軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アイの提案

「なあ、アイ。もっと効率よく互助会を運営できるようになにか方法を考えてくれないかな?」

バナージを通して、議会から互助会に対しての依頼を受けた。

依頼の内容を確認すると、どれもこれも当たり障りのないようなものばかりだった。

本来の俺の目的であったオリエント国外の人間すらも信者として勝手に認定しての戦闘行為をさせないという考えが向こうにあるのかどうかは分からないが、基本的にはどれもオリエント国内の小さな問題の解決ばかりだったのだ。

街の清掃や水路の掃除なんてものもある。

あるいは、街中での手紙の配達や、積み荷を運ぶのを手伝うものなど。

そうかと思えば、街の区画整理のための【道路敷設】や、オリエント国内の道路整備もするようだ。

本来ならば都市の外にまで続く道路はかなり難しい判断が必要になるはずだと思うが、それを実行することにしたらしい。

こうして互助会に対して議会が仕事を依頼してくるのは、何もバルカ傭兵団の動きの牽制だけが狙いというわけではないようだ。

どうも、互助会でやっている等級分けの仕組みがそれなりに評価されているみたいだ。

街の清掃や掃除などという雑用はともかく、手紙の配達などは実は重要な仕事だというのもあるのだろう。

よく知らない奴に勝手に読まれたら困る手紙を預けることはできない。

だが、バルカ教会で儀式を行った者は後で追及されると言い訳できないこともあり、また、仕事内容が直接等級に反映されるというのもあって真面目に働く者が多かった。

そのために、ある程度の信用があるとみなされての依頼なのだろう。

ほかには、街から村、あるいはそれ以外の場所への護衛などの仕事もあった。

別にそれらを俺がいちいち差配しているわけではない。

が、今はまだ重要な時期であるのも事実だ。

受けた依頼が未達成になるだけならばともかく、その仕事を悪用してなにか悪さをするやつがいないかとある程度目を光らせておく必要もあった。

なので、非常にめんどくさいがいちいち仕事内容を確認して、それが無事に進められているか、あるいは仕事の完了が遅いのであればそれがなぜ遅れているのかを確認したりもしていたのだ。

そんな仕事を今はオリエント国と新バルカ街の二か所でやっているために、完全に忙殺されてしまっていた。

互助会はきちんと組織として機能させようとはしている。

そのための人も両方の街で配置しているので、いずれは俺が直接確認することは無くなるだろう。

が、それがいつになるかは分からない。

できれば早いところ、この仕事から抜け出したい。

というわけで、なんとかならないかと思い、アイに頼み込むことにしたのだ。

「組織の効率的な運用については潤沢な資金が必要です」

「金? 金なら用意しただろ。依頼を受けるときにはそれに見合った金額を要求したし、最初の資金としてパージ街で手に入れた金とか銀とかがあったはずだけど」

「あれでは足りません。あれらは基本的に使い道が限られていました。最初は格安で依頼を受けるということもあり、さらに各街での建物の建設などにも資金が必要となっていたのです。そのため、互助会における余剰資金というのはアルフォンス様が思っているほどにはありません」

「……まあ、確かにそうかもしれないけどさ。じゃあ、どうしようもないんじゃないのか? 新バルカ街で稼いでいるお金はあるけど、あれもクリスティナとかと一緒に管理して街やバルカ傭兵団のためにも使う予定なんだ。互助会用にたくさん回せるほどじゃないぞ」

「はい。ですので、さらに資金を調達する必要があります」

「簡単に言うけど、どうするつもり? もしかして、またバルカニアで作っているものとかをこっちでも作れるようにして売り上げを伸ばすつもりなのか?」

「いいえ。それは難しいでしょう。すでに、新バルカ街における人材は多くが何らかの仕事に従事しており、今以上に働かせるのは難しいかと思います。新たな商品開発を行っても、それほどの資金を得られるとは思いません」

「……じゃあ、どうしようもないんじゃないか? もしかして、お金を貯められるまでは今みたいに俺が動き回らないといけないとか、そんな感じ?」

アイの言いたいことは分からなくもない。

金さえあればもっと効率的にできるかもしれない。

なんの保障もない日雇い仕事のようなものではなく、安定した仕事ならやりたがる人も増えるからだ。

そう思ったことは何度もある。

だが、ないものはない。

パージ街で持ち帰った金塊や銀塊がすごい勢いで支払いに使われていったのを見て俺自身も驚いている。

どうも、互助会の規模が急激に膨れすぎているのが原因みたいだ。

そのおかげで、もちこまれる依頼料だけでは組織の運営がカツカツになっていた。

もともと、俺の本拠地である新バルカ街は互助会がない状態でも割とギリギリの運営をしていたのだ。

互助会自体が大きな負担になってしまっている。

ただ、お金さえあればもう少し負担は減るのは間違いない。

新バルカ街でガリウスとともにいろんなものづくりをして重要な資金獲得源となっている傭兵たちを動かせる余裕が出るからだ。

だが、現状では魔道具などのような高価な品を作らせていて手が離せない。

魔道具の代わりに大金を稼ぐ品でも新たに作るというわけではなさそうだが、アイはいったいどういう考えがあるんだろうか?

「資金を稼ぐのは、なにもものづくりだけが手段ではありません。他にも手はあります」

「ほかの手っていうと、またどっかに攻め込んでお宝でも持って帰るとかか?」

「違います。それも可能かもしれませんが、継続性がありません。そうではなく、今後もお金を効率的に稼ぐ手段を取るべきです」

「……どうするの?」

「先物取引を行いましょう。今のうちに、オリエント国やその村々、あるいはパージ街、もしくはそのほかの土地からも米を買うことを推奨いたします」

先物取引?

なんだそれは?

アイが言い出した内容について、よくわからなかった俺はそのことについて教えてもらうことにしたのだった。