軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

貴族院

「っていうか、学校でも作ろうか」

「学校ってなんですか、アルフォンス様?」

「えっと、なんていうのかな。子どもを集めていろんなことを教える場所かな?」

「それって今もアルフォンス様のおうちでやっているんじゃないですか? あそこで私たちみたいな孤児の子たちがアイ先生にいろんなことを習っているじゃないですか」

「あれはなんていうか、私塾みたいなものかな。まあ、似たようなものだけど、もうちょっと受け入れ範囲を広げて人を集めて教えてもいいかもしれないと思ってね」

ハンナやアイの生徒たちを中心に新しく礼儀作法などを教える講義を行った。

どんな客がきたとしても、最低限の受け入れができるようにということを目的としたものだ。

その講義を見ながら、ふと思ったことがある。

それは、今更ながらに学校を作ってもいいんじゃないだろうかということだった。

今回の講義は元孤児で今はバルカ御殿と呼ばれる俺の家に住んでいる者以外にも参加したのが影響している。

料理や給仕をする者たち、あるいは宿の掃除をするだけの人にも礼儀を教えておく必要があるということで、新バルカ街に住む連中にも声をかけたのだが、そうしたら思った以上に参加したいという意見があったのだ。

しかも、それは新バルカ街以外の者も言ってきたのだから驚きだ。

オリエント国の首都に住む者なども話を聞いて、参加できないか連絡を取ってきたくらいだったのだ。

思った以上の反響を受けて、考えた。

もしも、そんなに需要があるのであれば受け入れることを検討してもいいのではないかということを。

そのためには、講義という形ではなく、学校というもののほうがいいようにも思った。

ここでいう学校はフォンターナ連合王国にある小学校などではない。

どっちかというと、ブリリア魔導国の貴族院のような学校が頭の中にあった。

つまり、新バルカ街に貴族院を作る。

ここに通うことができるのはある程度金を持った連中の子どもに限ってもいいかもしれない。

対象としては、オリエント国の議員になれるような家庭の子どもだろうか。

あの都市に住む一級市民の中でもさらに上位の家からということになるだろう。

そういう家の子どもを一か所に集めて、アイによる教育を施す。

多分、俺の家で元孤児の子どもに教えていることよりも、もっと深く詳しい情報を扱うことになると思う。

孤児出身者はどうしても貧民であり、無教養だからな。

最初から勉強なんてできないのは当たり前で、字を書けるようになるのにすら時間がかかってしまう。

貴族院に通える層を限定すれば、そういう時間を省いていきなり詳しいことを教え始めることもできるだろう。

それに、元孤児の子どもたちはどっちかというとバルカ傭兵団用の教育をするのが多いしな。

アイが教えていることの半分以上は戦闘に関わることだ。

読み書き計算は最低限できるようにさせているが、あくまでも主となるのは戦うことができるようにだった。

まあ、その子の特性にあわせて、戦闘向け以外の教育もすることがあるけどな。

だけど、そういうのとは貴族院での勉強は少し違うようにしてもいいと思う。

どっちかというと、政治や統治向けの教育を多めにしてもいいのではないかと考えた。

礼儀作法もそうだし、ほかの国の歴史や文化、風習にその他いろいろなことを伝えるのはありだと思う。

今回の講義に参加したいと言ってきている者はそういうのが知りたがっているように思うしな。

それに、貴族院というのはブリリア魔導国のものをみても、大きな意味があると思う。

それは、各地にいる有力者の子どもたちを一か所に集める口実ができるという点だ。

王国に加わる貴族や騎士の子を集めるブリリア魔導国の貴族院はある意味で、毎年人質を集めているということでもある。

また、そこで教えたことがいずれは王国に影響を与えるという面もあるか。

オリエント国の有力者たちから子どもを集めて教育を施す。

そうだな。

新バルカ街には今も自由に人が出入りはできないし、学校を作った際には親元と引き離しての寮生活にでもしたらいいかもしれない。

そうして、そこでいろんなことを学んだ者がいずれは議会などに名を連ねることになるだろう。

今のバルカ党は急造で、議員の質があんまり高いとも言えないからな。

ちょうどいい機会だ。

これを機に学校を作って、さらにオリエント国内での影響力を増やし続けられる仕組みにしておいても面白いかもしれない。

「それはいいですけど、誰が教えるんですか?」

「誰ってアイがいるだろ。というか、ほかに先生役が務まる人ってあんまりいないし」

「でも、話に聞いた感じだと、学校とか貴族院っていうのはたくさんの生徒がいるんじゃないんですか? アイ先生ってそんなにたくさんの生徒を見ることができるですか?」

だが、俺の考えに話を聞いていたハンナが反論してきた。

学校を作るにしても、そこに来る生徒を教えるのが難しい。

なんといってもアイの数は限られているからな。

俺が魔法鞄に入れて天空王国から持ってきたアイの核の数は知れているのだから。

どうしようか?

今から先生役が務まる人材を教育するってなるとそれだけで数年は時間がかかってもおかしくないしな。

とりあえず、生徒が集まるかどうかだけでも聞いてもみようか。

希望者数が少ないなら小規模の学校から始められるだろうしな。

そう考えた俺は、ひとまず新バルカ街に新しく作る学校に入学したいかどうかを調べてみることにしたのだった。