軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

地方都市の一般人代表者

俺に忠誠を誓った者にたいして、俺が経済的・軍事的な援助を行うことでそいつらが国の中枢を担うことになっていく。

そうして、そのつながりをもとにして親バルカ派として周辺国が条件を合意し合いながら連帯していく。

それにより、オリエント国周辺はバルカ連合とでもいうような状態になってきた。

これは、ある程度予定していたことでもある。

が、その連合体が少しずつ規模を増やしつつあるガロード暦十五年の春の終わりごろ、俺の予想とは少し違った出来事が起こった。

それは一人の人物が俺に忠誠を示したことがきっかけだった。

「この場合、どうしたらいいと思う、アイ?」

「アルフォンス様にたいして忠誠を誓い、忠誠紋が反応して紋章が浮き出た人物にたいして援助を行う。今までにもほかの方にたいして行ってきたことですので、同様の対処をすればよいのではないでしょうか?」

「そうなんだけどさ。今までは、サーシーン国のゲラントとかもそうだったけど、祖国にたいして何かしらの因縁のようなものを持った連中が俺のもとに来ていただろ? それが、今回は違う。完全に一般市民が出てきたんだよな」

俺のもとへとやってきて援助を求めた人物。

その人物が忠誠の証として手の甲に俺の紋章を浮かび上がらせたことで、今までと同じように対応するのがいいだろうとアイは言う。

が、そう簡単な話なのだろうか。

それは、相手の立場がなんの変哲もない一般人だったことにある。

小国家群にある一つの小国。

その小国のなかでもさらに一つの都市からやってきた人物がいた。

そいつはその都市に対しての援助を求めて俺と面会したのだ。

国の中枢にいるわけでもなく、都市を治める役職でもないただの一般人にもかかわらずだ。

その国は今のところ親バルカ派になっているわけでもないので、援助をするのであればその都市にたいしてということになるだろうか。

が、それは多分、その都市を治める国と揉めることにもなるだろう。

普通ならば、いくら相手が俺に忠誠を示したとしてもそんな立場の者であれば対処しないだろう。

だが、相手も決して考えなしではなかった。

俺のもとへとやってくる前に、とある方法で援助を引き出そうと手を打っていたのだ。

それは、【命名】を使っていたことにある。

その都市内でバルカからの援助を期待する者たちが徒党を組んだのだ。

もちろん、それは数をまとめて暴動を起こそうなどというものではなく、逆に平和的なものだった。

自分たちの意見が届きやすいようにたくさんの声を集めるという意味で徒党を組んでいた。

そうして、集まった人々が俺のもとへと意見を伝えるために選出した人物から名付けを受けたようだ。

それはけっして無視できない人の数だった。

その国の首都ではないけれど、それなりに規模がある都市だったために、【命名】による名付けは最終的に万にも届く人数がその代表となった者を頂点としていたのだ。

それにより、その代表者はその都市で一番魔力量が多い人物となり、そしてその人物が俺のもとへとやってきていた。

そして、そいつはこう言ってきたのだ。

我々はバルカ教会の信徒である、と。

バルカ教会は助けを求める信徒を助けるという教義がある。

その教義に則って、ぜひとも我々を助けてほしい、というのだ。

どうやら、もともとその都市を統治している国のやり方には不満があるらしい。

それならば、親バルカ派となって援助を期待したいというのが狙いのようだ。

ただ、問題なのがその国も、そして都市の統治者もバルカからの介入を望んでいないというところにあるだろうか。

いくら援助があるとはいえ、それにはさまざまな条件がついて回る。

その条件についてを考えると、そこまでして援助を求める必要はないと考えているのだろう。

ようするに、その国の地方都市では統治者と住民で意見が分かれているということになる。

そして、住人であり一般市民側もそれはよくわかっていた。

だからこそ、万単位の人が自分たちの意見を通すために代表者に魔力を集めて俺のもとへと送り出したのだ。

バルカ教会の教義を根拠として出された以上、こちらも断りにくい。

もしも、断ったらバルカ教会は信者を助けないのか、と言われることになるからだ。

「ま、いいか。考えなしで俺のところに来たわけでもないみたいだしな。ただ、その都市を治めるヒッタルト国とは絶対揉めるだろうな。バルカ傭兵団を多めに派遣できるように準備しておくか」

国政に送り出すための人を求めて忠誠紋を使っていた。

が、それによってバルカの援助を目にした者たちは、もともと国の中枢に近くなくともその援助を期待することになった。

統治者ではなく一般人からの要望。

それを俺に受け入れさせるためにバルカ教会の信者であることを盾にしての交渉によって、俺は新たに他国にたいして軍事介入していくことにしたのだった。