軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

青年傭兵

「じゃあ、教会の管理はお願いね、ハンナ」

「わかりました。しっかりときれいにしておきますね」

「頼んだ。じゃあ、行ってくるよ」

「はい。お気をつけて。ご武運を」

継承の儀ができるようにした祭壇を備えたバルカ村の教会。

その管理を俺やエルビスがいない間はハンナへと頼むことにした。

なにげに、この村の中でもかなりの重要な施設になった教会なのだが、その教会の管理を誰にするかを微妙に悩んでいたのだが、普段から吸氷石の像に向かって祈りをささげていたハンナなら大丈夫だろうと思ったからだ。

といっても、この村でそこまで頻繁に結婚式なんてないので、時間のある時に掃除に行ってもらうくらいだろう。

基本的には他の子どもたちと同じく、普段はアイに勉強を教わることになると思う。

そんなハンナに後を任せて、村を出る。

久々に傭兵団としての仕事で戦場に出ることになったからだ。

「久しぶり、オリバ。この前はありがとう。オリバのおかげでうちの村でも結婚した連中が増えてきたよ」

「お久しぶりです、アルフォンス殿。そうですか、それは良かった。結構大変でしたからね。オリエント国の娼館という娼館を駆けまわって交渉するのは。その甲斐があったというのであればこちらもうれしく思います」

バルカ村を出発した俺たちは、オリエント国の軍と合流してさらに移動する。

また国境付近の村などでほかの国からのちょっかいがあったとかで、そちらに向かうようだ。

その移動途中でオリバと話をする。

オリバには世話になった。

なんの伝手もない俺からの頼みを聞いて、高級娼婦を多数身請けする話をまとめてくれたのだ。

実際、それはなかなか大変だったみたいだ。

何度もオリバの口から、大変だったという話が漏れてくる。

「ま、けどまたそのうち同じようなことを頼むかもしれないから、その時はよろしくね」

「え? 本気ですか? また、高級娼婦を身請けする気なんですか?」

「もちろん。前回は百人の女性に来てもらったけど、うちの村にいる傭兵ってそれより多いしね。結婚できてない奴がいるし、まだまだ女性の数が足りていないんだよ」

「いや、しかし、なにも高級娼婦にこだわらなくともよいのではないですか? さすがに安くないはずでしょう。前回は議会からの働き掛けもあって、娼館側も譲歩してくれた面があるのです。次からはもう少し身請けの金額が上がる可能性もありますよ」

「別にいいよ。次からはもうちょっと少ない人数でもかまわないしね。傭兵たちに頑張ってもらうためでもあるし、多少の出費は大丈夫だよ」

「はあ。すごいお金の使い方をするものですね。普通の傭兵団はそんなことをしませんよ。せいぜい、戦場帰りで娼館に遊びに行くくらいのものでしょう。まあ、わかりました。今すぐにという話でもなさそうなので、そのときはまた相談してください。善処しますよ」

「ありがとう。助かるよ」

オリバとの話で、ふたたび仕事を頼むかもしれないことを伝えておく。

高級娼婦の身請けをまたやるかもしれない。

それに対して、オリバは驚いていた。

確かに、普通ならそんなに何回も身請けなんてするものでもないだろう。

前回、一気に百人も集めたことで身請けが可能な娼婦の数も減ったはずだ。

だが、まったくいないわけではないと思う。

娼婦の身請けはこれからもたまにやっていこうと思う。

というのも、武術会や品評会が結構評判よかったからだ。

あれをまたやりたいというのもある。

次は十人くらいの身請けでも十分だろうか。

何人か高嶺の花というべき女性に来てもらって、傭兵たちの更なる精進に期待したい。

というか、結婚できなかった連中から早くもっと女性を迎え入れてくれと頼まれているのもある。

村の財政は今のところかつかつながらもうまく回ってはいるので、無理のない程度であれば傭兵たちの願いもかなえておいてやろうと思う。

「あ、あの、すみません。少しいいですか?」

「ん? 誰だ?」

そんな話をしていると、こちらに声がかかった。

誰だろうか。

振り返ってみると、そこには一人の青年がいた。

……誰だろう。

知らない奴だ。

「すみません。俺、ゼンっていいます。傭兵やってます」

「アルフォンス・バルカだ。同じく傭兵でバルカ傭兵団の団長もしている。よろしく、ゼン」

「よろしくお願いします」

「で、なにか用? 前に会ったことあったっけ?」

「去年の戦場でお見かけしています。といっても、直接お話したことはありませんけど。その、バルカ傭兵団の噂を前から聞いていたんです。それで、ぜひ一度、団長さんとは話をしてみたいなと思っていて」

「そうなんだ。いいよ。どんな噂があるのかもちょっと気になるし、もうすぐ移動の休憩があるはずだから、そこで一緒にご飯でも食べる?」

「はい。ご一緒させていただきます」

二十歳くらいの傭兵だ。

ゼンという名前らしい。

ゼンが俺に声をかけてきたときに、遠くのほうで心配そうにこっちを見ている奴も何人かいた。

多分、傭兵仲間なんだろうか。

こっちを子どもだと思って侮っているような雰囲気もなさそうだ。

これなら、同じ傭兵として情報交換できるものもあるかもしれない。

そう思った俺は、次の休憩のときに一緒に食事をしながらゼンと話をする約束をしたのだった。