軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

無限の魔力

「すげえな。あっという間に俺の魔力量を超えられたんだけど」

【寝ずの館】での一件以来、アイは忠誠紋の魔法陣を使って魔力を高めることとなった。

そして、その結果、アイの総魔力量は俺をはるかに超えてしまった。

ブリリア魔導国の王族であり、次期王と目されたベンジャミンの魔力を血を吸収することで取り込んだ俺よりも、だ。

これがどれほど異常なことか分かるだろうか。

俺の想像以上の結果だった。

「しかし、考えてみれば当たり前か。アイはオリエント国の議長だけど、それはあくまでも東方での話だもんな。フォンターナ連合王国のある西に行けば、その立場は全然違ってくるんだから」

アイの魔力の急上昇。

それは俺が考えていた以上の結果だったが、冷静になってみると当たり前のことでもあった。

アイは魔装兵器をもとにして仮想人格が宿った人型の女性だ。

が、それはけっしてただの美人の人形というわけではない。

もともとは、神界にいる神アイシャ様の依り代となるために作られた体を持っているのだ。

アルス兄さんが魔装兵器をもとに神の依り代を作り、その外見はリリーナ様が主体となって美を追求した造形をしている。

神アイシャの体にふさわしい依り代となるように、古今東西のすべての女性の美しさを併せ持ったような美しさを持つのだ。

しかも、それが今では神の依り代であり、巫女でもあるとして、西方のすべての国にある教会に派遣されている。

つまり、西ではありとあらゆる土地にアイがいて、教会での仕事の手伝いと一緒にバルカ銀行の仕事もしているのだ。

その知名度と信頼度はオリエント国の比ではない。

つまり、アイはオリエント国の議会や市民たちだけではなく、フォンターナ連合王国やそれ以外の国からも圧倒的人気を持っていた。

そんなアイが自分の持つ魔力で魔法陣を描き出し、多くの人の手の甲に紋章を映し出し、魔力を受け取ることとなったのだ。

それはある意味では神に等しい力とも言えるのではないだろうか。

想像を絶する魔力量がアイには集まっている。

俺個人の魔力量が王級だったとしても、神級の存在には勝てないということになる。

「くっそう。アイが俺に忠誠を誓ってくれればよかったのに」

「申し訳ございません。ですが、私は生みの親であるカイル・リード様に忠誠を誓っておりますので」

そんなアイだが、アイ自身はカイル兄さんに忠誠を誓っていた。

アイの体自体はアルス兄さんやリリーナ様が作り上げたが、それはあくまでも即物的なものに過ぎない。

もっとも大切で根源的なものとして、アイの人格を生み出したのはカイル兄さんだ。

そのカイル兄さんのことをアイは最も信頼している。

ゆえに、俺がアイに忠誠紋を使ってみてもなんの反応も示さず、カイル兄さんには反応した。

というか、アイが自分から忠誠紋の魔法陣を描き、カイル兄さんに忠誠を誓ったらしい。

残念だが、こればかりはどうしようもなかった。

そもそも、アイは俺の教育係としてアルス兄さんから預けられた存在で、俺が主ってわけではないしな。

アイ自身、自分の姓をつけるときにはリード家を選択していたし、分かりきったことでもある。

というわけで、この世界には神と呼ばれるに足る魔力を持つ存在がおり、その一角にカイル兄さんも足を踏み入れることとなった。

「で、そんなカイル兄さんだけど、アルス兄さん同様にこっちに甘いのは助かるね。アイの魔力を独占せずに、俺が使いたいように使わせてくれるって言っているんだよね?」

「はい。カイル様は自身のリード領の統治にさほど魔力を必要としておられません。ですので、私の魔力を東方で使用することに抵抗はないとのことです」

「そりゃ助かるよ。アイの人格を付与する魔法陣を制御の魔法陣としていろんな魔道具に組み込んでいたからな。それに魔力を使えるってだけで助かるし」

「そうですね。豊富な魔力が得られたことで、選択肢は確実に増えています。ですが、もともと忠誠紋を使用するのはアルフォンス様が帝国を作る、または皇帝を目指すという目的があったためです」

「そうだね。忘れていないよ。だから、アイの魔力は俺の名を高めるために使わせてもらおうと思う。いいよね、アイ?」

「もちろんです」

「じゃ、俺の名声を高めるために、あらゆる人から人気と知名度、そして信頼性を勝ち取るための魔道具を作ろう。アイの魔力があればほとんど燃料の切れることない永久的に稼働できる魔道具が作れるだろうし、楽しみだよ」

これまでは【魔石生成】という魔法で作った魔石に、【魔力注入】というその人の魔力を一定量注ぎ込む魔法を使って魔力を確保していた。

だが、それが今後は不要になる。

魔力がほぼ無限大に使えるといってもいい状況になったことで、それを念頭に置いた魔道具の作成を行うことになったのだった。