軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

資金提供と交換条件

サーシーン国のゲラントをはじめとして、俺に忠誠を誓った者に軍事的な援助を行い国政につかせることに成功した。

今のところはそれが六か国で成立している。

さらに、何人かの候補が俺のもとにきて忠誠を誓っているので、もう少し増えていくはずだ。

俺のもとに尋ねてくる奴はもっと多いのだが、さすがにその全員が忠誠紋には反応しなかったからな。

そういう意味ではゲラントらはある程度信用できる奴らではあるのだろう。

ただ、ゲラントが俺に忠誠を示したことと、ゲラントが国政を握ったサーシーン国が信用できるかは別問題でもある。

というのも、彼の部下らは別に俺に従う義務も義理もないのだから。

なので、サーシーン国などが俺の影響下から逃れられないようにしていく必要があるだろう。

「やっぱ、一番は経済的な援助かな?」

「ええ。どこの国も不況の影響を完全には抜け出せていないもの。お金を渡す代わりに条件を付きつければ受け入れざるを得ないと思うわ」

新バルカ街の俺の家でクリスティナと話をする。

今後の方針として、やはり一番はお金を出すのがいいだろうということだった。

ゲラントやそれ以外の奴も、たいていはもともと主流派ではない連中なのでそこまでの大金というのは持っていない。

国の中枢に立ったといってもすぐに国家財政に手を突っ込んで好き勝手することも早々できないだろう。

けれど、国の中央に立つ以上は出すものを出さなければ人もついてこない。

そうでなくとも、かつての魔道具相場の暴落による影響は完全には払拭できていないのだから。

「親バルカ派となった国にたいして、俺に忠誠を誓った者を通して金を供給する。ただ、こっちにも利益がないと困る。いずれ作る予定の魔導列車アルフォンス・バルカラインのための土地の確保はもちろんとして、あとはなにを要求しておくのがいいかな?」

「そうね……。できれば、人の移動がしやすくなってくれると助かるのだけれど」

「人の移動? 魔導列車は最初のうちは貨物用として使うから、人は乗せない予定だけど人を乗せてほしいってこと?」

「そうじゃないわ、アルフォンス君。いえ、魔導列車というものに人が乗って移動できればそれはそれでいいと思うのだけれど。それよりも列車に乗らなくても人は移動するでしょう? 私はもともと行商人だったからよくわかるのだけれど、国と国をまたいでの移動って結構大変なのよ。いちいち検問で止められたり、通行料を求められたりするのよね。だから、今回のアルフォンス君の働きで親バルカ派になった国には交通がしやすくなるようにって頼んでもらえたらうれしいかしら」

「なるほど。通行税や国境検問の簡略化ってことか。確かにいちいち止められるのは面倒だろうしね。考えておくよ、クリスティナ」

さすがに商人出身の視点だな。

そういえば、こちらの影響力を増して各小国にも魔導列車を走らせようと考えていたけれど、検問なんかのことも考えておかないといけないな。

ただ、これはそれなりに受け入れられやすい問題だとも思う。

というのも、バルカ教会の腕輪があるからだ。

腕輪をつけていれば個人の識別もその位置も常に把握できる。

すなわち、いちいち国をまたいで移動する者の確認をしなくても済むわけだ。

あるいは、犯罪歴のある者もすぐに見分けることができるということでもある。

国境警備に腕輪を活用することで、人の移動を楽にするように求めていこうか。

大量の金を配れば、それくらいのことは認められると思う。

そして、それはまわりまわって俺の利益にもある。

というのも、平時から国境の移動がしやすくなれば、軍も動かしやすくなるからだ。

意外といくつもの国を越えて軍を動かすのは大変なのだ。

どこの国でも、自国の領地内を他国の軍が移動するのは嫌がる。

ただでさえ武器を持った戦闘集団が近くに来るだけでも嫌だが、そいつらは常に食料を求めるという特性もある。

軍は飢えると近くにあるもので自分たちの腹を満たそうとするものなのだ。

なので、いつそいつらが村や町を襲うかも分からない。

というわけで、自国内を通行する他国の軍というのは基本的には認めないし、認めるにしてもそれなりに複雑な条件がついたりするのだ。

だが、普段から人の移動がしやすくなっていれば、軍の移動ももう少ししやすくなるに違いない。

それは機動力の向上ということにもつながる。

そうすれば、俺がさらに動きやすくなるということでもある。

国と国での人の移動のしやすさ。

そして、それに伴う通行税の減額、あるいは撤廃。

それらのほかにも、いくつかの条件をゲラントたちに持ち掛ける。

かわりに、かなりの額の資金を提供すると交換条件を提示して、だ。

この提案にゲラントたちは乗った。

こうして、複数の小国がそれぞれの自治を保ちながらも、少しずつバルカを中心につながっていくことになったのだった。