軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

拡大解釈

「どうやら、こいつらはオリエント国の北東の国からやってきたみたいだな」

「北東の国ですか。それだとぺリア国になりますね」

敵発見の報告を受けて村に駆け付けた俺たちは即座に交戦状態に入った。

見つけた十数人ほどのよくわからない集団を壊滅させ、わずかに残った相手から情報を収集する。

その結果、分かったことをあとからこの村へと駆けつけてきたゼンへと説明する。

「ぺリア国? 知っているのか、ゼン?」

「もちろんですよ。というか、知らないはずがないですよ。俺たちの村を襲って拠点にしていたのが、そのぺリア国なんですから」

「ああ、そうなんだ。なるほど、因縁の相手ってわけだな」

俺の説明を聞いた瞬間にゼンの顔つきがキリっと変わった気がした。

どうやらそれは間違いではなかったらしい。

ゼンの村というのは、新バルカ街ができる前にあったあの廃村のことだろう。

廃村といっても、そんなに昔に人が住まなくなったわけではなく、数年前までは普通に村があった。

その村が滅ぶ原因になったのは、他国からの侵略だったのだ。

オリエント国に攻め入り、村を奪い取ってそこを拠点とし、そして反攻された際には村に塩を撒いて逃げたという国の話はもちろん俺も聞いている。

ゼンの話を聞いて、そういえばその国の名前はぺリア国だったなと気が付いた。

オリエント国から見ると北東に位置する小国の一つ。

ただし、オリエント国よりは武力的に優位な立場にあるようだ。

「じゃ、行きますか」

「行くって、ぺリア国にですか?」

「そうだよ、ゼン。っていっても、今から行くのはこの村を襲おうとしていた奴が言っていた街だ。どうやら、そこに本隊がいるらしい。こいつはその偵察って感じみたいだね」

「えっと、それってもしかしてその本隊がいる街に攻めようってことですか? そんなことしてもいいんですか?」

「いいでしょ、別に。なんでだ?」

「バナージ議員の依頼って村の警備だったと思うんですけど……。他国まで攻めてもいいんですか?」

「何言ってんだよ、ゼン。相手は街に本隊を用意して、わざわざ偵察まで出してきたんだぞ。それだけ本気の相手ってことだ。そんな相手をこの防衛施設のない小さな村で待ち受けて相手にするなんてできるわけないだろ。だったら、こっちから向こうに行って戦うしかないさ」

「……そうですね。この村で防衛するのは無理だとは俺も思います」

「だろ? だから、守るためにこっちから攻めるんだよ」

この村に派遣していたのは一班だ。

つまり、五人の傭兵たちがいるだけだ。

そこに俺とイアンが駆けつけて、相手を倒した。

だが、その相手の後ろには本隊が控えているという。

そんな奴らの相手をこの村ですることは不可能だろう。

敵発見の急報を受けてすぐに来た俺たちとは違い、あとからゼンたちのようにこの村に派遣された者もいるが、それでも守るには足りない。

防衛戦は不可能だ。

かといって、オリエント国がすぐに軍を動かすかというとそれも分からない。

すでに腕輪を通して、アイには情報を伝えている。

俺ならば魔力を使った暗号通信も自由に行えるので、オリエント国でローラのそばにいるアイへと現状の説明を行ったのだ。

そのアイからローラ、そして議会へとこの村が襲われた現状について説明が行くはずだ。

が、議会というのは行動が遅いらしい。

みんなが集まって、そこから情報を共有し、話し合う。

そして、その話し合いがまとまってから、ようやく動き始めることになるのだ。

いつも、オリエント国に属する村がある程度襲われてから迎撃に向かうことになるのは、国の仕組みにも理由があるということだろう。

それをいちいち待っているのは時間の無駄だ。

それに、どうせ向こうが攻めてくるのであれば、ここにいる俺たちはいずれ戦うことになるだろう。

それなら、まともに守ることもできないただの村で戦う必要なんてどこにもない。

この村の農民だって困るだろう。

村の近くの土地で戦われたら、農作物が踏み荒らされて被害も出るからだ。

戦うならば、被害の出ない場所のほうがいいに決まっている。

だったら話は簡単だ。

どのみち戦う相手であれば、こっちから攻めていけばいい。

バナージから依頼された仕事の内容は、オリエント国に属する村の警備だった。

その仕事の延長だ。

村の警備をしていたら、武器を持った怪しげな集団を発見した。

そうだな。

そいつらを迎撃に向かったら、相手の一部を取り逃がしてしまったことにでもしたらいいかもしれない。

慌てて倒した相手から情報を得たら、その背後にはさらに大きな軍の存在がある。

それに気が付いた俺たちは、逃げた相手を街に帰還する前にとらえようと追跡し、しかし、ギリギリのところで逃げ切られてしまった。

そうして、仕方なく相手の本隊が待ち構えているその街で戦闘になってしまった、という筋書きはどうだろうか。

うん、大丈夫だろう。

あとから事情を説明するなんていくらでもできる。

ならば、問題ない。

こうして、俺たちは逃げた(かもしれない)相手を追いかけて、ぺリア国にあるという街へと追撃戦を仕掛けることにしたのだった。