞬間、怒りを感じた。

その感情の理由はその時にはよくわからなかった。ただ、シャルロッテ嬢には絶対に今後笑っていてほしいと思った。

だからこそ、絶対に自分が幸せにしてみせると心に誓い、シャルロッテ嬢との婚約を受けたのだ。

不毛の大地のシュルトン王国。

本当にいいのだろうかという思いはあったけれど、来てくれると言うのであれば、絶対に幸せにしてみせると決める。

だからこそ、魔物が出現したとの報告を受け、シャルロッテ嬢が来る時間に迎えに行けないのではと思った時には頭に血が上った。

魔物を早急に薙ぎ倒し仕留め、急いでシャルロッテ嬢が来る予定の魔法陣の場所へ向かった。

青光に包まれて姿を現したシャルロッテ嬢は、まるで女神のように美しい少女であった。

そんなシャルロッテ嬢が自分の婚約者になってくれるということに、俺は心から神に感謝した。

ただ、やはりシャルロッテ嬢が万が一にも無理やりにここに来させられたことがあってはいけないと思い、シュルトンについて話をして、本当に自分の婚約者になっても良いのかと聞いた。

シャルロッテ嬢は、自分の婚約者になることを承諾してくれていた。

それを聞いた瞬間、俺は自分の心がどうしようもなく浮き足立っていることに気が付いた。

自分の婚約者になってくれたシャルロッテ嬢を絶対に幸せにしたいと思った。

そしてその思いはシャルロッテ嬢が涙を流し、セオドア殿を愛していたという事実を向けられた時に、強烈に強くなった。

自分以外の男性を愛していた。真っすぐに、心から。

きっと優しい彼女はこれまでもずっと様々なことを我慢して生きてきたのであろう。

そう思った俺は、心からシャルロッテ嬢が笑い幸せになれるために、努力をしようと思った。

シャルロッテ嬢は知れば知るほどに可愛らしく、賢く、そしてよく笑う女性であった。

もっと笑ってほしいと思った。

俺の元で絶対に幸せになってほしいと思う。

そんなことを思った時に、やっと俺は自分がシャルロッテ嬢のことを好きなのだという事に気が付いた。

思い返してみれば、社交界で見かけた時から何故か惹かれていた。

そして彼女の人となりを知った今では、愛さないことの方が難しいと思える。

「シャルロッテ嬢」

名前を呼べば、笑顔を返してくれる。そんな姿を見るだけで幸せな気持ちになった。

シュルトンは不毛の大地だ。

だけれどシャルロッテ嬢はそんなシュルトンだからこそ嫁ぎたいと言ったのだと聞いた。

シャルロッテ嬢の父はかなり心配をしていて、不幸にしないことは絶対条件だと書いた手紙を受け取った。

そこにはシャルロッテ嬢をどれだけ娘として大切に思っているかが綴られていて、こんな男性が父親だからこそ、シャルロッテ嬢はこうも美しく真っすぐな女性に育ったのだろうなと思った。

「絶対に幸せにしてみせる」

小さく、鍾乳洞を見つめるシャルロッテ嬢へと呟いた。

「アズール様? どうかされましたか?」

小首を傾げる君が可愛くて、今すぐにでも抱きしめたいと思う心を俺は理性でどうにか押しとどめた。

「いや、なんでもない」

「ふふふ。私、アズール様の婚約者になれてよかったです」

その言葉に俺はこちらこそだと思う。

「俺の方こそだ。君が俺の婚約者になってくれたこと、夢なのではないかと俺はたまに不安になるくらいだ」

「え? ふふふ。夢ではないですよ」

「あぁ。だから、毎日君と挨拶を交わすたびに感謝をするのだ」

「まぁ。アズール様がそんな冗談を言うなんて」

冗談ではない。

本当に神に心から感謝している。

「ありがとう。シャルロッテ嬢」

この俺の想いがもっと君に届けばいいのにと、俺はそう思うのだった。